50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「ええとも」

2016-07-09 07:28:28 | 小説
「ええとも」
空腹の時にはおなかがすいたと言える街、御堂筋のさわやかさをシンボライズ。そう鳩が二羽結論めいてイチョウの枝にきて止まっていた?・・・・・・いつまでもこうしていたい気分なのだけど。道頓堀にいこうと言う和子。
啓の気分を知ってかどうか、和子は車と人の音を遠避けて鳩の羽音を耳にしたように、
「鳩が」

(「南幻想曲」つづく)

それは大阪育ちの女に対するコンプレックスがないとは・・・

2016-07-06 06:31:23 | 小説
それは大阪育ちの女に対するコンプレックスがないとは言えないだろう。けど大阪弁にはキザさが似合うはずもないだろう。『楽しければ』
「寒くないかい」
和子は啓の南側に位置している。御堂筋の太陽にあたたまっている。そう啓は的外れな声をかけたことになったのだ。が彼女はすぐ、
「お日さまがかげったら、心斎橋から御堂筋にいってみませんか。私、御堂筋よりも、今日は道頓堀の方が」
彼女が初めてうつむいている。
「わかって?」
「ああ」
「はしたないかなあ」
「ぼくかてスケートの後にはおなかがすくよ。つまりはそういうことやろうと思うけど」
啓は和子と笑顔をみせ、ビルの端にかかる浮き雲をともにあおぎみた。

(「南幻想曲」つづく)

いちいち教養のある部分をみせたがったようで、・・・

2016-07-02 19:52:03 | 小説
いちいち教養のある部分をみせたがったようで、啓はまずい気がした。せっかくの御堂筋だから確かにまずいと考えた。
和子の楽しさは寂しさを拒むそれだろう。
和子は啓にちょっとした尊敬をのぞかせていた。その機に啓はジーンズの腕を力ませた。

(「南幻想曲」つづく)


和子は目も鼻も丸味のある鼻筋にシワを小さく寄せて、・・・

2016-06-26 14:03:25 | 小説
和子は目も鼻も丸味のある鼻筋にシワを小さく寄せて、理解が及ばない証しのような表情でいる。
「そうかなあ。私にはうるさい母も父も家に持つからかしら。わからないけどう。スケートは楽しければええと思うわ。御堂筋にも楽しくなくてはこないもん。違う?」
「確かにそうや。音感は和子さんに勝てそうにもないから。それはそうかも知れないなあ」

(「南幻想曲」つづく)

和子は案外まじめな二十歳。とにかく今日という日を・・・

2016-06-19 08:49:52 | 小説
和子は案外まじめな二十歳。とにかく今日という日を大事にしたいものだ。『その通りや』
「感激、というよりは光栄やな。けども、<ふしぎの森のイメージ>和子さんのイメージに、ぼくはちょっとつけ加えたい。ぼくにとってあの曲は百パーセントの楽しさには違いないのだが、アパートに帰って眠る時なんかに思い浮かべるとすると、寂しがらせる曲のようにも思う」

(「南幻想曲」つづく)