蜘蛛の女が疾うに・・・ 2015-04-29 19:41:50 | 小説 蜘蛛の女が疾うに退散したのだから、もうよしなさい・・・・・・と女の声を男は胸の中でくりかえした。その時小公園の女らにいっせいに見つめられた、そんな気がして、 「それがよろしい。姪も彼の妻となってこうなるのかな。予想がつきそうだ、しかし」 と呟いた。 (つづく)
パシリと鳴る滑り台の横っ腹・・・ 2015-04-28 19:37:48 | 小説 パシリと鳴る滑り台の横っ腹・・・・・・彼女は本心は華奢な胸の女をうらめしいのだろう。男はそう思った余裕がちょっぴり嬉しい。 「男も女もそれはね、愛情のみじゃ食べられないわけ」 「あそこだけでも食べていけるようだけど」 「よしなさいもう。他人の裏側突っつくのは」 (つづく)
そうかも知れない・・・ 2015-04-27 19:22:35 | 小説 そうかも知れない・・・・・・若者とそれに家庭を思っていた、夢のような時間の中に本当のぼくがいた?・・・・・・そうかも知れない・・・・・・今男には風が匂う。象の滑り台、砂場の子らがかわゆく感じられる。女らを無視しようと思わない。 「あのクモがもしかして、その夢の中にでてきた女だったとかあ」 と風船を思いださせそうな感じの女がいっていた。 (つづく)
目を開け、耳が利き、もの思いが・・・ 2015-04-26 19:57:26 | 小説 目を開け、耳が利き、もの思いが短い時間であったのを知り、男は眩しげに青葉を見あげると、女らのケラケラ笑いが耳に心よい。 「夢の断片、欠けらの中に本当の姿がある。聞いた風な口だけど、パパが外の女とお手々つないで逃げていく夢、欲求不満の証しかな」 「あの方がそのお話してたでしょう」 (つづく)
「ぼちぼち舞台も跳ねるところ・・・ 2015-04-25 20:11:40 | 小説 「ぼちぼち舞台も跳ねるところ。帰りましょう」 「はい」 といった若者を耳に入れながらクモはロビーの椅子を立った。そうして、途端に皮張りのドアが開くと観客たちが押し寄せてきた。追われるようにして街路に飛びだし、ネオン街の闇に迫られていくうちに、 「ぼくは結構しあわせなんだ」 と若者がぼそりと呟いた。そうだともさ君らは・・・・・・。 (つづく)