今頃になると、どこからか
キンモクセイの香りがしてきます。
どこにキンモクセイの木があるか分らないのに
香りだけがしっかりと、届いてくる・・・
その香りをかぐと、思い出すことがあります。
もう40年近く前のこと。
大学の3年生。付属の小学校で教育実習をしていました。
毎日毎日、遅くまで残り、レポート、指導案、教材研究・・・
やっと一区切りついて、玄関から真っ暗な外に出たら
暗闇の向こうから、キンモクセイの香り。
その前後の記憶はほとんどないのに、
あの場面だけが、香りをかぐたびによみがえってきます。
まだ、何者になれるか分らない漫然とした不安、
だけれど身の程知らずなほど、大きな野心と自尊心がうずいていたあの頃
未熟さと危うさと、若さと・・・
懐かしさも、ともに漂ってきます。
こんなことを話すと、むーくんは言います。