ホーダウンが流れ始める。リズムに合わせ24人のダンサーがグランドマーチ風にホールを斜めに横切って歩き出し、エキシビションが始まった。コスチュームは黄色を基調にし、特に男性役のコスチュームのデザインが新鮮だ。ダンサーは二手に分かれていく。
10月10日、鎌倉芸術館で行われたルーセントの創立15周年パーティーの参加者は、会員を含め四百数十人という発表であった。30分程のセレモニーの後、皆が観客席に移動して見守る中、ホールには2つの大きな円ができた。このセットはとても大きく、中に普通のセットが3つ4つは入りそうだ。1つのセットが12人、ヘキサゴンダンスである。
Kさんのコールでダンスが始まった。セットは大きなままで動いている。ただセットの中央に行く時は3人が素早く手を集め、高く上げたスターで回転していた。大きなホールに2つのセットしかないのに寂しい感じがしない。
コールは易しい動きから始まり、cloverleaf、diamond、load the boat と見せ場を作りながら徐々に難易度を上げていく。そしてついにセットからの AS COUPLES do sa do で「ぉお~っ!!」という歓声と拍手が起こった。さらに spin chain the gears、spin chain and exchange the gears と盛り上げていき、最後のシークエンスで relay the deucey を決めた時には、観客から大喝采をあびていた。
ヘキサゴンダンス(これまでヘキサゴンと呼んでいた6カップル長方形のものと区別するために日本では「ニューヘキサゴン」と呼ばれることもある)は、クラークベイカーがスクエアゲーム*の1種として発表した。スクエアゲームは普通のコールを行っているときに、ホールの端で(邪魔にならないように)踊るもので、これまでにもいろいろなタイプがあった。「ノーハンズ*」もやり「オポトレ*」もやった、「ミラー*」もやったし「ノーズ*」もやった、という人達のために、こんなこともできるよ、ということで考えられた新しい遊びであった。これまで、スクエアゲームはホール全体の調和を乱すとして白眼視されることもあったのではないかと思う。それがなぜか意外にも、日本ではヘキサゴンが時々表の世界でも(つまりホール全体を対象に)取り上げられているのである。
その理由はいろいろあろうが、1つには全体の形と60度の角度が新鮮であったこと、もう1つには特別のルールを設けることなく普通のスクエアの全ての動きができることがあったと思う。しかしその難易度は多分「ミラー」よりもずっと高く、また普通のスクエアダンスのほうを好む人も多いため、全体で取り上げるには余程の覚悟が必要なのである。
私がルーセントに呼ばれたのは、上記のエキシビションの後で行われるニューヘキサゴンの体験コーナーを担当するためだった。ヘキサゴンを大勢を対象に行うのは難しく、聞けばそれまでにもいろいろな所で行われたことがあったが、必ずしもうまく行かなかったということであった。全く無名の私を、会員を説得して呼んでくれたKさんの顔を立てるためにも、何としても成功させなくちゃね...などと思いながら、私はコーラー台へと歩いていった。
追記:
ヘキサゴン体験コーナー(3チップ)の他、正式なプログラム開始前にヘキサゴン練習会会員向けに4チップコールしました。
参考:
スクエアゲームの例
「(ウィズ)ファントム」(人数の欠けたセットで踊る)
「カット(インアンドアウト)」(ダンスの途中でダンサーが出入りする)
「ジェミナイ」(2人で一緒に、1人の動きをする)
「
ノーハンズ」(手をとらないで踊る)
「
オポ(ジット)
トレ(イド)」(セットの中心で手を取った人同士で位置を変える)
「
ミラー」(鏡に映した動きをする=鏡に映すとちゃんとした動きになるように踊る)
「
ノーズ」(腰に手をあて、その肘が鼻の向きであるように踊る)