我が家はずっと借家住まい。
借りぐらしの一家。
転勤族として、全国をてんてんと移り住んできた。
思い出いっぱいの土地が全国にある。
忘れられない家が全国にたくさんある。
人との出会いも宝物だ。
全国にいるたくさんの人たちのおかげで、
楽と善がここまで大きくなったのだと思う。
ただ、
そこで暮らしていた私たち一家は、
もうそこにはいない。
私たちが暮らしていた家には、
きっと別の家族が日々の暮らしを営んでいる。
そう考えると、
何か、寂しさに似た気持ちが湧いてくる。
その土地での日々をいくら懐かしく思っても
その日々へは戻ってはいけないから。
移り行く時間は、もとには戻らない。
一刻一刻変化していく。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、
もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、
かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる試しなし。
世の中にある、人と栖と、またかくのごとし」
「方丈記」鴨長明
私くらいの歳で、鴨長明は家をすてて遁世した。
少しの書物と琴と琵琶だけをもって。
今日はガラスペンで、
方丈記を写し書きしてみた。
前半にでてくるほんの少しの部分だけ。
無常に移り変わっていく世の中を
どう生きていこうか。
家も人も、刻々と変わっていく流れの中で
どう自分という存在をとらえていこうか。
そんな風に悩む長明の語りを
ガラスペンで一文字一文字書いていった。
これから長明がどう悩み
どう考えていくのか。
ガラスペン片手に、
追いかけていこう。
7月13日 おかん
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます