渋谷区立松濤美術館「デミタスカップの愉しみ」を観たのでございます。
https://shoto-museum.jp/exhibitions/193demitasse/
(展示室以外は写真撮影可)
デミタスカップは、濃いコーヒーを飲むための小さなカップで、身長30㎝のわたくしに丁度良いくらいのサイズ。
本展は、村上和美氏の2000点以上ものデミタスカップコレクションから、約380点が展示されておりまする。
観る前からツボる展覧会と分かっており、早く行かねばと思いつつ、会期末になってしもうた。
結論から申しますとたいそう好み!今年の「ウェネト的ツボな展覧会ベスト10」に入るやも知れぬ。
美し過ぎるカップやら超絶技巧なカップやら予想外のデザインのカップやら、地下と2階の展示室にずら~り展示。
写真撮影不可なのがまことに残念よのぅ(涙)
1階ロビーに展示のこちらの3点のみ写真撮影可じゃが、もっとツボなデミタスが色々あるのじゃぁぁ!
・コールポート(イギリス)《金プラチナ彩菊花文カップ&ソーサー》1881-1890年
・カール・クノール(チェコ)1916-1918年頃
・サルヴィアーティ(イタリア)1800年代後期
構成は以下の通り。
お気に入りや気になったデミタスあり過ぎて書き切れぬゆえ、ほんの一部をリスト順に。
【第1部 デミタス、ジャポニスムの香り】
まずは地下の第1会場じゃ。
★1章:シノワズリの流行
・スポード(イギリス)《金彩花卉文蝶ハンドルトロンブルーズ形カップ&ソーサー》1790-1820年
シノワズリ&伊万里金襴手。カップの内側は金一色。把手がチョウチョ。
★2章:ジャポニスム
[1節 花鳥]
・シャルル・アーレンフェルト(フランス)《金彩花鳥文カップ&ソーサー》1894-1930年代
研磨金彩のカップにアッシュゴールドとエナメルで花鳥のエンボス、美しい。
[2節 梅、桜]
[3節 植物と昆虫]
[4節 文様など]
・ミントン(イギリス)デザイン:クリストファー・ドレッサー/イギリス、ジョン・モートロックの発注品《ターコイズ地丸花文と梅うぐいす文様 透かし彫りカップ&ソーサー》1875年
トルコ石の如きブルー地に金で鮮やか。梅やうぐいすの文様、雷紋の透かし彫り。
[5節 IMARI]
伊万里写し17点、いずれも華やかじゃ。
★3章:日本製のデミタス
日本の超絶技巧にあらためて驚愕。気になる作品多数。
・服部(横浜)《金彩人物図カップ&ソーサー》1880年代
和服の美男美女たちを物凄く細密に描いた薩摩錦手。カップの中にも美女。
・政光と推定(京都) 《銀製ハスの葉形蛇装飾カップ&ソーサー》1900年頃
カップもソーサーも蓮の葉の形の銀製で、ソーサーからウネウネと細いヘビが。
・久保(九谷)《「千顔」カップ&ソーサー》1900年代前期
カップの内外にもソーサーにもみっしり並んだ人人人、本当に千人いるやも。狂気の沙汰じゃ(←褒め言葉です)
・田代商店《泥漿蜘蛛の巣花葉文コーヒーセット(カップ&ソーサー、ポット、ミルクピッチャー、シュガー入れ、トレイ)》1800年代後期-1900年代前期
全然好みじゃないけど(失礼)インパクトは最強。ピンクと微妙なグレーの配色。セット全てに蜘蛛の巣がみっしり張り巡らされ、コーヒー飲むのが怖い・・・(重ね重ね失礼・逃)
・山崎(九谷)《金彩牡丹孔雀文カップ&ソーサー》1900年代中期
カップの底から照明が当てられており、日本髪の女性のシルエットが浮かび上がる仕掛け。
もう1点《泥漿盛り上げ龍文カップ&ソーサー》(1920-1940年頃)も同じ仕掛けじゃった。
★4章:アール・ヌーヴォーへ
・ボドレイ(イギリス)《金彩植物文水鳥ハンドルコーヒー、ティーカップ&ソーサー》1875年頃
どピンクの地に金彩で葦や蒲が描かれ、羽根を広げて立つ水鳥が盛上がって貼り付き、ぐるんと曲げた長い首が把手になっておる。
★5章:アール・デコのデミタス
・アヴィランド(フランス)《金彩幾何学文カップ&ソーサー 》1894-1931年
アラビア風の緻密な幾何学紋様が美しくてツボ。
【第2部 デミタス、デザインの大冒険】
お次は2階、第2会場へまいるぞよ。
★1章:ガラス製のデミタス
美しいガラスのデミタスが17点。キラキラ~。
・未詳(チェコ)1900年代前期
カップもソーサーも貝殻型。透明ガラスに金の波の渦巻き模様。
★2章:機能のかたち
背の高いチョコレートカップや蓋付きやホルダー付きなど、用途に合わせた形。
・コープランド(イギリス)アメリカ、ティファニーの発注品1891-1930年頃
蓋付きデミタス。把手が両側に付いておる。
・ロイヤルドルトン(イギリス) 1891-1902年
テニス・セット。変形の大きなソーサーには小菓子など乗せて、テニスを見ながら飲んだり食べたりできるのじゃ。
★3章:装飾のかたち
・中部陶器(名古屋)1900年代中期
カップもソーサーも把手も蝶の形。鮮やかローズ色と金色、眼状紋はグリーン。
・リチャード・ジノリ(イタリア)1900年頃
エジプト福王がジノリに特注したディナーセットのデミタス。把手はパピルスと飾り紐のモチーフ。
★4章:かたちのお花畑
・マイセン(ドイツ)1860-1880年
蓋付き。マイセンの代表的なスノーボールに、立体的なバラや小鳥たちが。超絶技巧じゃ。
★5章:これなに?のかたち
果物や野菜や貝など、様々な形。
・ロイヤルバイロイト(ドイツ)1902-1920年代
まるごとキャベツにまさかのロブスターの爪。
★6章:華やぐ技巧
金彩、ジュール、パリアン、透かし、銀巻き、などなど技法も色々。
・ミントン(イギリス)アメリカ、ティファニーを通じエルバート・H・ゲイリーの発注品 1911年
明るいグリーンに金彩が美しい。絵師や金彩師まで指定して特注したそうな。
★7章:覗いて愉しむ
カップの中の絵柄を覗き見られるように、低い位置に展示。
★8章:デミ・デミ・パーティー
ひとつの展示ケースに様々なデミタスがずら~り。
★9章:デミタスの愉しみ、デミタスの喜び
・ピルケンハンマー(チェコ) 《金彩花鳥文角形カップ&ソーサー》1887-1918年
カップもソーサーも四角。金色の東洋的な把手。小鳥ちゃん可愛い。
・ミントン(イギリス)アメリカ、スポールディング&Co.の発注品 《金彩蜘蛛の巣に花文カップ&ソーサー》1902-1912年頃
蜘蛛の巣が描かれておるが、これは綺麗じゃ。
・カミーユ・ノド(フランス)《プリカジュール草花文カップ&ソーサー 》1900年頃
軟質磁器にエナメル七宝を施したプリカジュールなる技法は再現が困難だそうで、村上氏にとって「雲の上の幻のような存在」だったそうな。
・コープランド(イギリス)《アラベスク文カップ&ソーサー》1880年
形はシンプルじゃが六芒星や花唐草など細密に描かれ、エキゾチックで華やか。
・ロイヤルウースター(イギリス)デザイン:ジョージ・オーウェン 《金彩ジュール透かし彫りカップ&ソーサー》1880年頃
透かし彫りの細密さ薄さ凄まじく、「コレクター憧れの逸品」というのも納得。
淡いグリーン地と金の模様も上品で、把手にトルコ石のように青い粒々が描かれておりまする。
★参考出品
・アルフォンス・ミュシャ「パリ万国博覧会ボスニア館のメニュー」1899年
地下の[身の回りを彩るジャポニスム]のコーナーに展示。
ボスニアの民族衣装を着て、ボスニアンコーヒーセットを持つ少女。
様々なデミタスたいそう観応えあり、大興奮でありました。
村上和美氏の素晴らしいコレクション、また展覧会で披露して頂きたいぞよ。
「またのお越し」したいけど、会期10月10日までじゃから無理じゃ~(涙)
ちなみに本日から最終日までは、日時指定の予約制でございます。
じっくり観てたら予定時間を大幅にオーバーし、渋谷でもう1つ観たかったBunkamuraボックスギャラリーは断念。
IKEAでキャロットケーキを食べるのも断念し、手編みカルダモンロールをお持ち帰り。
見た目のわりにずっしりしておるから、4つ食べたらけっこう満足でございます。
★おまけ話
ミスタードーナツアイスバーなるアイスを見かけて買ってみたのじゃ。
ミスドのエンゼルクリーム味で、ホワイトチョコのコーティングはパリパリ、中のアイスはフワフワ。
もっと買っておこうかの。