ウェネトさまの館

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「クールベと海 展」(パナソニック汐留美術館)

2021年06月10日 20時51分22秒 | 展覧会・美術関連

前回の日記の続きでございます。

この日の午後は、パナソニック汐留美術館「クールベと海 展―フランス近代 自然へのまなざし」を観ましたのじゃ。
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/21/210410/


 

国内では9年ぶりとなるクールベの展覧会、もっと早く観に行くつもりが、緊急事態宣言で5月は臨時休館、6月1日から再開されたのじゃが、会期末近くなってしもうた。

クールベの作品は美術館では観ておるも、作家についてはあまり知らなかったのでございます。
100点以上もの海の風景画を描いたクールベなのに、初めて海を見たのが22歳の時という事に驚き。

そんなクールベの「波」連作などの風景画を中心に、コローやモネなど同時代の作家の作品も合わせ、約60点の展示。

構成は以下の5章。気になった作品などもリスト順に一部挙げておきまする。
クールベの作品は、作家名省略じゃ。

【Ⅰ:クールベと自然 ― 地方の独立】

クールベの故郷、山に囲まれたフランシュ=コンテ地方オルナンを描いた風景画や、同時代の作家の風景画。

・ アシル=エトナ・ミシャロン《廃墟となった墓を見つめる羊飼い》
美しい大自然と、古風な衣装の2人の羊飼い。
ミシャロンはコローの師で、お隣にはコロー《フォンテーヌブローの風景》も展示されておるのじゃった。

・《木陰の小川》
故郷オルナン近郊のピュイ=ノワールを繰り返し描いたクールベ、「深い孤独と静寂のとても美しい場所」と語るほど特別な場所だったそうな。

【Ⅱ:クールベと動物 ― 抗う野生】

野生の動物を描いたクールベの狩猟画と、家畜を描いた同時代の作家の田園風景など。
クールベは狩猟が趣味で、よく楽しんでおったとか。
う~む・・・クールベとはお友達になれそうもないのぅ。

・アントワーヌ=ルイ・バリー《ライオンと蛇》
蛇を捉えるライオンのリアルなブロンズ像。
バリーは、実際の動物や骨格標本などを観察研究しておったのじゃ。

・コンスタン・トロワイヨン《近づく嵐》
暗雲垂れこめる空、道を急ぐ母と幼女と2頭の牛。
まだ太陽の光が当っている先頭の牛が、非常にリアルに描かれておる。

・《川辺の鹿》
狩人や猟犬から逃れようと川に飛び込む鹿、臨場感と緊張感ありありで、思わず「無事に逃げてくだされ~」と祈るのじゃった。

【Ⅲ:クールベ以前の海 ― 畏怖からピクチャレスクへ】

18世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパでの海景画は大きく変わり、海そのものが描かれるようになったのでございます。

・リチャード・ウィルソン《キケロの別荘》
水面に映る空や木々、右手に古代の墓の廃墟もある風景画。

・ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ディール》
ターナーは好きじゃからの、ターナーのメゾチントなどが並んだコーナー嬉しゅうござります。

・ジョン・コンスタブル《『様々なイングランド特有の風景主題』》
コンスタブルも好きなのじゃ。
19世紀フランスで人気が高かったコンスタブルの作品をもとに、デヴィッド・ルーカスが版画化した本で、22点の挿絵のうち3点が海の情景。

資料として展示の、2つの木製の船の模型も興味深い。
《ラ・トルネーズ》は、1823建造のフランス海軍の船。
《スピーディー》は、1828建造のイギリス海軍のカッター船。名前にぴったりの外観。

【Ⅳ:クールベと同時代の海 ― 身近な存在として】

19世紀、パリから沿岸部へ鉄道が開通し、パリの中産階級の人々にとって海が身近な存在に。
この章では、ブーダン、モネ、カイユボットなどの海の作品を展示。

・クロード・モネ《アンティーブ岬》
画面手前に斜めに横切る1本の木。海の向こうに山々。パステルカラーが綺麗。

・ギュスターヴ・カイユボット《トゥルーヴィルの別荘》
海沿いに並ぶ2軒の別荘を、手前の木の茂みから覗き見るような絵。
明るく柔らかいオレンジ色の建物が映えまする。

資料として展示の、綿の水着3点(女性もの2点はアメリカ、男性もの1点はイギリス。共に神戸ファッション美術館所蔵)は、女性もの2点が可愛くてツボ。

1980年頃の女性用水着は、パフスリーブと大きなセーラーカラーのブラウスにギャザースカートの組み合わせ(変色しておるがたぶん紺色)で、衿と袖口とウエスト部分が白。
1900年頃の女性用水着は、半袖ブラウスとギャザースカートの組み合わせ(たぶん黒)で、襟元と袖口とスカートの裾にぐるりとストライプの別布があしらわれておりまする。

肌の露出を避ける時代ゆえ、どちらも水着というより、見た目はミモレ丈くらいの可愛いワンピース。
スカートの下はパンタロンを重ねており、靴下まで履く女性も多かったそうな。
靴下がびしょびしょになるのは気持ち悪くてイヤじゃ~w

【Ⅴ:クールベの海 ― 「奇妙なもの」として】

最後のお部屋は、クールベの海だけがずらりと並んで圧巻。
特に《波》が並んだコーナーは、波にのまれそうな感覚に。
クールベは22歳で初めて海を見て、「奇妙なもの」と両親への手紙に書いたそうな。
生涯で100点以上の海の作品を描いたが、この章では1865年以降に集中的に描いた海景画が集められておりまする。

・《エトルタ海岸、夕日》
ピンクやオレンジに染まる空と海に、沈んでゆく赤い夕日。左手には断崖。

・《波》
一連の《波》の中で、1869年制作・愛媛県美術館所蔵のこの作品は、本展のメインビジュアル。

・《シヨン城》
莫大な借金を抱えてスイスに亡命していた晩年の作品。
水辺に建つ優美なお城じゃが、クールベにとっては、パリの刑務所とスイスでの亡命暮らしを投影しておるのだそうな。

最後にお写真撮影コーナー。書かれた言葉は、両親への手紙の一文じゃよ。


 

併設のルオー・ギャラリーも観たのでございます。
今年はジョルジュ・ルオー生誕150周年。
新たにコレクションに加わった作品も展示されておりました。

《マドレーヌ》この作品のみ写真撮影可。


 

会期は6月13日まで。
日時指定の事前予約制で、わたくしが予約を入れた時にはまだ余裕があったのじゃが、今HP観たら最終日までの予約は満員となっておりました。

連続4つの異なる展覧会スタンプを集める「ご来館スタンプカード」は、今回でコンプリート。
以前頂いた時とは商品が変わり、特製フリクションボール頂きました~。


 

★おまけ話:其の壱
何やら疲労感甚だしく、帰宅して料理する気力もなく、ロースカツ重のお弁当をば。
美味しく完食いたしましたが、これひとつで約1000kcalとは、けっこう高カロリーじゃのぅ。


 

おまけ話:其の弐
プリンはドロドロ柔らかいのより、しっかり固いのが好きなのでございます。
で、固いと巷で話題の、セブンイレブン「濃厚卵のレトロプリン」を食べてみたのじゃ。


 
確かにしっかり固い食感で美味しいのじゃが、わたくしには甘さが全く足りませぬ~。
カラメルソースのお味も薄いし、ここまで甘さを控えんでも・・・シクシク
まあいつもの如く、練乳たっぷりかけて食べたがの。エヘ 

★おまけ話:其の参
お気に入りのジュエリーショップ Albiziaから、フォトブックが届いたのでございます。
5月の日本橋三越のポップアップが中止になってしもうたゆえ、フォトブックで素敵ジュエリー見る事ができて嬉しいぞよ。
大きなデンドリックアゲートの指輪、試着してみたいのぅ。