ウェネトさまの館

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「驚異の超絶技巧! 明治工芸から現代アートへ」(三井記念美術館)

2017年10月03日 06時14分35秒 | 展覧会・美術関連

書くのがすっかり遅くなってしもうたが、先週、三井記念美術館「驚異の超絶技巧! ─明治工芸から現代アートへ─」を観たのでございます。
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html


お供のEは、2014年にここで「超絶技巧!明治工芸の粋」を観てたいそう驚愕し、その年の「E的ツボな展覧会ベスト10」に入れましたのじゃ。

本展はその第2弾。
明治工芸と共に、15名の現代アーティストの作品が対峙するように展示されておるもの楽しゅうござります。

フライヤーも前回同様、山口晃のイラストとお言葉が入って嬉しいのぅ。
わたくし、山口画伯が大好きなのじゃ。

入ってすぐの【前室】には写真撮影可の2点。


初代 宮川香山の陶磁《猫ニ花細工花瓶》
高浮彫なる立体的な装飾は、猫の耳の中までリアル。
描かれたスズメもかわゆい。


こちらは現代作家、髙橋賢悟《origin as a human》
本物の花を型どりし、アルミニウムを流し込む焼失原型法による作品。
いったいいくつの花が使われておるのじゃろか。数万個?


以下、現代作家の超絶技巧を主に、お気に入りなどざっくり挙げておきまする。
(現代のものは☆印)

【展示室1】

見所をギュッとまとめたような部分かの。
七宝、金工、自在、漆工、木彫・牙彫の14点にワクワクでございます。

大竹亮峯《自在 鹿の子海老》
3匹並んだ自在海老、明治の銀の伊勢海老に挟まれた中央のこちらは、本展の為に制作された新作の木彫。
本物そっくりに彩色され、ラブラドライトのちっちゃな青い目も綺麗。

春田幸彦《有線七宝錦蛇革鞄置物「反逆」》
ぬめぬめした蛇の鱗が有線七宝とは。
にょっきり飛び出した鎌首が怖い~。

橋本雅也《ソメイヨシノ》
桜の薄~い花びらは、鹿の角から掘り出したとは思えぬ本物っぷり。

前原冬樹《一刻:皿に秋刀魚》
ぱっと見、磯江毅(グスタボ・イソエ)の《鰯》を思い浮かべたこちらは、何と一木造り。
魚の頭も食べかけの身も細い骨も、質感凄いぞよ。

稲崎栄利子《Arcadia》
どこからどう観ても、海から拾ってきた珊瑚の集合体にしか見えませぬ。
数ミリの輪や針状の陶土のパーツを繰り返し貼るという気の遠くなる方法。
山口画伯の仰る通り「体にわるいよ、やめようよ・・・」と言いたくなりまする。

【展示室2】

安藤緑山《胡瓜》
胡瓜も、花も葉も蔓も、元が象牙だとはとても信じられませぬ。
全体の造形も非常にツボでございます。

【展示室4】

明治の超絶技巧のお部屋。
明治の七宝を代表する“ふたりのナミカワ”有線七宝の並河靖之と無線七宝の濤川惣助やら(わたくしは有線七宝の並河のほうが好みなのじゃ)、漆工の柴田是真などの超絶技巧がずらり。
中央の特設ケースには、安藤緑山の果物やら野菜やらが並んでおりまする。

本多與三郎《龍鳳凰唐草文飾り壺》
まんまるな壺。金茶石のキラキラ地に、有線七宝で細密な文様が、余白もへったくれもなくぎっしり。
こういうの決して嫌いじゃない。てかお持ち帰りしたいぞよ(こらこら)

旭 玉山
4点の木彫、鳥が可愛くて和みまする。
《銀杏鳩図文庫》は白桐材に象嵌のまるっとした鳩が、《家鴨図文庫》は蓋裏の家鴨のポーズが可愛さ炸裂。

精巧山《雀蝶尽し茶碗》
ちっちゃな茶碗の外側に雀、内側に蝶が、単眼鏡で観てもわからないくらいの小ささで超みっしり。
緻密細密好きなわたくしなれど、ここまでくると吐き・・・いえ、眩暈がするほどじゃ。

【展示室5】

自在、金工、刺繍絵画。

満田晴穂《自在蛇骨格》
大好きな満田晴穂、骨格の自在は以前小さな鶉を観た事ございますが、
(これね↓ 昨年の個展で許可を得て撮影)


今回の骨格はもっと緻密な凄すぎる蛇で、パーツの数は約500とか。

満田晴穂《自在十二種昆虫》と、高瀬好山《十二種昆虫》が並べて展示されておりますが、満田作品に目が行ってしまうのでございます。
お気に入りのトンボなど、全部のパーツが動かせて、小さな口まで開け閉めできるのじゃ。

刺繍絵画で、下絵が竹内栖鳳、制作が四代 飯田新七《べニスの月天鵞絨友禅額》は、残念ながら10月31日からの展示じゃった。

【展示室7】

現代作家の作品がずらり。

橋本雅也《キク》
枯れゆく菊の花びらと葉の薄さも質感も、鹿の角とは。

前原冬樹《一刻:空き缶、ピラカンサ》
一木造りでこの缶の薄さはいったい・・・
《一刻:有刺鉄線》も驚愕でございます。

本郷真也《暁》
黒光りする体、嘴には細い枝をくわえた烏
鉄をひたすら叩いて作るんですと。

春田幸彦《盛上七宝鰐革財布置物》《有線七宝錦蛇革財布置物》
「無駄死に、無駄口、無駄遣い」 という題がついたユニークな2点、ハリー・ポッターのダイアゴン横丁に出てきそう。

臼井良平《Untitled (Soda crushed, Blue cap bottle) From the series “PET” (Portrait of Encountered Things)》
ソーダ水の入った潰れたペットボトルそのものですが、キャップまで全部ガラス。

たいそうツボな展覧会でありました。
会期は12月3日まで(10月31日から一部展示替えあり)
ご興味ある方は、単眼鏡も忘れずにGO!

さて、スイーツ話でございます。
日本橋三越で先月初めて入った、昭和レトロな特別食堂再訪。


前回は満席だったのが嘘のように、今回は空いておりまする。
丁寧な店員さんに案内され、奥の落ち着けるお席へ。


前回と同じ、マロンシャンテリーを注文しようと思うたが、メニューに「プリンアラモード」の文字を見つけましたのじゃ。
食品サンプルもメニュー写真もありませぬが、レトロな食堂ならば、舟形のガラス器にプリンとバニラアイスと果物と生クリームに決まっておろうが。

プリンアラモードを持ってまいれ~!


・・・!?!? オシャレアラモード?


お味は美味しゅうござりますが、あまりの小ささと生クリーム無しに、ちゃぶ台、もといテーブルひっくり返しそうになりましたぞ。
20人前+生クリームも山盛りプリ~ズ!