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著者は精神科医の立場から追及しているので、養賢と三島の両者の精神面を中心に書いてあり特殊な専門用語も多くあり難しい。金閣寺を焼いてしまった青年層は吃音や精神分裂病(今は統合失調症と言うらしい)のハンデを持ち”金閣寺の美しさに嫉妬した”と言うのはそうではないと三島由紀夫は”金閣寺”で追求した。私は三島由紀夫の”金閣寺”を読み青年僧養賢の生い立ち、修業中垣間見た彼の師、慈海や先代の師などの世俗的な生活を耳にするようになり養賢の気持ちが憧れていた金閣寺から離れていった…と思う。養賢のIQは160で平均より上の知的能力は持っていた。三島は”金閣寺”を書くに当たって入念に事件を調査し事実経過を書いているので迫真に迫り、下手なミステリーを読むより面白かった事を覚えている。