2022(令和4)年 2月 22日
国立大学法人岡山大学
http://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
- マイクロ流路と呼ばれる細い流路に原料液を送液し、混合するだけで潜熱蓄熱材を内包したバイオベース高分子マイクロカプセルを高速連続製造する技術を開発しました。
- 本製造技術で得られた50~100μm程度のバイオベース高分子マイクロカプセルは、過冷却を起こさず、優れた蓄熱性能を示すことが確認されました。
- この環境低負荷な蓄熱マイクロカプセルを建築建材や保温容器に導入することによって、未利用熱を有効活用でき、省エネルギーに繋がるものと期待します。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:槇野博史)学術研究院自然科学学域(工)の渡邉貴一研究准教授、小野努教授と同大学院自然科学研究科博士前期課程の坂井優子大学院生は、中国精油株式会社と共同でマイクロ流路を用いたバイオベース高分子を殻材とする蓄熱マイクロカプセルの高速生産技術を開発し、その蓄熱特性を評価しました。
本研究成果は2022年1月26日、アメリカ化学会の「ACS Materials Au」誌に公開されました。
物質が液体−固体に相変化する際に生じる熱を吸収・放熱する材料を潜熱蓄熱材と言います。これまで、蓄熱材を高分子殻材で包むカプセル化技術は、蓄熱材の周囲環境への漏出を防ぐために多く開発されてきましたが、合成高分子を殻材として有害なホルマリンを用いる場合や、数時間の重合反応を要する手法でした。本研究では、原料液をマイクロ流路に送液するだけの簡便な方法によって、バイオベース高分子を殻材とするホルマリンフリーの蓄熱マイクロカプセルを連続的に製造できるようになりました。
今後、本材料を建材や保温容器に導入し、冷暖房の代替とすることによって電力消費を削減でき、省エネルギーに繋がることが期待されます。
◆小野努教授からのひとこと
これまでのパラフィン系蓄熱カプセルの原料や製造工程を見直し、産学共同でバイオベース材料のみでホルマリンも用いず従来と同等性能の蓄熱カプセル調製を実現しました。本手法ではさらにサイズを揃えて製造できることから、より高い付加価値の提供も期待できます。
◆論文情報
論 文 名:Microfluidic Production of Monodisperse Biopolymer Microcapsules for Latent Heat Storage
掲 載 紙:ACS Materials Au
著 者:Takaichi Watanabe, Yuko Sakai, Naomi Sugimori, Toshinori Ikeda, Masayuki Monzen, and Tsutomu Ono
D O I:10.1021/acsmaterialsau.1c00068
U R L:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsmaterialsau.1c00068
◆詳しいプレスリリースについて
バイオベース高分子を殻材とする蓄熱マイクロカプセルの高速生産
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r3/press20220217-4.pdf
◆研究資金
本研究は、経済産業省戦略的基盤技術高度化支援事業 JPJ005698「大幅なCO2低減を実現する世界初バイオマス由来の蓄熱材開発」の支援を受けて実施しました。
◆参 考
・岡山大学工学部
https://www.engr.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学大学院自然科学研究科
https://www.gnst.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学大学院自然科学研究科 応用化学専攻 界面プロセス工学研究室
http://achem.okayama-u.ac.jp/interface/
・中国精油株式会社
https://www.chusei-oil.com/
◆参考情報
・【岡山大学】自己多層乳化を用いたマトリョーシカ微粒子の調製 〜油と水を混ぜてすぐ固めるだけ〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000430.000072793.html
・【岡山大学】学術研究院自然科学学域の小野努教授が「ディープテックグランプリ2021」で三井化学賞を受賞
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000298.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 自然科学学域(工) 教授 小野努
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:086-251-8083
FAX:086-251-8083
http://achem.okayama-u.ac.jp/interface/
<岡山大学の産学連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2022年2月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000474.000072793.html
岡山大学『THEインパクトランキング2021』総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html