正面にステージがあり、花笠音頭のような踊りが披露されている。
手招きされてテーブル・・・鉄板の席に着くと、正面に座った見知らぬ男から冷えていない瓶のビールを注がれた。
ステージの前の鉄板は6、7メートルもの大きさで、各テーブルの鉄板も2メートルちかくはあるしろものだった。
客は皆浴衣を着ており、湯上りなのか、首からタオルを下げている人もいる。
ぬるいビールを一口飲むと、すかさず向かいの見知らぬ男に継ぎ足される。
いったいコイツは誰なのだろうかという疑問を持つ間もなく、料理・・・もんじゃが運ばれてきた。
大きな丼に得体のしれない黒々とした塊と、チーズらしき物体が山盛りになったもんじゃを、客たちはかき混ぜることもなく、ほぼいっせいに鉄板にぶちまけた。
ジャーッ !! というものすごい音と、もうもうたる湯気が立ち上り、一瞬視界がぼやける。
ステージの前の巨大なプールみたいな鉄板にも、四方からもんじゃがぶちまけられ、まるで噴煙のような煙と、地獄の業火で煮えたぎるマグマのようにグツグツともんじゃが音を立てていた。
客たちはただそれを見ているだけで、食べようともせず、ペチャクチャと談笑しているばかりだ。
いたたまれなくなって席を立とうとすると、
「どこいくの」
向かいの男に見とがめられた。
「トイレ」
ムッとして言い、宴会場を出て廊下の奥のトイレに向かった。
用を足そうと金隠しの前に立つと、隣から、
「なんだ、また、来たの」
と、「悪魔のあっくん」から声をかけられた。
“またじゃねぇや”と心のなかでつぶやき、トイレを出ようとすると、意味ありげなちょいワルな笑いを浮かべて「悪魔のあっくん」が見つめていた。
宴会場のステージでは、今度はタキシードの男性グループが歌を披露していた。
鉄板にぶちまけられたもんじゃは、あらかた蒸発したり、チーズは焦げてこびりつき、ところどころに黒々としたラグビーボール状のハンバーグが転がっているだけだった。
それを見て、“ああ、チーズハンバークもんじゃだったのか”と納得した。
席に着くとふたたび向かいの見知らぬ男から、もうすでにぬるま湯になっているビールを注がれた。
グラスを手にしただけで嫌になり、席を立つと、
「どこいくの」
と言われ、
「トイレ」
と無愛想に応えて、宴会場を後にした。
トイレの入口の壁に持たれた「悪魔のあっくん」が、また意味ありげなちょいワルな笑みを浮かべ、
「ちかいね」
と声をかける。
“大きなお世話だ !! ”だと心のなかでつぶやき、今度は個室に入った。
個室は壁も床も天井も板張りで、中央に空のサケ缶がひとつ置いてあるだけだった。
何もしないままトイレを出ると、入り口で「悪魔のあっくん」は唇を歪め、眼鏡の奥でちょいワルに笑った。
宴会場では、ラグビーボール状のハンバーグが鉄板の上で立てられ、まるでエイリアンの卵のように無数に並んでいた。
席につくのと同時に、向いの見知らぬ男が、完全にお湯になったビールを手にする。
注ごうとするのをひったくり、鉄板の上にダバダバとこぼしてやった。
瞬間、宴会場が凍りつき、客たちがみな唖然としてこっちを見つめる。
だから、なんなんだ、だから、なんなんだ、だから、なんなんだ、だから、なんなんだ、だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
体調が悪くて眠れなかったとき、朝方ウトウトしたなかでみた悪夢だ。
その後、断片的に続きのような夢を見続け、頭から離れなくなっていた。
誰かに話したり、ブログに書けばすっきり忘れられると思い、夢を総集編のようにまとめたものが上記の「チーズハンバークもんじゃの夜」だ。
もうこれで、厄落としができたと思う。
それにしても、チーズハンバークもんじゃなんてものがあるのだろうか ?
それにしても、向かいの名も知らぬ男はだれだったんだろうか?
それにしても、「悪魔のあっくん」はなぜトイレで意味ありげに笑っていたのだろうか ?
それにしても、なぜこんな意味不明な悪夢をみるのだろうか ?
心身ともに立ち直らねば・・・・・・
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