「山本弘」という作家の小説を読んだのは2007年の「MM9」シリーズからで、その後「と学会」・トンデモ本でもう少しこの作家を知るようになった。
「人生に必要なことはすべてSFから学んだ」という筆者にとってのSFとは「筋の通ったバカ話」とのことで、
「いい歳して子供向けのアニメや特撮番組に熱くなる一方、戦争やテロのニュースに胸を痛め、物理学や宇宙開発に興味を持ち、最新の科学のトピックスに常に目を光らせている。テレビにはびこるエセ情報やインチキ超能力を糾弾する一方、UFOやオカルトの話が大好きだ。二次元の美少女たちを愛でる一方、家庭では妻を愛する夫であり、娘を愛する父親である」
という筆者唯一のエッセイ集が「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」だ。
その第5章、210ページに「宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?」の問題提起があり、筆者が近くのスーパーで買ってきたくりまんじゅうをモデルに科学的・SF的考察をし、ドラえもんの打ち上げたくりまんじゅうロケットの愛のある結末を述べている。
「空想科学読本」を批判する筆者はSFマインドあふれるドラえもんは好きだといい、1995年の「ガメラ 大怪獣空中決戦」で二度も涙したという。
その涙したシーンは実はこのワテクシも大好きなシーンで、ガメラが回転ジェットで飛ぶところと、断末魔のギャオスが放った超音波メスが空に伸びてゆっくり消えていくところだ。
その反面「ウルトラマンティガ」をまったく支持しないと言い切り、それは筋が通らないウルトラだからだという。
たしかに昭和のウルトラやゴジラは筋が通らないことがいっぱいあったよね、だから「庵野秀明」は「シン・」を作ったのだろう。
また第2章「トンデモを見れば世界がわかる?」で疑似科学を盲信することに警鐘を鳴らし、トルマリンや血液型の性格診断、ロズウェルやアポロの月着陸でっちあげ説、キャトル・ミューティレーション、アトランティスとムー、ホメオパシー、そして「サイエントロジー」に懐疑的なスタンスを持ちつつ、トンデモ説を笑って楽しむ心のゆとりが必要だと説く。
「トム・クルーズ」ファンや「ジョン・トラボルタ」ファンには知らない人も多いだろうけど、彼らはSF作家「L・ロン・ハワード」が設立した新興宗教「サイエントロジー」の信者で、「トム・クルーズ」なんか2005年時点のパリ市議会で「歓迎すべからざる人物」と規定されたハズだけど、この間のオリンピックの閉会式では平気で出てきたということは、IOCの頂きバッハ会長に「サイエントロジー」側から献金でもあったのだろうか❓
また1999年の7の月の大予言は、ノストラダムス研究家たちにとって自身のレゾンデートルを確立する作業そのものだと断じ、現代物理学の進歩は古臭い運命論を打ち砕いて、不確定理論の発見、バタフライ効果の発見は、この世界が定まったレールの上を進んでいるのではないということを明らかにしたといい、ありもしないシナリオ・神のシナリオに振り回されるのは愚かなことだと説く。
未来はあなたが創るのだ、と。
とっても共感できる優れた物書きだった「山本弘」は、2024年3月に誤嚥性肺炎によりこの世を去った、享年68歳。
嗚呼、ほぼ同年代、合掌🙏