「ムロツヨシ」みたいな髪型の担当医が済まなそうにいう。
彼は腰が低く偉ぶらないのでなかなか好感が持てるのだが、それでも再手術の話しは喜んで聞けるようなことではない。
昨日もまたカテーテルの出口から液が漏れてしまい、感染防止のため熱めの生理食塩水できれいにし、バイオパットをあてガーゼで「多い日でも安心」な処置を施していたのだが、背中まで濡れるほど漏れてしまったのだ。
体の中でどうなっているのか医師立ち会いのもとエコーで調べたところ、腹膜に留めたあたりから液が出ていてそれが体の中のトンネルを伝わり出口部分から漏れたようで、カテーテルに破損があるわけではなさそうだとのことだった。
手術後の患部のカバーは通常二週間は剥がさないことになっているらしいが、漏れて濡れてしまっているのだから消毒して取り替えなければ、もし雑菌が入って腹膜炎にでもなったら一大事というわけだ。
腹膜とカテーテルがうまいことくっつくには最低でも二週間がかかるので、それまでなるべく動かないようにしていなければならないということで、トイレに行くのも車椅子でと言われたが、わずか5mの距離のトイレくらい立っていきたいと主張してそれはそろそろと行くことでよしとなった。
なのでそれ以外の検査などに行くときは、搬送部の人に車椅子を押してもらってまあ病院内タクシーみたいにいかなければならなくなった。
体の中に残っている液は40gほどしか排出できず、それ以上出そうとするとポコちゃんの付け根と肛門のあたりがツンツンして痛くなってしまう。
体の中でカテーテルが当って痛くなるからで、腹膜透析の患者は誰でもあることなのだという。
慣れしかないとは言っても、座っても寝ていても時どきポコちゃんと肛門がクリクリと違和感を覚えるので気持ちが悪い。
あーあ、腹にイチモツ入れた因果なポンコツになっちまったもんだ・・・。
今後外科のほうと話し合って、カテーテルをやり直すということもあり得るし、この二週間でカリウムやインスリンなどの数値が悪くなったら臨時で人工透析をしなけりゃならなくなることもあると告げられ暗澹たる気持ちでいたら、血圧は一気に200オーバー(~_~;)
もし明日、カーテーテルを引っこ抜いて新しいのに入れ替えるとなればまたあの地獄の痛みに耐えなきゃならず、お代はマケときまっせと言われたって嫌だ。
全身麻酔でその瞬間はわからなくても、かつて結石の手術後ポコちゃんに突っ込まれた管を一気に抜かれたあの気味の悪い痛みを思い出して、またポコちゃんは怯えて縮こまったミーアキャットのようになっちまった・・・。
にわかに病室の窓の外は一面白っぽくくもって激しく雨が降り出し、再び輸血となって他人様の深紅の血液が静かに体内に注入されているポンコツは身じろぎもできず、脳内では「ピンク・フロイド」の「吹けよ風、呼べよ嵐」が響きまくるのであった。
運命の死刑宣告は明日の午前中に告げられるであろう。
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