伝説の「東京蟒蛇倶楽部」が発足したのは、この大悪魔が夜毎ズンドコベロンチョになって階段落ちしたり、様々なことをやらかしたからに他ならない。
彼を悪魔ナンバー1号「悪魔のあっくん」と名付けたのは、龍柄の女悪魔「チエさん」で、
「あたしは女の子だから悪魔ナンバー003・フランソワーズよ」
なんて言い張り、ベロベロになると「ニャ~」とか「ガー」とかの意味不明な単語しか喋らないくせに、紅一点(でも悪魔で蟒蛇でっせ)だからと場を仕切るのが常だった。
一時期は8人ぐらいまで蟒蛇・悪魔ナンバーを持つ酔っ払いたちがとぐろを巻いていたが、ワレこそが悪魔ナンバー009になってやるなんて息巻いていたメンバーは、その後ひとり、またひとりと脱落していったのである。
ちなみにこのハイパーテンションのオヤジは悪魔0なんて、その当時一番下っ端だった「バーバーくん」に言われていたが、久しぶりに揃った大悪魔の幹部の「悪魔のあっくん」と「チエさん」の口からは、
「バーバーなんて甘チョビンだぜ」
なんて言葉がバシバシ出て、当時を知らない「ホリちゃん」や「投げちゃん」は目を丸くするほかないのであった。
もはや老年に差し掛かった大悪魔は、相変わらずブランド物でちょいワルを気取っていたが、昭和のブルワーカーで鍛えた甲斐もなく身体には締りがないうえ、今の20代には何語かもわからないような昭和のギャグをかまし続け、時の彼方に置いてきぼりを食らった昭和の酔っぱらいをまざまざと見せつけた。
だが変わらずブレない昭和の蟒蛇に、じつはホッとするのも事実だった。
元気でいてね、悪魔のおじいちゃん
ちょうど九州から焼酎が沢山届いたところで、その中の1本を目ざとく見つけた大悪魔は、王手門酒造の
「昔ながらのくっさい焼酎の逆襲 ! これが俺流の一本」
と銘打った芋焼酎 「喰らへ倍返し」を味わい顔をしかめた。
ライトな飲みやすい焼酎が多い中、久しぶりにこれは強烈な味だ。
たぶん、ちゃっかり野郎は飲めないだろう。
だがこの夜は、世が世ならぜひ「東京蟒蛇倶楽部に」入っていただきたかった女性「ウジイエさん」がステキなウイスキーを持ってきて下さり、おすそ分けしてくれた。
それは、
「シーバスリーガル ミズナラ スペシャル・エディション」
ちょっと飲んでみたかったが、買うのを迷っていた日本人のためのスペシャルなブレンデット・スコッチウイスキーだ。
最初はぜひストレートで飲んでみたい、繊細でなめらかで甘くふくよかな余韻が素晴らしい。
「ウジイエさん」わかってるなぁ。
いい仕事するなぁ。
とかなんとか感心しているスキに、大悪魔はズンドコベロンチョ一歩手前まできてご帰宅のお時間。
老体にムチ打ちコートを着て、「チエさん」に送られて駅へ向かった。
昭和の横浜まで帰って、「濱マイク」とBARで落ち合うのかどうか知らないが、乗り過ごして大正まで行かないようにね。
来月また来ることになるが、そのときは後の憂いを気にせず心ゆくまで飲んでくだされぃ。
グラッチェ、オレは待ってるぜ、アジャパー
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