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< ぼんくら >(ドラマ視聴)

2015年01月06日 | ドラマ。
宮部みゆきの「ぼんくら」シリーズは文句なく傑作認定。なので、ドラマになると聞いて大層楽しみにしていた。
岸谷五朗も、わりと信じられる役者。

だが期待が高すぎたせいか、1話は気に入らなかったな。
それでも視聴中止するほどではなくて、最終話まで見て、まあまあ楽しめたんだけど。


わりと独特な癖のあるドラマだったよね。その癖に慣れるまではツラかった。
岸谷五朗は何とかイケたけど、弓之助とお徳のノリはどうもツラかった。
まあでも、わたしに合わなかっただけで、工夫は凝らしている、ちゃんと創作物になっているドラマだと思う。
中盤の少しずつ謎が解けてくるあたりは面白くて、2話続けて録画を見たりしましたよ。


ただ、原作もそうなんだけど、話自体は今一つすっきりまとまってないよね。
原作は「?」と首を傾げそうになる話運びを、宮部みゆきのあの筆力ですんなり読ませてしまうんだけど、
ドラマはそこまで行ってなかった。鉄瓶長屋の面々を立ち退かせたい理由がアレなのはいいとして、
「立ち退かせたいと気付かぬように立ち退かせたい」という理由にはなっていないと思った。
いいじゃんね、「ここに(将来の)隠居所を建てるから、長屋の皆さん出て行ってくれ」で、何の波風も立たない。
そこをまわりくどく策を弄することで、とても不自然な話になっている。
不自然でしかも不審な話だから、そこで井筒の旦那がおかしいと思うんじゃねえか。


原作も読んだのは5年くらい経っている気がするので、そのうち読み返してみようと思ってるんですけどね。


役者は基本的にいい味の役者揃い。演出のノリがわたしは好かなかったが。
大杉漣の政五郎が何だか妙にかっこ良かったねえ。もっと出て欲しかった。
六平直政なんて、普段のコミカルな演技とそこまで変わってないのに、なんであんなに凄味があったんでしょうねえ。
コワかったもの。

弓之助とおでこは、わたしのイメージとは違った。弓之助の子はその昔の安達祐実とけっこう似てませんか。
「人形のようなきれいな顔」「道を踏み外しそうな美形」を持って来るのは大変だったでしょうね。
……そう、1話がそこから始まったから無駄にハードルが上がったのだ。
初っ端、美形の話をするんだったら、もっとこの世ならぬ美形の子役を探して来てもらわないと。
そこはちょっと脚本、もう少し考えた方が良かった。
長助の役の子が可愛かったなー。

須藤理沙がけっこう良かった。演出のノリと合っていた。
わたしは松坂慶子の演技が苦手でね。下手なんじゃない?と思う。昔は彼女、それこそ超美形だったが、
演技がそこからあまり現代物に移行してない気がする。演技って時代で変わるからね。
役柄はいいんだけどね、お徳さん。

ナレーションが寺田農だったのは少し疑問だった。というのは、志賀廣太郎の声とけっこう似てるじゃない?
ナレーションを誰がやっているのか確かめるまでは、てっきり志賀廣太郎がナレーションもやってると思って、
アンタは理由も不明で消息を絶っているのに、そんな呑気に語っている場合なのか?と違和感を持った。


まあでも、続編があるってことになったらまた見ますよ。
「日暮らし」と「おまえさん」ですよね。
原作もこのシリーズ、そろそろ新作を出してくれませんかね……。え、でも出てからまだ3年しか経ってないっけ?
5、6年経った気がしてたなあ。作品の作りこみ具合からいって、3年じゃまだ構想は出来上がるまい……。
わたしが死ぬまで、あと2作でも3作でもいいから読みたいもんです。




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