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大内麻紗子の【好きなことを好きなだけ】ブログ

新潟巡り(7)鮭の酒びたし

きれいに整えられた道。目の前には風情のある建物が並んでいる。町屋だ。

村上市は城下町の四大要素である、城跡・武家屋敷・町屋・寺町が今も残る、全国的にみても希少なまちなのだそうだ。

きょろきょろと左右を見渡し〝千年鮭 きっかわ〟を探す。入り口に掛けられた暖簾の大きな〝鮭〟の文字が風に心地よく揺れているのを見つけ、ここだと確信した。



「こんにちは〜」暖簾をくぐると干した魚の深みのあるいい香りに包まれた。

店内には常温のものから冷蔵品まで、様々な鮭の商品がぐるりと並べられている。入り口付近にはロの字に椅子が並べてあって、その真ん中でお湯に浸かって甘酒が気持ちよさそうにあたためられていた。立ちのぼる湯気に、心が和む。

店の奥へと進んでいくと突き当たり左手には引き戸があって、客が自由に出入りできるようになっていた。歴史を感じる扉に触れていいものかしばし悩んだものの、この奥にこそ見たい景色が広がっているに違いない。そう思い、私は恐る恐る引手に指をかけ、そっと扉を開けた。

後から知ったのだが、店舗と130年経つ茶の間、江戸末期に建てられた蔵の3棟は国の登録文化財に指定されていたらしい。


扉をくぐると目の前の景色が一変する。あった!これだ!私は心の中で叫んだ。そこにはお店のウェブサイトで見た、吊るされた鮭たちが写真そのままの姿で並んでいた。


まるでテーマパークに設置されたオブジェのように、建物と一体化して見える。口を開け鋭い歯を向けた鮭たちは、一見異様なようでいて、ここに長年あり続け、染みついた当たり前の光景として完成されていた。

すごい迫力に、見上げる私も同じように口を開け、迫力に押し負けそうになりながらもしばらくの間鮭と睨めっこを続けた。


次回【新潟巡り(8)鮭の酒びたしーその2



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