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青空ーすべてはバランス

ウイルスの基礎知識ー3細胞侵入後の増殖は

脱殻
細胞内に侵入したウイルス。活躍したカプシドは分解され、ウイルス核酸が出てきます。この過程を脱殻(だっかく)と呼ぶそうです。お米の脱穀と間違いそうですが、殻が取れて中身が出てくるからこう呼ばれているのでしょうか???それはともかく、脱殻が起こってから核酸が出てきて宿主細胞の核まで行き、大事な作業を無事に済ませ、増殖したウイルス子孫の遺伝子が侵入前のウイルス粒子の姿になるまでの期間は、発見しようとしても見えないようです。そして、この期間を暗黒期、あるいは日食や月食になぞらえてエクリプス期(eclipse period)と呼ばれています。

合成
ウイルス核酸が宿主の細胞核まで行くのは、自分だけでは増殖できないため、遺伝情報の複製やたんぱく質の合成に宿主を利用するためです。

具体的にどんなことが起こっているのか?
PART1に掲載したように、一般的に生物にはDNAとRNAの両方が含まれるけど、ウイルス核酸は、DNA(デオキシリボ核酸)あるいはRNA(リボ核酸)のどちらか一方しか持っていない。インフルエンザウイルスの場合はRNAウイルスです。その独特の遺伝子情報の複製の仕方があるのです。 

複製過程では,ウイルスRNA(vRNA)はRNA(cRNA)に読み替え。
cRNAを鋳型⇒子孫vRNA。 

インフルエンザウイルスは8本のRNAをゲノムとして持っています。この8本に分節された1本鎖マイナスRNAが酵素RNAポリメラーゼとヌクレオプロテイン(NP)との複合体として1セットでゲノムを構成している。インフルエンザウイルスが子孫ウイルスにゲノムを伝えるとき、8本のRNAを“1+7” に集合させる。その時に宿主細胞のリボソームRNA(rRNA)が加えられます

インフルエンザウイルスの転写(DNAの遺伝情報がRNAに写し取られること)は,宿主細胞mRNAを利用します。これによりウイルス核酸の遺伝情報が大量にコピー(複製)されます。

同時に蛋白質の合成には、宿主細胞の持つリボソームなどの蛋白質合成系が利用されます。

部品の集合とウイルス粒子の放出・出芽
別々に大量生産されたウイルス核酸とタンパク質は細胞内で再び集合します。
細胞から出芽したり、あるいは感染細胞が死ぬことによって放出される。このときエンベロープを持つインフルエンザウイルスは、出芽する際に、被っていた宿主の細胞膜の一部をエンベロープとして獲得する。この働きも増殖された子孫の遺伝子にすでにコードされている。

実は、インフルエンザウイルスの特徴として、ウイルス表面には感染を担うHA(ヘマアグルチニン)、及び感染細胞から離脱する際に機能するNA(ノイラミニダーゼ)がスパイクのようにくっついています。これが宿主の細胞内に侵入したり出たりする時に活躍します。

以上のように、吸着から出芽まで、宿主細胞の代謝を利用する、と言えばいいのか、あるいは協調すると言えばいいのか、とにかく「上手に、器用に」ウイルスが宿主細胞内で増殖するのです。

こんな人間にとって有害なものは、徹底的に消滅させればいいのでしょうか?うまくつきあえる状態にした方がいいのでしょうか?うまくつきあえる状態にせざるをえないのでしょうか?多分そうだと私は思います。

写真は
acworksさんによる写真ACからの写真

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