お金の専門家・FPでも積立投資で大後悔…新NISA2年生に告ぐ「これだけは絶対にしてはいけないNG行動」
2025/02/14 08:15 PRESIDENT Online 掲載
新NISAがスタートして2年目に入る。株価が堅調なときには資産も順調に増える投資だが、良いときばかりではないのが株価。新NISAで投資を始めたビギナーは、2年目を迎え、どんなところに注意が必要なのか。FP橋本絵美さんが、自身の失敗談をもとにアドバイスする――。
■暴落したとき人はどう動くか
2025年がスタートしました。新NISAから投資を始めて今年で2年目に入るという方も多いと思います。8月には暴落もありましたが、割とすぐに持ち直したため、恐る恐る投資を始めた人も今年は投資額を増やしたり、年初に一括投資をしたという人もいるようです。
相場が良いときにはどんどん投資額を増やしたくなるものですが、良いときばかりではありません。今回は筆者の失敗談に学ぶ、新NISA2年生が知っておきたい資産形成成功のコツについてお話しします。本当にお恥ずかしいのですが、皆さんの参考になればという思いで、筆者の失敗談を披露します。
現在、わが家の資産形成は投資信託のつみたて投資をメインとしています。かれこれ10年以上前のことになりますが、長期・分散・積立での資産形成にシフトし、世界株式に投資する投資信託に毎月つみたて投資を始めました。当時も今のように相場が良かったので、資産がどんどん増えていきました。
そうなると普通預金にお金を置いておくのがもったいない気がしてきます。普通預金に置いていてもほとんど利子がつかないので、スポットでどんどん追加投資をしていったんですね。すると、あるとき株価が暴落。保有資産残高を見ると投資した額の8割くらいに下落していました。
■暴落に慌てて売ってしまってダブルの後悔
びっくりして、これ以上損をしたくない! と思い、慌てて全て売却しました。そのときは、「調子にのってどんどん突っ込むんじゃなかった‼」とものすごく後悔したのを覚えています。もっと増えるかもという欲は出さずに、堅実につみたてだけにしておこうと心に決めました。
そして、その後どうなったかと言うと、去年の8月以降のように、しばらくすると株価は戻りました。ですが、私は売却してしまったので、損しただけです。慌てて売ってしまわずに保有し続ければよかったと、さらに後悔することになってしまいました。
利益がふくらんだとき、人はどう動くか
恥ずかしながら、もう一つ失敗談があります。今度は利益が出たときに利益確定させたいと思ってしまったのです。一度利益を確定させて、また一からつみたてたら、下がったときに損が少なくなってよいのではないか? と思ってしまい、利益が出ているタイミングで売却してしまいました。
でも売却後もどんどん株価が上がっていったので、しまった! 売らなければもっと利益が出ていたのに! と後悔しました。売却後もつみたて投資は継続していたので、売って、また買うのであれば、そのまま置いておいても一緒ですよね。
「ばかだなぁ」と思う方もいるかもしれませんね。長期投資の基本をしっかりと理解していないから、そういう失敗が起きるのです。ただ、理解していたとしても、実際にそうした事態に直面すると、人間の心理としては、やはり下がっても売りたくなるし、上がっても売りたくなってしまうものなのかなと思います。私自身は両方の失敗を経験して、株価が上がろうが下がろうが、そのとき資金が必要でないのであれば、つみたてと保有を続けようと心に決めました。
■必要なときに必要な金額だけ売る
昨年2024年の8月の暴落時にはどうしたかというと、今回は売却せずに追加投資をしました。その後上がったからよかったものの、下落が続いていたとしたらまた後悔したかもしれませんね。とはいえ、長く投資をし続けているおかげで順調に資産形成をすることができています。保有資産を売却する際は上がったから売る、下がったから売る、のではなく、必要なときに必要な金額だけ売るということを戒(いまし)めにしています。
ちなみに特に売却などはしていない確定拠出年金はコロナショックのときには投資額の96%になり含み損が出ていましたが、現在は207%となっています。これを見ると売ったり買ったりといじらなくても、淡々とつみたて投資をしておけばいいということがよくわかります。確定拠出年金も追加投資が簡単にできるようになっていたとしたら、また失敗していたかもしれませんが、制限があることが逆にメリットになったのかなぁと思います。
積立投資と一括投資どちらがいいのか?
2024年の投資結果が好調だったために今年は投資額を増やしたり、一括投資をした方がいいのではないかと考える人も増えているようです。でも良いときばかりではないということは知っておいた方がいいと思います。リーマンショックの直前で一括投資をした場合には、含み損が解消するのに5年以上かかっています。
バブル時に日経平均に投資をしていたとしたら、バブル崩壊前の水準に戻るのに30年以上の歳月がかかっています。もし、バブル崩壊直前の最高値で一括投資をしていたら、34年間含み損をかかえることになるわけですから、一括投資ではなく積立投資にしておけばよかったと思うことでしょう。上がったときには一括投資しておけばよかったと思うでしょうが、下がったときには積み立てておけばよかったと思うものです。
■感情を勘定に入れる
そもそも経済は成長していくと信じるからこそ投資をするものです。しかし、成長は直線的に右肩上がりをしてくれるわけではなく、上がったり下がったりしながら成長していきます。将来的に上がっていくと信じるのであれば、一括投資しておくことが合理的ですし、つみたて投資の場合であっても下がったときに追加投資できればいいのですが、やはり感情に左右され、なかなか合理的な判断はできないものなのです。
いざ下がったときに自分がどのように感じ、どのような行動をとるかは、実際にその局面にならないとわからないものなのだなぁと私は自分の体験からも実感しました。一括投資直後に下がったら、自分がどう感じるか、どう行動するか、含み損が一定期間以上続いたときにどうするか。合理的な答えではなく、自身の感情を勘定に入れておかないといけないと思います。
また、特に短期的には元本を割ってしまうこともあるので、数年先に必要な学費や生活費まで投資すれば増えるからと投資してしまわないようにしてください。10年以上先の教育費であれば、株価が一旦下がったとしても戻るのを待てる場合もあるので、一部を投資で準備するのはよいかと思います。
ただし、全てを投資で増やそうとしたり、安易な利回りのシミュレーションをしてはいけません。何のためにいつまでにいくら必要なお金なのかを考え、それぞれの目的と期間にあった投資先を決めてください。投資のようには増えないとしても、場合によっては預貯金で貯めることも必要です。とにかく長く投資を続けられる、損を許容できる金額をしっかり考えておきましょう。
一括投資の方が増えるというのは結果論であって、実際にはやはり、長期・分散・積立で長く投資を継続することが資産形成の秘訣であると思います。コツコツつみたてができるような家計習慣、生活習慣とすること自体もとても大切なことです。収入の4分の1を天引きして投資し、残りの範囲内で暮らす。この方法は投資のレジェンドである本多静六博士が資産を築いた方法です。つみたてができるような生活をしていれば、たとえ株価が下がったとしても貧乏になることはありません。
まとめ
新NISAで年間の非課税投資可能額が増えたことや2024年の株価が好調だったことから、今年はリスクを取りすぎてしまう人も出てくるかもしれません。筆者のエピソードを参考にしていただき、株価が上がっても下がっても投資を続けられる金額や方法をとることをおすすめします。一括投資であってもつみたて投資であっても長く投資し続けること、市場に居続けることが資産形成成功の秘訣なのではないでしょうか。
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橋本 絵美(はしもと・えみ)氏 はしもとFPコンサルティングオフィス 代表
6人の子どもを持つママFP&お片づけプランナー。福岡県出身。小さな頃から「大家族のママになりたい!」という夢を持ち、慶應義塾大学商学部卒業後、学生時代から交際していた夫と結婚。現在、中学2年生から3歳まで2男4女の子育て中。
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