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25/3/7金15;20原価率5割」800円で牡蠣ラーメンを出す男の勝算 あえて薄利多売を追求!「無冠 阿佐ヶ谷」の流儀

2025-03-07 15:20:48 | 米国株

原価率5割」800円で牡蠣ラーメンを出す男の勝算あえて薄利多売を追求!「無冠 阿佐ヶ谷」の流儀24/12/07 6:40井手隊長 様記事抜粋<

無冠 阿佐ヶ谷 牡蠣塩ラーメン
「無冠 阿佐ヶ谷」の牡蠣塩ラーメン。税込み800円、原価率は税抜き価格に対して脅威の50%という高さだ(筆者撮影)
おはようございます
牡蠣塩ラーメン 800円 広島県産牡蠣
税抜約720円
原価5割
お客様の笑顔10割になれるよう今日もスタッフ一同頑張りますので本日もよろしくお願いします

これは東京・阿佐ケ谷にある「無冠 阿佐ヶ谷」というラーメン店のXのポストである。

「無冠 阿佐ヶ谷」はJR阿佐ヶ谷駅北口から徒歩2分、駅の目の前にある商業施設「パサージュ阿佐ヶ谷」の1階にあるお店だ。

ラーメンの口コミサイト「ラーメンデータベース」では92.79点(2024年12月3日現在)を誇り、阿佐ヶ谷エリアでは2位となっている。

牡蠣のうま味あふれる「牡蠣塩ラーメン」が看板メニューで、連日大人気のお店だ。

ラーメン店の原価率は30~35%程度だが…

なんといっても気になったのは「原価5割」という言葉。ラーメン店の原価率の平均は30~35%程度と言われており、これでも一般的な飲食店の平均である25~30%に比べると少し高い傾向にある。

【画像10枚】都内でこの価格は凄い! 「阿佐ヶ谷 無冠」の絶品牡蠣ラーメンや、話題となったXでの投稿
原価率というのは、簡単に言えば仕入れ原価を売上高で割り、100を掛けた数字。例えば800円(税別)のラーメンを原価率30%におさめるには仕入れ金額を240円にしなくてはならない。
卓上トッピングも無料というから驚きだ(『無冠 阿佐ヶ谷』Xより)

ラーメン店はスープの材料、タレ、麺、具材などそれぞれの仕入れ価格との戦いを強いられ、何とか原価率を保ちながらお店を運営している。

その中で、「原価率50%」というのはとんでもない数字である。

数字を聞いただけでもかなり薄利なことは予想できる。下手をすると利益は出ていないのではないかとすら思ってしまう。

「無冠 阿佐ヶ谷」の外観。阿佐ヶ谷駅からほど近い、一等地にある。ここで、どう考えても原価がかかる牡蠣のラーメンを800円で出しているのだから驚きだ(筆者撮影)

いったいどんな工夫や努力をしてお店を運営しているのか、「無冠 阿佐ヶ谷」の店主・小松崎敏さんを取材した。

小松崎店主のこれまで

まずは「無冠」とはどんなお店なのか。小松崎店主の経歴から見ていこう。

小松崎さんは茨城県出身。両親が共働きで、幼い頃から家で料理をする子供だった。

中学時代からボクシングをやっていて、23歳の頃からTBS「ガチンコ!」の人気コーナー「ガチンコファイトクラブ」に出演していた。アマチュアのボクサーをデビューさせるという企画で、小松崎さんのデビュー戦の放送は視聴率25%を記録した。その後、結婚し自動車の仕事をしていたが、30歳で離婚する。

38歳で上京し、ボクシングのトレーナーの仕事を始めた。ジムのあった五反田でよくラーメンを食べに行っていた。ラーメンを食べていると、自分でもラーメンが作れるのではないかと思い始めた。

家で試しにラーメンを作って、ジムの教え子に食べさせてみると好評で、だんだんと美味しいラーメンが作れるようになってきた。

このままトレーナーの仕事をやっていても、自分でジムを経営するぐらいでないと先はないと思い、心機一転、ラーメン店をオープンすることにした。

王子の小さな店でスタート、2店目で百名店に

東京・王子の住宅街にある5.5坪の小さなお店を借り、「ざ銀ざ」というお店を始めた。お金がなくて看板をつけられず、赤いのれんを出すだけのお店だった。

レギュラーメニューがなく、思いつきでいろんなラーメンを作って一杯500円で提供していた。Twitter(現X)のアカウントもなく、臨時休業も多いお店だったが、口コミだけでお客さんが増えていき、多いときはランチで70杯出ることもあったという。

ネットへの書き込みもほとんど見ることがなく、常連客になぜSNSにアップしないのかを聞くと「宣伝するとお店が混んで入れなくなるから」と言われた。

小松崎さんはもっと広い物件を借り、看板をつけてお店をやったらさらにお客さんが増えるだろうと考え、移転を決意する。「ガチンコファイトクラブ」時代にジムのあった板橋のときわ台に一軒の物件が見つかる。これは運命だと思い、2018年に「soupmen」をオープンした。

鶏醤油ラーメンを提供し、価格は600円だった。オープン当初から30人ぐらい並ぶ人気店になり、2年目で「食べログ百名店」に選ばれた。

「食べログの点数は3.93点まで上がり、看板をつけると違うなぁと思ったものです(笑)。

線路沿いで場所も良かったので、いろんなところからお客さんが集まりました。週末は40~50人の行列になり、そのうち苦情が出るようになってしまいました」(小松崎さん)

予約が10秒で埋まり、「広い店に戻そう」

店主・小松崎敏さん。元ボクシングのトレーナーという異色の経歴ながら、これまでに出した店はすべてヒットするという、天才的な商才を持っている(筆者撮影)

その後、2022年、中野坂上で「むかん」をオープン。5席のみの小さなお店で、「完全予約制」という珍しい営業形態をとる。当時、予約制は「中華蕎麦 とみ田」「らぁ麺 飯田商店」など一部のお店でしか採用されていなかったのでまだ画期的だった。

1日20人限定で、「soupmen」とはイメージを一変し、好きなことを細々とやりたいと思って始めたが、実際はそうはいかなかった。

「『soupmen』で3時間並んだ人がお店に入ってきた時の顔が怖くて、これ以上並ばせられないと思って始めた予約制でしたが、予約は瞬殺で、全然予約が取れないとネットにたくさん書き込まれることになりました。

その後従業員を雇って一日80杯まで増やしましたが、それでも10秒で予約が終わってしまう状態になりました。

お店には行列はできませんが、SNSやDMでさまざまなご意見をいただくようになってしまいました。こうして、また広いお店に戻さないといけない事態になりました」(小松崎さん)その後、2号店「中華蕎麦 無冠」を五反田に作り、ここは弟子に譲ってのれん分け店となる。

さらに、中野坂上のお店を休業し、初台に移って予約制をやめて営業を始めたが、ここも行列問題で半年でクレームが数回にわたって出るようになってしまった。

そして、「無冠 阿佐ヶ谷」は誕生した

「無冠」の看板(筆者撮影)

ここもうまくいかず、今年7月、阿佐ヶ谷に移転し、「無冠 阿佐ヶ谷」をオープンすることになる。ここでも行列にクレームが来たが、並び方をなんとか工夫し、営業を続けられることになった。看板メニューの「牡蠣塩ラーメン」は800円で提供している。

「中野坂上や初台に比べると客単価がだいぶ低くなりました。1000円を切る日もあります。

周りの飲食店を見渡しても800円からは上げられない状態です。となると原価率が50%になってしまうんです。1日平均で230杯を提供し、客席の回転重視で何とか回しています」(小松崎さん)

牡蠣塩ラーメンは「soupmen」時代からの人気メニューで、味や見た目は真似できても、値段までは真似できないだろうと小松崎さんは笑う。

(筆者撮影)

大量の牡蠣を使うスープにいちばん原価がかかっていて、麺も最近1玉10円値上がりした。10円がどれだけ大きいかと嘆く。ぶどう山椒、にんにくりんご酢、自家製辛子高菜など豊富な卓上アイテムも無料。ぶどう山椒は1㎏7万円と超高級だが、それでも無料だ。

豊富な卓上アイテムもすべて無料(筆者撮影)

「“原価率50%”と一口に言っても、1400円で売れば、消費税を引いても600円強は儲かります。2000円で売れば900円以上は儲かるんです。

ですが、800円で売る場合は全然儲かりません。薄利多売でお客さんを増やすしかないんです」(小松崎さん)

1日200杯をしっかり売り、定休日なしでお客さんをたくさん呼ぶことが「無冠」の戦略のすべてだ。オペレーションを徹底的に工夫し、なるべく行列が長くならないようにする

これでもかと牡蠣の旨味あふれるスープ。塩なので牡蠣らしさがまっすぐ出ており、たまらない美味しさだ(筆者撮影)

スタッフを4人入れ、茹で時間の短い細麺をずっと茹で続け、1杯1分以内で仕上げていく。盛り付けもシンプルにして、素早く提供できるようにしている。

もちろん、廃棄ロスの削減も頑張っている

食材をムダにしないのも小松崎さんのこだわりだ。

牡蠣のスープを取りながらブレンダーをかけて実を細かくしていき、これにニンニクなどを和えてムース状にする。この牡蠣ムースを麺の上にたっぷりのせるようにした。牡蠣のスープとともにムースを味わうことで、牡蠣のうま味がブーストされる。

これはムダなく食材を使うという考えが原点にある。スープに使った食材は、ダシガラとなり廃棄されてしまうことが多いが、ダシガラも味が残っているのでなんとかうまく使えないかと考え、このムースができた。牡蠣ムースは今や「無冠」のラーメンの大きな魅力の一つ

牡蠣ムースでさらに旨さがブーストされている。揉み海苔もムースとともに麺によく絡んで、とても美味しい一杯だった(筆者撮影)

「安く売って満足してもらうことでファンができていきます。1日100杯出す店より200杯出す店のほうが確実にファンが多くなります。長い目で見たら常連の数が全然変わってくると思うんです。

スタッフも、ヒマよりは動き続けているほうが楽なものです。ガンガン売れる喜びを、味わってもらえていると思います」(小松崎さん)

薄利多売というと、どうしてもネガティブな印象を持たれがちだが、それだけ多くのファンが生まれやすいし、従業員にも働く楽しさを与えられる。小松崎さんはそう考えた

社員には月給35万円、週休2日をしっかりと与える。売り上げや客数が下がった場合は接客を徹底的に見直す。味は小松崎さんが責任をもってクオリティーを保っていく。

「美味しくても接客が悪かったらその店にはもう行きません。こちらがいい接客をすれば、お客さんも応えてくれます。うちのお店が有名になればなるほど、接客も評価されていくようになるんです。お客様からお金をいただいている限りは、こちらはイライラしないと決めています」(小松崎さん)

800円で原価率50%。完全に限界まで来ていると思うが、小松崎さんは本当はもっと安く提供したいのだという。

良い素材を使って高級なラーメンを作ってきたこともある。だが今は安くて美味しいものを作りたいというマインドになっている。

「無冠」のラーメンを食べたいという需要が大きいならば、単価を上げるよりたくさん売るほうをとりたいというのが小松崎さんの考えだ。

「入れかわり立ちかわりお客さんが入ってきて、『いらっしゃいませー!』の声が響いているのはテンションが上がるものです。ここまで来たら、牡蠣で天下を獲りたいと思います」(小松崎さん)

小松崎さんは天下を獲りに行く

小松崎さんはどこで店を出しても必ずお客さんがついてきてくれる。「ヤドカリ戦法」と小松崎さんは呼んでいるが、だんだんお店を広くして、たくさんのお客さんが来られるようにしてきた歴史だ。

「無冠」のブレイクで全国に牡蠣ラーメンのお店が増えてきたため、小松崎さんは辞めることも考えたが、逆にあまりにお店が増えてきて悔しくなり、今後も牡蠣ラーメンのブームを牽引していくことに決めたという。

ここまで牡蠣のうま味があふれるラーメンであればもっと価格が高くてもと思うが、小松崎さんはあくまで客席の回転重視にこだわる。

「お店の場所や規模で、売り方というのは変えるべきだと考えます。店が狭くてお客さんの数が限られるなら高価格に、逆に店が広くて席が多いなら安く提供する。

ラーメン店という滞在時間の短いものにお客さんがいくら払えるのかと思うと、私は阿佐ヶ谷ではあくまで需要の多さに応える形をとっていきます」(小松崎さん)

行列問題にずっと悩まされてきた小松崎さんの歴史。究極の回転重視の薄利多売で、小松崎さんは牡蠣ラーメンで天下を獲りに行く。

社員には月給35万円、週休2日をしっかりと与える。売り上げや客数が下がった場合は接客を徹底的に見直す。味は小松崎さんが責任をもってクオリティーを保っていく。

「美味しくても接客が悪かったらその店にはもう行きません。こちらがいい接客をすれば、お客さんも応えてくれます。うちのお店が有名になればなるほど、接客も評価されていくようになるんです。お客様からお金をいただいている限りは、こちらはイライラしないと決めています」(小松崎さん)

800円で原価率50%。完全に限界まで来ていると思うが、小松崎さんは本当はもっと安く提供したいのだという。

良い素材を使って高級なラーメンを作ってきたこともある。だが今は安くて美味しいものを作りたいというマインドになっている。

「無冠」のラーメンを食べたいという需要が大きいならば、単価を上げるよりたくさん売るほうをとりたいというのが小松崎さんの考えだ。

「入れかわり立ちかわりお客さんが入ってきて、『いらっしゃいませー!』の声が響いているのはテンションが上がるものです。ここまで来たら、牡蠣で天下を獲りたいと思います」(小松崎さん)

小松崎さんは天下を獲りに行く

小松崎さんはどこで店を出しても必ずお客さんがついてきてくれる。「ヤドカリ戦法」と小松崎さんは呼んでいるが、だんだんお店を広くして、たくさんのお客さんが来られるようにしてきた歴史だ。

「無冠」のブレイクで全国に牡蠣ラーメンのお店が増えてきたため、小松崎さんは辞めることも考えたが、逆にあまりにお店が増えてきて悔しくなり、今後も牡蠣ラーメンのブームを牽引していくことに決めたという。

ここまで牡蠣のうま味があふれるラーメンであればもっと価格が高くてもと思うが、小松崎さんはあくまで客席の回転重視にこだわる。

「お店の場所や規模で、売り方というのは変えるべきだと考えます。店が狭くてお客さんの数が限られるなら高価格に、逆に店が広くて席が多いなら安く提供する。

ラーメン店という滞在時間の短いものにお客さんがいくら払えるのかと思うと、私は阿佐ヶ谷ではあくまで需要の多さに応える形をとっていきます」(小松崎さん)

行列問題にずっと悩まされてきた小松崎さんの歴史。究極の回転重視の薄利多売で、小松崎さんは牡蠣ラーメンで天下を獲りに行く。

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