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25/3/7金14;50ラーメン店主も疑問「麺硬め」「味濃いめ」流行の謎 普通が一番美味しいのに…ブーム形成の"裏側"

2025-03-07 14:47:24 | 米国株

ラーメン店主も疑問「麺硬め」「味濃いめ」流行の謎普通が一番美味しいのに…ブーム形成の"裏側"25/03/06 4:45井手隊長 様記事抜粋<

ラーメンを食べる際に「麺かため」や「味濃いめ」を注文する人が多い、意外な理由とは? 写真は赤坂にある「博多ラーメン 和」の博多豚骨ラーメン(筆者撮影)
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博多豚骨ラーメンのお店に行って「麺かため」で注文する。横浜家系ラーメンのお店に行って「麺かため、味濃いめ」で注文する。こういう人は結構多いのではないだろうか。かくいう私も昔はそうだった。

では「なぜそうするのか」と聞かれたらどう答えるだろうか。これが難しい。

どのラーメン店においても、すべてデフォルトのまま、つまり「普通」で注文すれば店のベストの一杯が出てくるはずだ。一回も店のベストの味を食べずに、一杯のバランスを崩してまで「麺かため」や「味濃いめ」を注文してしまう心理は、昔から不思議だった。

前提として「麺かため」「味濃いめ」を否定しているわけではない。このニーズは大きく、お客さんが自分の好みにカスタマイズできることは、博多豚骨ラーメンや横浜家系ラーメンのお店の大きな魅力であることは間違いないだろう。「ニンニク入れますか?」の二郎系ラーメンも同様だ。

今回の記事はそういったことを否定しているのではなく、デフォルトのラーメンを食べずに、なぜ人は「麺かため」や「味濃いめ」を注文してしまうのかという現象について検証したい。

“らしさ”や文化を楽しむという意味での「麺かため」

東京・赤坂にある「博多ラーメン 和」の馬場圭佑店主に話を聞いた。なぜ博多豚骨ラーメンのお店では「麺かため」が好まれるのか。

「うちのお客さんからは『かたければかたい方が通っぽく感じる』とか『格好良く感じる』という声が多く、『麺かため』がお客さんの考える“理想の頼み方”になっているようです。

その理由としては、郷に入っては郷に従えで『日本の豚骨ラーメンといえばバリカタ』というそのラーメン独特の文化を楽しもうとしているのかもしれません」(馬場店主)

店を継いで10年目にして大ブレイク、今やテレビ取材なども多い「和」。自家炊き濃厚ど豚骨を掲げており、その一杯は極上だ(筆者撮影)

豚骨ラーメンなら「かためが通でしょ」「やっぱりバリカタでしょ」という通っぽい文化に流されているようだ。

本当に「かため」が好きな人よりも、通っぽさや博多ならではの文化を楽しむ人が多いのかもしれない。

「外国人のお客さんだと、麺のかたさは『普通』か『柔らかめ』が実は9割以上です。

麺単体でいえばしっかり茹でた方が美味しいかもしれませんが、多くのお客さんが求めているのはそこではなく、“博多ラーメンらしさ”という観点や文化を楽しむという意味で注文されている気がします」(馬場店主)

自分が博多に初めて行ったときに迷わずかためを注文してしまったのは、現地で「かため」や「バリカタ」と言ってみたかったというところが大きいのかもしれない。麺のかたさの注文の仕方に文化を感じるというのは他のラーメンにはなかなかないところだろう。

情報や伝統がファンの行動を左右させている

もう1つ気になるのは横浜家系ラーメンの「麺かため」「味濃いめ」だ。

まずは博多豚骨ラーメンの店主の意見を聞いていこう。

こちらは1997年創業の横浜家系ラーメンの人気店「武蔵家」の総大将で、「ラーメン 三浦家」の店主・三浦慶太さんに話を聞いた。

「麺かためはもともと多かったですが、味濃いめは最近になってかなり増えました。家系ラーメンに関しては“情報を食っている”お客さんがかなり多いんじゃないかと思います。“醤油感=濃いめ”という。

もともと家系ラーメンの場合、カエシに塩を入れず、醤油にうま味調味料を入れて“醤油感”を出すのですが、それが正義みたいになっている気がします」(三浦店主)

「醤油感のある家系ラーメンが旨い」というトレンドが先行して「味濃いめ」が増えているということだ。

情報と伝統を食べている人が増加している?

一方で、醤油感の強いしょっぱめな家系ラーメンが増えてきている中で、豚骨の骨感をじんわり感じるクラシックな家系ラーメンも人気だが、ここについてはどうか。

「お客さん側から見ると家系ラーメンって難しいですよね。特に今、クラシック系は旨いって言わないと駄目な風潮がある気がします。情報と伝統を食っているラヲタの人が増えてきていますね」(三浦店主)

「三浦家」のラーメンは家系ラーメンの定義にとらわれないために家系を「卒業」宣言した(筆者撮影)

家系ラーメンがそれだけ人を熱狂させる食べ物であるからこそ、情報や伝統がファンの行動を左右させているということなのである。

とは言え、家系ラーメンもここ10数年でかなり多様化してきたので、筆者としては好みのお店、味を見つけて気軽に楽しんでほしいと感じる。

もちろん専門家であれば情報や伝統も大事だが、目の前のラーメンを美味しく楽しく食べることのほうが、尊いと考えるから

三浦店主は、麺をめぐる店側の在り方についても、このように話す。

「麺に関しては、かためをワシワシ食べたい人が多いと思います。かためといっても、コシがいちばん出る炊き加減をかためと認識しているお店は少なく、どうしてもワシワシな茹で加減で出すお店が多いですね。これでは作り手としては駄目だと思います」(三浦店主)

かため・普通・やわらかめの全てにおいて美味しい範囲で提供できるならばまだしも、“ワシワシ感”を優先して、きちんと茹でられていない状態で提供するのはお店としてどうなのだろう。そこまでお客の好みに合わせなくてはいけないのだろうか。

「自分は『俺のラーメンを食ってくれ!』派なので、自分のエゴをお客さんにぶつけてしまうタイプですが、商売がうまくいっていないラーメン屋さんはどんどん需要や流行りに合わせていくしかありません。

そして、うまくいってないラーメン屋さんが多いのも事実で、お客さん側の好みがどんどん流行っていってしまうというのも問題ですよね」(三浦店主)

消費者の気持ちを尊重することと、安易に味を委ねたり、迎合することは異なっている……なんだか、あらゆるビジネスに通じる、本質のように思える。

お店のベストの一杯も食べてみてほしい

今回の取材をまとめると、以下のようになるだろう。

・博多豚骨ラーメンは、麺がかためで食べるほうが「通」だと考えている人が多い
・横浜家系ラーメンも、味濃いめで食べる人が増えており、麺もかためが好まれやすい
・しかし、うまくいっていない店ほど消費者の好みに迎合してしまい、「好み」「思い込み」が先行、ブームが形成されている
・その結果、ベストな状態でラーメンを提供できていない店も少なくない

繰り返すが、本稿は「麺かため」「味濃いめ」を否定しているわけではないし、「ラーメンぐらい好きに食わせろ」という声が上がることもわかっている。

だが、まずは初めて行ったお店では、お店のベストの一杯を食べてほしい。「普通」は決して「並」という意味ではなく、お店にとっては「ベスト」なのだ。

そして、「ベスト」を一度味わったうえで、あくまで自分の好みに合わせて、麺のかたさや味の濃さを選んでいってほしい。

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