ジャケット姿がだらしない男性に欠けている視点,立場に合わせた一段上の「着こなしの森井 良行様記事抜粋<
立場とともにプレゼンスも上昇すると、ちょっとした着こなしミスが噂になります。組閣写真におけるモーニング姿の石破総理の着こなしが「だらしない」と話題になった件は、記憶に新しいですね。
にもかかわらず「シャツインしたお腹まわりはズレやすく、結果的にだらしない」という印象リスクを見逃している方が多いのです。とくにノーネクタイ主流の今、ジャケットのウエストまわりは目立つもの。
そこで今回は、これまで言語化されてこなかった「着こなし盲点」を解説します。
ベルトを締めたお腹まわりでも、だらしなく見える理由
あの組閣写真から、ビジネスマンが学ぶべきは「ドレス感ある服も、だらしなく見えるリスクがある」ということ。言われてみると「サイズ感OKのジャケット姿なのに、なぜかだらしない」ビジネスマンを見かけませんか。
「サスペンダーを合わせる」モーニングとは違い、ジャケット姿がだらしなく見える原因は、「パンツのはき位置」や、「ベルトの締め付け」にあります。たとえば恰幅よい方は「ベルトを締めても、はき位置ズレでパンツが下がって見えやすい」ですし、やせ型の場合「ベルトの締め付けによっては、シャツ生地に余計なシワが生じやすい」のです
そもそも男性は、ポケットに財布やスマホを入れがち。その重みでパンツがズレ落ちないよう「ベルトを締めすぎている方」をよく見かけます。この違和感に気づいたビジネスマンは、「なるべくパンツのポケットに物を入れない」という対策に留まらず、パンツ内側に「滑り止め」をつけている方もいらっしゃるのでは。
紳士服量販店でスーツ購入の経験がある方でしたら、誰もが耳にしたことがあるオプション「滑り止め」は、シャツ生地のズレを軽減してくれるゴムのパーツ。1000円未満でつけられる、オプションとして活躍しますが、それでもノーネクタイ姿のシャツインでは、十分な解決策とは言い切れません。
そこで私は、秋冬ジャケットの着こなしとして、2つの提案をしています。
ウエストまわりを隠す「秋冬の着こなし」
結論からお伝えすると、「ウエストまわりを隠してしまう」ジャケットの着こなしがおすすめ。ひとつは、ネクタイもしくは薄手ニットで、シンプルに「シャツのズレ」を隠します。もうひとつは、そもそもワイシャツ代わりに「Tシャツ感覚の薄手ニット」という着こなしです。
20~30代の若者に多い「ワイシャツ以外の着こなし」は、パンツのウエストを自然に隠せるため、お腹まわりを心配する必要もありません。
とはいえ職場の服装規定によっては許容されないため、その場合は「ワイシャツとハイゲージニットの着こなし」を検討してみてください。ジャケットとワイシャツの間に、ハイゲージニットを挟む着こなしは、昔からありますが、首型に注意しましょう。ワイシャツに合う首型は、カジュアル見えするクルーネックではなく、Vネックの首型です
一方、Tシャツ感覚で合わせる薄手ニットには、クルーネックもしくはモックネックを選びます。とくに「首の半分が隠れる」モックネックセーターは、ジャケットの襟裏に皮脂がつくことをガードしてくれるため、清潔さを保つうえでも役立つのです。つまり、ニットも着こなしによって、首型の正解が変わります。
これまで身なりを整えると言えば、サイズ感を合わせることばかりフォーカスされてきましたが、立場に合わせた一段上の印象管理として「着こなしの視点」を意識してみてください。たとえば揶揄されやすい着こなしミスとして、アンボタンマナーにも気を付けたいところ。
普段からスーツやジャケット着用の方はご存じでしょうが、本社異動にともない、久しぶりのジャケット着用という方は見逃しやすいポイントです。いわゆるスーツやジャケットの「いちばん下のボタンは留めない」という着こなしマナー。そして着席時は、ジャケットのボタンを外すこと
ただし会議で着席したまま司会進行を担当するときは、ボタンを留めた状態を維持します。これはニュース番組の司会者も、採用している着こなしです。
注意すべき暖冬の着こなし
暖冬と言われている今年は、薄手コートのラインナップも各社に並びます。このときコート代わりに、「インナーダウン」と呼ばれるダウンベストの着こなしを検討されている方もいらっしゃるかもしれませんが、この着こなしは評価が分かれます
スニーカー通勤やビジネスリュック以上に、インナーダウンは奇抜な着こなしとして認知されているため、揶揄されやすいのです。インナーダウンの着こなしは、自転車通勤される方のみおすすめしています。ただし暖房がきいたオフィスでジャケットを脱いだ状態で、「シャツにダウンベスト」という組み合わせは絶対にNGです。コートを着るほど寒くはないけれども、ジャケット単体では冷えるというときは、ニットとマフラーをジャケットに合わせてみてください。
一方、コートやマフラーについては、取引先の建物に入館する前に外しましょう。これは座りながら名刺交換をするようなレベルのNGだと感じる方もいらっしゃるからです。
ノーネクタイ浸透が広めた功罪
さいごに「ネクタイとボタンダウンシャツ」という組み合わせについて扱います。元々スポーツシャツとして生まれたボタンダウンシャツが、ノーネクタイ専用ということは知られた話ですが、最近では「ネクタイの有無を問わずに着用」される方も増えているのです
実際のところ政治家やアナウンサーなど、このような組み合わせをしている方を、テレビで見かける機会が増えました。ですが「ツヤのあるネクタイとボタンダウンシャツ」という組み合わせは、やはり違和感を拭いきれないもの。
名刺交換などの作法については入社段階で研修を受けますが、服装については「サイズ感があったスーツを着る」や「シワがないよう手入れをする」という常識的なものばかり。ところが実際には、「服と服の合わせバランス」や「着用状態の違和感」こそ、身だしなみとして減点されやすいのです。実践的な着こなし知識を通じて、服装の減点を卒業しましょう
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます