悲しみと黙祷と…。

　一心不乱に舞い続けた青年の弓の弦が切れた。
「まさか…。」
　青年は何か、不吉な予感を抱いていた。
　青年は、何を思ったか、冒険者の酒場へ向かう。
　ライバルの死？―そんな洒落にならない事を思いつつ、冒険者の酒場で張り出されている報告書を見つめた。
「うそ…、でしょ…。」
　青年は、一人の死者の名に目がとまった。「蒼き黎明・ミルラ」―青年が以前ともに冒険をし、彼女の誕生日パーティーでは目の前で彼独特の舞を見せた少女の名だった。
　言葉を失う青年。慟哭に近い感情を抱いたのは言うまでもなかった。
　そんな時、脳裏に浮かぶは、旅立つ前に、笑顔を浮かべ、「大丈夫ですよ。僕は必ず帰ってきます。」と微笑みながら言ったライバルの姿。
「無事で帰ってきてください…。それが私とあなたの約束のはず…。」
　こう呟いたあと、それを振り払わんが如く、とある霊査士が「依頼です。」と冒険者の酒場に響くように言った。

「どんな些細な凶事でも、私は全力を持って民を守ります。」
　今から一年前、冒険者になるとき、彼が信奉する希望のグリモアに誓った言葉を呟いて…。

背後より：
　こういう結末があるとは思いもしなかったです。
　最悪の結果は免れはしたもののの亡くなった方たちのことを思えば、いい気はしません。
　まずは黙祷を…。そして、それから先の未来を切り開いていってください。

　ライバルさんへ…。
　　私は待ってます、あなたが戻ってくることを…。
　　それから、背後が相談したいことがあると言うことで、後ほどメールしますとのことでした…。