ぼんやりした男たち(過去に発表した笑話から)
「健忘症」2013-10-09
翰林院(かんりんいん・皇帝の文学侍従の役所)の学士。ひどい健忘症だった。
ある日、友人たちを食事に招待した。すでに招待状も発送され、台所では使用人たちが食事と酒の準備を始めていた。招待した当日になって、健忘症の学士は、自分が招待したことを忘れて、招待した友人の家へでかけて行った。
それから、だらだらととりとめのない世間話をしているうちに、昼になったが、学士が「さあ出かけよう」と言わないので、この友人は仕方なく、学士に食事をしてから行くように言った。
さて、いよいよ招待の時間になって、翰林院の人が事前に決められていたとおりに、この家の主人を招待しに来た。健忘症の学士は目を見張って言ったのだった。
「おい、お前はどこの家から派遣されてきたのだ。この家の主人を連れて行ってしまったら、わたしはどこへ行って昼ごはんを食べたらいいのだ?」
「物忘れのひどい男」2013-10-05
中国の戸県という所に物忘れのひどい男がいた。斧を持って田に柴を刈りに出かけた。妻も一緒についてきた。田に着いたとき、急に便意を催したので、斧を地面に置いて、そのすぐ傍で大便を済ませた。
そして、すぐそばにある斧を見て、「斧を見つけたぞ!」と、飛び上がって喜んだのだが、大便の上に着地してしまった。そして言うには、「誰かがここで大便をして、斧を忘れていったのに違いない。」
妻は彼のひどい忘れっぷりに呆れて言った。「さっきあんたが柴を刈ろうとした時、大便がするために、斧をそこに置いたんじゃないか、どうしてそんなにすぐ忘れちゃうのかね?」
男は妻の顔をじっと見て言った。「奥さん、お名前は?どこかでお目にかかったことがありますか?」
「ぼんやりした男」2013-09-26
ある人が靴を履き違えて、片方は厚い底の、もう片方は薄い底の靴を履いていた。道を歩くとき、一方が高く、一方が低いので、はなはだ歩きにくかった。
その人は不思議に思って言った。「今日の私の足はなぜか一方が長くて一方が短いようだ。あるいは道がでこぼこなのかな?」
ある人が教えてくれた。「靴を履き違えているよ。」 男は使用人に、急いで靴を取りに行くように言った。
使用人はかなり時間が経ってから何も持たずに戻ってきて、主人に言った。
「取り替える必要はありません。家にある一足も、一方が厚くて一方が薄い底でしたから。」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます