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一個の卵

2013-12-13 | 丁聡の古代中国幽黙

 ある男、働くのが嫌で、何もしない。彼の家は非常に貧しかった。ご飯も満足に食べられなかったのに、彼はいつも金儲けばかり考えていた。ある日、外で一個の卵を拾った。うちへ帰って、彼はうれしそうに妻に言った。「金持ちになれるよ。ぼくは金持ちになれるよ。」妻は彼が掌に卵を一個だけ持っているのを見て言った。「一つの卵でどうすれば金持ちになれるの?」彼は妻に話し始めた。
  「いいかい、ぼくには卵が一つある。この卵が孵って雛になる。将来は鶏になって、また卵を産んで、二日の間に一個産めば、卵は一ヶ月に十五個になる。こういうわけだよ。鶏が卵を産み、卵が鶏になり、一年後には、鶏が三百羽になり、十両の金で売れる。ぼくはこの金で、雌の牛を買って、この牛がもし雌の牛を産めば、一頭の牛が三年で五頭になる。五頭の牛はまた三年後、二十五頭になる。雌牛はさらに雌牛を産んで、さらに三年経ったら、ぼくは百二十五頭の牛を、二百五十両で売れることになる。これだけお金が入ったら、大金持ちになれるんじゃない?そうしたら、ぼくは田畑を買って、家を建てて、それに、美しい女性を……」
 ここまで聞いた妻は怒って言った。「あなたは金儲けしたら、別の女を見つけるつもりだったのね。」そう言って、卵を取り上げて力いっぱい投げ捨てて、割ってしまった。

《中国笑话和谜语50选》



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