人をおだてることを俗に「高帽子を贈る」という。
かつて、ある人の門下生が二人、外交官に任命され、恩師のもとへ挨拶に行った。恩師は二人の門下生に向かって話した。「今の世の中、正直に言ってはだめだ。人に出会ったら、『高帽子を贈る』ことも必要だ。」
門下生の一人が言った。「先生のお言葉のとおりです。今は、先生のように『高帽子』を喜ばぬ者がどれだけいることでしょうか?」 これを聞いた恩師は大いに喜んだ。
恩師の家を出てから、恩師に話した男が一緒に行ったもう一人の男に言った。「先生に高帽子をさしあげたよ。」
《丁聡「古代中国幽黙」12》
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