蜀の国は一時期、厳しく酒の醸造を禁止した。
醸造していた者は捕らえられ、罪に問われた。ひどいのは、以前から所蔵していた醸造用具が見つかったというだけで、数人の者が醸造した者と同様に罰せられたことだ。人々はこれはよくないと思ったが、劉備は聞く耳を持たなかった。
ある時、簡擁という人が劉備の外出につき従い、遠くの路上を一人の男が通り過ぎるのを見て言った。
「あの男を捕まえてください。あの男は強姦犯です。」
劉備が不思議に思って、「どうしてわかるのか?」と尋ねると、
簡擁が答えて言った。「あの男は強姦の道具を持っておりますから。」
これを聞いた劉備は一笑し、すぐさま、例の醸造の道具を持っているだけで捕まった人たちを解放するよう命じた。
《丁聡 「古代中国幽黙」27》
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