近所を歩くと、今の季節に決まって姿を見せてくれる。
じっと見つめると、なぜか和風よりも東洋風なイメージがする、中国原産の百日紅。
赤褐色の樹皮はなめらかで、はげやすい。幹が屈曲する性質があるからだろうと思う。そのためか、サルスベリとは、かなり木登りの巧みな猿も滑るという意からついた名だとか。
花言葉は愛嬌という。なるほど、猿でさえ滑ってしまう姿にこっけいさを通り越して、愛嬌があるからだろう。
夏から秋にかけて百日もの間、紅い花が咲き続けるということから「百日紅」と書かれるようになったともいわれる。鎌倉時代より以前に中国から渡来したらしい。
名のとおり、普通は紅のものをさすが。他に白や桃色もある。観賞用として栽培され、街路樹としても時々見かける。わりと最近では神社の庭や墓地に植えられていることが多い。
猛暑のなか、他のおおかたの植物は萎え弱る真夏の日に、百日紅は今を盛りと咲き続ける。私には、古都の夏を彩る花としての印象が深い。萌芽力が強く、剪定にもよく耐える強健な性質が、そう思わせるのかもしれない。
義父·義母が眠る所にも、墓碑まで今にも届かんとばかりこの木の枝が寄りそうように長く伸びてきている。
この夏はまだ会いに行ってはいないけど、百日紅は今年も優しく咲いていてくれてるのだろうか。
「季節の花(9) 百日紅の花言葉は愛嬌」