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ドリーマー・夢結社第8回 夢工場に夢管理庁の長官が現れ、すべてを見せる。Kの正体とは?

2021年11月26日 | ドリーマー・夢結社
ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。
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ドリーマー・夢結社第8回 夢工場に夢管理庁の長官が現れ、すべてを見せる。Kの正体とは?
 

ドリーマー・夢結社第8回

(1987年)星群発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

 

「くそっ、きさま、われわれのマスターを!」

「きさま。仲間のくせに。お前のマスターもいるかもしれんのに」

警備員が倒れ始める。彼らのマスターが死んだのだ。彼らもまたドリーマーだったのだ。彼らは消滅

する。

 

残っている警備員達がKに向かい、今度はライフルを発射する。効果はない。Kの体を

弾がよけて通るのだ。

 

工場長がフロアへおりてくる。この男はドリーマーではない様だ。今にもぶっ倒れそうなまっ青な顔

をしている。Kに話しかける。

 

「ドリーマー。言ってくれ、お前の目的はなんだ。それに、お前は特別なドリーマーの様だ。なぜだ」

 

Kは今も答えようがない。

Kにもわかりはしないのだ。

この俺の恐るべき力。神のごとく世界は動いている。

 

それに俺がドリーマーなら誰がマスターだというのだ。

 

Kは悪夢の中にいる様な気がした。

 

「工場長、大失態の様だな」

 突然、後から声が聞こえてくる。仮面の男が夢工場へ到着したのだ。

 

「あ、あなたは、長官」

 工場長はあわてふためく。

「御連絡をいただきましたら、お迎えにあがりましたのに」

 

長官と呼ばれた男はまわりの惨状を見渡す。

いやはや。何ともすばらしい状態じゃないか、工場長。すぺては君の責任だな。君の管理能力の問題

だ」

 

「し、しかし。長官。あいつは普通のドリーマーではありません。

先刻。あいつを自白機械にかけたのですが、ドリームマスターの名前がデータバンクに登録されていないのです。そんな事はありえません)

「マスターのいないドリーマーというわけか」

 

「そ、そうなんです。そんな制動に我々の手が及ぶわけがありません。あやつはいかなる防護処置も無

力化するのです。銃弾ですら、弾の方がよけて飛ぶのです」

 

長官は静かな声でつぶやく。

「そう、あの男にはこの世のどんな殺戮兵器も効果はない」

 

「なぜです。なぜそれを御存じなのですか」

「工場長、まだわからんのか、あの男の顔をよく見てみろ」

 

工場長は、Kの顔をのぞき込み、やがて叫び声をあげていた。

「えっ、まさか」

 

「そうだ、そうなのだよ」長官はうなずく。

「そんなはずはない。あいつがあの方の」

 

「工場長、悪いが君には消えてもらう」

「えっ、何ですって」

にぶい音がした。工場長は倒れる。仮面の男が消音銃を発射したのだ。

 

「皆、動くな。この男の始末は俺がする」

仮面の男はフロアの警備員に命令する。

 

「な。なぜなんですか」工場長は虫の息で尋ねる。

「君しか、あの方の顔をしらんからな。それに、この世界での君の役目はもう終わったんだよ」

「私の役目ですって」

工場長はこときれた。

 

Kは二人の会話をうつろな眼で、ただじっと聴いているだけだった。

とにかく、Kには自分自身が大変重要な人間だという事は会話の内容から推察できた。

 

「K、自分の立場がわかったかね」

仮面の男がKになれなれしく言う。

 

「K、君はや脚、新宿のカプセルホテルで目ざめたはずだ。それにチバポートタワーヘ行つたな。ドリーマーハンターの奴らを痛い目にあわしたはずだ」

 

「なぜ、お前がそれを知っている。お前は一体何者だ」

「私は夢管理庁の長官だ」

「夢管理庁」

「そうだ。個々人の夢を管理する政府機関だ。君に見せたいものがある。この工場の側にあるのだ。来

たまえ」

Kは、命じられたまま、仮面の男のあとについていく。二人は工場の外に出ていた。工場の側の広場

に立っている。

「ここだ」

仮面の男は、ある場所を指さす。

 

突如、車をのみ込んでしまう程の巨大な穴が開いた。

おもわずKは中をのぞき込む。

「そこへ行け」

後から急に仮面の男がKの体を押した。暗黒の中へと、Kは落下する。

 

Kは一時意識を失っていた様だ。まわりは暗黒だ。

Kは起きあがろうとする。足もとはしっかりして

いた。かすかに光がある。光が拡がりKは盤面の上に立っている事に気づく。

 

遠くでスポ″トライトがつく。そこに仮面の男が立っている。

「K.どうだな、自分自身をとり戻したかね」

 

男は.Kに対して変に慣れ慣れしい。

「だめだ。何もわかりはしない。君は誰で、ここはどこだ」

 

「K、どうやら、今回はかなりの悪夢らしいな」

今回だと? 悪夢だと? 確かにそうだ。待てよ。今回はかなりの悪夢。という事は何度もこんな事

があったというわけか。

 

「これを見ろ」

仮面の男は後を指さす。彼の後ろ全面にライトがつく。

 

生物だった。巨大な生物が、大きなカプセルの中で眠っている。その生物は穏やかに、気持ちよさそ

うに眠っているのだ。その顔には見覚えがあった。

 

チバ・ポートタワーのハンター達に鏡でむりやり見せられた顔。

 

「こ、この顔は俺の顔だ」Kは思わず悲鳴をあげていた。

 

「そうだよ。クネコバ・スプローギン 君、ワルシャワ条約ポーランド軍大佐」

「それが、俺の本名なのか」

「そうだ」

「でも、日本人の名前ではない」

 

「そう、君は世界に「ドラッグーウォー」夢戦争をひきおこした張本人の一人でもある」

「ドラッグーウォー夢戦争」また知らない言葉だ。

 

「そうだ。それで前の世界が滅んだんだよ」

仮面の男は教えさとす様に言う。

 

「今回の出来事はすべて君の夢だ」

「夢だと」

「そう、正確にいうと、クネコバ・スプローギン君、君の作りあげた無数の夢世界のひとつだ」

「俺は自分自身の夢の中にいるのか」

 

 

(1987年)星群発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 



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