人類史

2024年06月26日 | 日記

 人類史

ゲーマーはヘッドディスプレイを装着し
コントロールレバーを指で操りゲームを楽しんでいる
画面の照準はターゲットを捉え
舌なめずりをしながら
ゆっくりと確実にそれを追う
急所を狙い定め映像は急速にクローズアップして
突然視界は絶たれる

そこには確実に幾つかの死がある
形をとどめない骸がある
ヘッドディスプレイのゲーマーは
ゲーム得点の獲得に快哉を叫けぶ爆発の煙と骸を舐める炎が
兵士の怨みと家族の悲しみとCO2を生成する
最高水準の科学技術は殺戮と破壊に費やされる
有限の地球資源は殺戮と破壊に費やされる
家族の同胞は戦死した兵士の補充要員としてさらに費やされる
最高水準の科学技術が正確無比にその兵士の頭上に費やされる

愚かさを嘆いても意味がない
戦いが終わっても次の戦いが始まる
人類というのは殺し合う生き物なのだ

素手で殺し合い
石を持って殺し合い
剣を持って殺し合い
弓矢を持って殺し合い
銃と弾丸を持って殺し合い
爆弾を持って殺し合い
ガスと細菌を持って殺し合い
ミサイルという名のより長い槍を持って殺し合い
もっとより大きな爆弾を持って殺し合い
ドローンという玩具を持って殺し合い
愛と平和という武器を持って殺し合い

殺し合うことによって進化し人類となってきたのだ
殺し合うことが人類の宿命であり人類である所以なのだ
人類は人類である限り殺し続ける
人類は人類である限り殺され続ける

人類史は殺し合いの歴史なのだ