山之上もぐらの詩集

2024年01月13日 | 日記

カラスの歌

 

カラスは、泣く

 

カラス、なぜ泣くの

 

カラスは、山に、

かわいい七つの子を養うために、

のら猫の子をさらい、

その幼い身体を喰い裂いて

かわいい七つのその口ばしに食ませる

 

カラス、なぜ泣くの

 

カラスは、泣くのだ

かわいそうなノラ猫の子のために、

 

カラスは、泣くのだ

かわいそうなノラ猫の子を産んだ母猫のために

 

カラスは、泣くのだ

おぞましい鬼子母のわが身のために

 

カラスは、泣くのだ

愛しいかわいい七つの子のために

 

母よ

聖母よ

その聖なる子よ

 

純真で無垢で、

何の罪科のない聖なる子も、

肉を食まずには、生きられない

 

善良で、慎ましく、

思いやりにあふれた聖なる家族も、

肉を食まずには、生きられない

 

人は、パンのみにて、生くるに非らず

肉を食まずには、生きられないのだ

 

人は、パンのみにて、生くるに非らず

肉を食まずには生きられぬ悲しみを、

酒の酔いにまぎらせてしか、生きられないのだ

 

人は、長い間、犬を食ってきた

人類は長い間、犬を食ってきた

 

人は、ずっと長い間、

泣きながら、犬を食ってきたのだ

 

食べられるかわいそうな犬のために、

泣きながら、

人は、長い間、

従順で忠実な犬を食ってきたのだ

 

食べさせなければならぬわが子ために、

泣きながらいたいけで無心な犬を殺し、

人は、長い長い間、犬を食ってきたのだ

 

美しい眉にしわを寄せ、

食われる犬の話を嫌悪しながら、

切り分けたステーキの欠片を、

美しい銀のフォークで口に運ぶ婦人のエレガンスよ

 

犬の肉は野蛮で、

和牛のブランド肉をグルメと呼ぶ教養よ

 

人権や愛や平和や博愛や

あらゆるグッドネスを信じる

豊かで清潔で健康で美しい無邪気なキレイごとの信者よ

 

私には、あなた方の言葉が空ろだ

私には、あなた方の理性が愚かに思える

私には、あなた方の教養が、かざりものに思える

私には、あなた方の愛や優しさや思いが、

観客の前の演技のように見える

 

カラスの声が響いて、つらい

 

人は、長い間、

本当に長い間犬を食ってきたのだ

 

私は、肉を食わずには、生きられない

 

カラス、なぜ泣くの

カラスは、山に、

かわいい七つの子があるからよ

 

人は、いつから、

泣くことを、やめてしまったのだろう

 

せめて心を込めて、

イタダキマス

合掌



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