A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

一緒にやりたくても,なかなか思うように都合が合わないのが世の常だが・・・

2012-03-29 | MY FAVORITE ALBUM
Cal Tjader Sextet / Stan Getz

仕事であれ遊びであれ、日々忙しく動き回っている中で、時として意気投合して盛り上がる人物と出会うことがある。つかの間の出会いの中ではお互いを語り足りず、「また近い内にやりましょう」と言って別れることに。そして何度か接点を持つ内に、「いつか一緒にできるといいですね」という間柄になる。それは仕事であってもゴルフであっても。しかし、お互いが忙しい毎日を過ごしていると、それが実現することはめったに無い。しかし、何かのきっかっけで話が具体化すると、お互いやる気十分なのでとんとん拍子に事は進み、めでたく懸案のイベントが実現する運びとなる。当然、結果は無理やりやらされる仕事とは出来が違う。

このアルバムのスタンゲッツとカルジェイダーもそのような関係だったらしい。お互いに有名人、色々なところで顔を合わせることも多く、一緒にプレーをしたこともある仲で、「いつかは一緒に」という間柄。しかし、お互いグループを率いて広いアメリカ大陸を廻っていると、そもそも同じ場所に居合わせることも偶然かもしれないが。ベイシーオーケストラにいたサドジョーンズと、ケントンオーケストラにいたメルルイスもそのような関係だったそうだ。

当時のゲッツといえば、すでにスターとしての地位を確立し、自己のグループだけでなく、JATPにも参加して有名プレーヤーとの顔合わせアルバムも多く制作していた時。
しかし、一方でドラッグから逃れるためにもアメリカでの生活に一区切り付けて、ヨーロッパに渡ろうとしていた時でもあった。実際にこのアルバムを録音した直後、チェトベイカーとのセッションを最後に、58年の始めにはヨーロッパに渡ってしまう。一方のジェイダーもラテンジャズを旗印に人気を博していたバンドリーダーだった。

ゲッツの率いるグループが、地元の有名クラブブラックホークに出演するためにサンフランシスコを訪れる。その時、ジェイダーがグループの編成を組み替えるために、地元シスコで仕事はオフであった。そこで、長年の懸案であった2人の共演アルバムを作ることになる。

先日紹介した、リーモーガン&コンテカンドリのアルバムはハワードラムゼイのグループとガレスピーオーケストラのピックアップメンバーが入り乱れてのアルバム制作であったが、今回は本来ジェイダーのグループにゲッツがゲストで加わるのが筋であったろう。
ところがゲッツのグループに参加していた2人の無名の若者にジェイダーは興味を持った。まだ10代であったベースのスコットラファロと、ドラムのビリーヒギンズ。結局編成は2人を起用することにして、自分のグループの重鎮であるピアノのヴィンスガラルディーと若手のギター、エディーデュランを加えたセクステットになった。

ゲッツとジェイダーの組み合わせは見ものであったが、一曲目の”Ginza Samba”がいきなりラテン調でスタートする。ジェイダーのペースかと思いきやゲッツのテナーもリズムに乗って快調に大分ブロー。ガラルディーのピアノも力強い。もちろんゲッツがボサノバに本格的に取り組む前だ。
一転して2曲目はゲッツのバラードプレーが冴えゲッツのリードだが、ジェイダーのバイブも心地よい。そして、その後は特にラテン調の曲がある訳ではなく、バラードとハードバップ調の曲が続く。“Crow’s Nest”では短いながらもラファロのベースソロが後のエバンスとのプレーの片鱗を聴かせてくれる。

全体として、一日で収録した顔合わせセッションとしてはレギュラーグループのように実に纏まりがいい。プレーヤー同士が長年一緒にという想いがあったからこそいい結果が生まれたのかもしれない。
結果的にはゲッツの50年代のアメリカでのラス前の録音、そしてスコットラファロの参加なども話題にもなり、2人の念願かなった共演以上に色々な意味で節目にもなる大事なアルバムだ。



1. Ginza Samba              Guaraldi 10:57
2. I've Grown Accustomed to Her Face    Lerner-Lowe 3:59
3. For All We Know            Coots-Lewis 5:45
4. Crow's Nest               Tjader 8:18
5. Liz-Anne                Tjader 3:47
6. Big Bear                Tjader 4:33
7. My Buddy               Kahn-Donaldson 5:14

Stan Getz (ts)
Cal Tjader (vib)
Vince Guaraldi (p)
Eddie Duran (g)
Scott LaFaro (b)
Billy Higgins (d)

Recorded in San Francisco, CA, February 8, 1958

Stan Getz With Cal Tjader Sextet
Cal Tjader & Stan Getz/td>
Ojc
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