Trumpet Evolution / Arturo Sandoval
新年早々のライブはエリック宮城率いるブルーノートオールスタービッグバンドであった。昨年のライブは他のライブとかち合って聴くことができなかったので、新年早々楽しみなライブであった。そして、このビッグバンドにビッグなゲストとしてArturo Sandovalが加わっていた。
ゲストが一人加わっただけで、バンド全体の雰囲気ががらりと変わる(締まるといった方がいいかもしれない)ことが多い。
これまでも、角田健一とハリーアレン、バディリッチにピーターアースキン、宮嶋みぎわにダグラスパーヴィアンス、辰巳哲也にカールサンダースなどがあったが、いずれも単なるゲスト以上の共演効果がバンド全体に広まり、いつにも増して素晴らしい演奏になった。
という点では、エリック宮城のトランペットに、同じトランペットのArturo Sandovalが加わると果たしで何が起こるかも期待ができた。
途中でサンドヴァルが加わるとまずはリズムが変わった。サンドヴァル自身ティンパレスで強烈なリズムを叩き出す。いつもは歯切れの良いリズムを叩き出すドラムの岩瀬立飛もサンドヴァルのリズムにけしかけられ圧倒される感じさえした。
当然、そのリズムに乗ってオーケストラ全体も歯切れよく引き締まってくる。オーケストラをバックにしたトランペットも圧巻であった。まるでチューバのような低音からお得意のハイノートまで、トランペットの限界を極める音が縦横無尽に飛び交った。そして、トランペットだけでなく、ヴォーカルからピアノまで相変わらずの多芸ぶりを披露していた。
終わってみれば、ゲストというよりまるでサンドヴァルオーケストラの様相であった。
このサンドヴァルの多芸ぶりを味わうのはやはりライブが一番、生音を聴くだけでも感激物だが、バンドや観客と一体感を作り上げていくステージマナー、そしてバンド全体を鼓舞するためにアクションを含めて、体全体で音作りをしていく様を体験できた。
聴く方も体全体、そして五感全体で楽しめるライブはそうそうあるものではない。
サンドヴァルのアルバムは何枚もあるが、トランペットのショーケスはこのアルバムが一番かも。
キングオリバーからウィントンマルサリスまで、スイング時代のハリージェイムス、モダンのクリフォードブラウン、マイルス、そしてガレスピーなど全部で19名、古今の名トランペットプレーヤーの名曲・名演をカバーしている。全部知っていたら相当のジャズ通だ。
過去の名曲をカバーしたアルバムは他にも山ほどあるが。演奏スタイルまでカバーしたものは特定個人だけならまだしも、百人百様のスタイルの特徴をカバーするとなると、そうそう簡単にはできない。内容は単なる物まねで終わるレベルではない。
それを実際に作り上げてしまうのが、サンドヴァルの凄さであり恐ろしさであろう。新春早々の舞台の興奮をトランペットプレー中心に再度味わうには格好の一枚であり、ジャズトランペットの歴史を一枚で味わえる。
そして、このようなとんでもないアルバムを企画プロデュースできるのは、あのクインシージョーンズだ。
このサンドヴァルはキューバ出身。アメリカに亡命し、今ではアメリカ市民権を得ているが、キューバ危機以来国交を断絶していたキューバからアメリカに来るにはそれなりの苦労があったようだ。
1. Dipper Mouth Blues King Oliver
2. When It's Sleepy Time Down South Louis Armstrong
3. At the Jazz Band Ball Bix Beiderbeck
4. La Virgen de la Macarena Rafael Mendez
5. I Can't Get Started Bunny Berigan
6. Concerto for Cootie Cootie Williams
7. Little Jazz Roy Eldridge
8. The Man With a Horn Harry James
9. Manteca Dizzy Gillespie
10. Tee Pee Time Clark Terry
11. Coloratura Concerto for Soprano Timofei Dokshizer
12. Nostalgia Fat Navarro
13. 'Round Midnight Miles Davis
14. Maynard Ferguson Maynard Ferguson
15. My Funny Valentine Chet Baker
16. Joy Spring Clifford Brown
17. Concerto in D Major Maurice Andre
18. Up Jumped Spring Freddie Hubbard
19. Later Wynton Marsalis
Arturo Sandoval (tp,vol)
Mike Gold (cl)
Hank Bredenberg (tb)
Jim Cox (org)
Felipe Lamogolia (ts)
Robert Rodriguez (p)
Denis Marks (b)
Ernesto Simpson (ds)
Big Band Musicians
Conducted by Jerry Hey
Dan Higgins (as,cl)
Greg Huckins (as,basssax)
Bill Liston (ts)
Rusty Higgins (ts)
Joel Peskin (bs)
Charlie Davis (tp)
Gary Grant (tp)
Wayne Bergeron (tp)
Larry Hall (tp)
Charlie Loper (tb)
Amdy Martin (tb)
Steve Holtman (tb)
Bill Reichenbach (tb)
Dick Nash (tb)
Bruce Otto (tb)
Lus Conte (per)
Denis Budmier (g,bjo)
Produced by Arturo Sandoval & Quincy Jones
新年早々のライブはエリック宮城率いるブルーノートオールスタービッグバンドであった。昨年のライブは他のライブとかち合って聴くことができなかったので、新年早々楽しみなライブであった。そして、このビッグバンドにビッグなゲストとしてArturo Sandovalが加わっていた。
ゲストが一人加わっただけで、バンド全体の雰囲気ががらりと変わる(締まるといった方がいいかもしれない)ことが多い。
これまでも、角田健一とハリーアレン、バディリッチにピーターアースキン、宮嶋みぎわにダグラスパーヴィアンス、辰巳哲也にカールサンダースなどがあったが、いずれも単なるゲスト以上の共演効果がバンド全体に広まり、いつにも増して素晴らしい演奏になった。
という点では、エリック宮城のトランペットに、同じトランペットのArturo Sandovalが加わると果たしで何が起こるかも期待ができた。
途中でサンドヴァルが加わるとまずはリズムが変わった。サンドヴァル自身ティンパレスで強烈なリズムを叩き出す。いつもは歯切れの良いリズムを叩き出すドラムの岩瀬立飛もサンドヴァルのリズムにけしかけられ圧倒される感じさえした。
当然、そのリズムに乗ってオーケストラ全体も歯切れよく引き締まってくる。オーケストラをバックにしたトランペットも圧巻であった。まるでチューバのような低音からお得意のハイノートまで、トランペットの限界を極める音が縦横無尽に飛び交った。そして、トランペットだけでなく、ヴォーカルからピアノまで相変わらずの多芸ぶりを披露していた。
終わってみれば、ゲストというよりまるでサンドヴァルオーケストラの様相であった。
このサンドヴァルの多芸ぶりを味わうのはやはりライブが一番、生音を聴くだけでも感激物だが、バンドや観客と一体感を作り上げていくステージマナー、そしてバンド全体を鼓舞するためにアクションを含めて、体全体で音作りをしていく様を体験できた。
聴く方も体全体、そして五感全体で楽しめるライブはそうそうあるものではない。
サンドヴァルのアルバムは何枚もあるが、トランペットのショーケスはこのアルバムが一番かも。
キングオリバーからウィントンマルサリスまで、スイング時代のハリージェイムス、モダンのクリフォードブラウン、マイルス、そしてガレスピーなど全部で19名、古今の名トランペットプレーヤーの名曲・名演をカバーしている。全部知っていたら相当のジャズ通だ。
過去の名曲をカバーしたアルバムは他にも山ほどあるが。演奏スタイルまでカバーしたものは特定個人だけならまだしも、百人百様のスタイルの特徴をカバーするとなると、そうそう簡単にはできない。内容は単なる物まねで終わるレベルではない。
それを実際に作り上げてしまうのが、サンドヴァルの凄さであり恐ろしさであろう。新春早々の舞台の興奮をトランペットプレー中心に再度味わうには格好の一枚であり、ジャズトランペットの歴史を一枚で味わえる。
そして、このようなとんでもないアルバムを企画プロデュースできるのは、あのクインシージョーンズだ。
このサンドヴァルはキューバ出身。アメリカに亡命し、今ではアメリカ市民権を得ているが、キューバ危機以来国交を断絶していたキューバからアメリカに来るにはそれなりの苦労があったようだ。
1. Dipper Mouth Blues King Oliver
2. When It's Sleepy Time Down South Louis Armstrong
3. At the Jazz Band Ball Bix Beiderbeck
4. La Virgen de la Macarena Rafael Mendez
5. I Can't Get Started Bunny Berigan
6. Concerto for Cootie Cootie Williams
7. Little Jazz Roy Eldridge
8. The Man With a Horn Harry James
9. Manteca Dizzy Gillespie
10. Tee Pee Time Clark Terry
11. Coloratura Concerto for Soprano Timofei Dokshizer
12. Nostalgia Fat Navarro
13. 'Round Midnight Miles Davis
14. Maynard Ferguson Maynard Ferguson
15. My Funny Valentine Chet Baker
16. Joy Spring Clifford Brown
17. Concerto in D Major Maurice Andre
18. Up Jumped Spring Freddie Hubbard
19. Later Wynton Marsalis
Arturo Sandoval (tp,vol)
Mike Gold (cl)
Hank Bredenberg (tb)
Jim Cox (org)
Felipe Lamogolia (ts)
Robert Rodriguez (p)
Denis Marks (b)
Ernesto Simpson (ds)
Big Band Musicians
Conducted by Jerry Hey
Dan Higgins (as,cl)
Greg Huckins (as,basssax)
Bill Liston (ts)
Rusty Higgins (ts)
Joel Peskin (bs)
Charlie Davis (tp)
Gary Grant (tp)
Wayne Bergeron (tp)
Larry Hall (tp)
Charlie Loper (tb)
Amdy Martin (tb)
Steve Holtman (tb)
Bill Reichenbach (tb)
Dick Nash (tb)
Bruce Otto (tb)
Lus Conte (per)
Denis Budmier (g,bjo)
Produced by Arturo Sandoval & Quincy Jones
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