A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

派手さは無いが、ギタートリオをバックにしたボーカルもいいものだ・・

2015-02-13 | MY FAVORITE ALBUM
Sylvis Is ! / Sylvis Syms with Kenny Burrell

50年代のハードバップ全盛時代のプレスティッジに較べて、60年代のプレスティッジのアルバムは地味なものが多い。有名処のプレーヤーは皆メジャーの専属になり、ジャズ自体もフリーからジャズロックまで多様化していった時、メインストリームなジャズはただでさえ目立たなくなっていた。ジャケットも地味で目立たない、無い無い尽くしの状態であった。
実は、こんな時こそ隠れた実力者が本領発揮できる場であったのかもしれない。
さらに、このプレスティッジやブルーノートというレーベルはボーカル物が少ない。そんな中に混じってカタログにのっていたのがこのアルバムだ。

この時代のプレスティッジのアルバムを、自分は先日のペッパーアダムスは好きで買ったが、何故買ったかもあまり覚えていないアルバムが何枚かある。このシルビアシムスも、当時は良く知らなかった。しかし、何故か気に入って良く聴いていたアルバムだ。

ジャズボーカルというと、やはり御三家のようなダイナミックな歌唱力とスキャットに感心していた頃、このようなストレートな歌い方がかえって新鮮に感じたのかもしれない。
歌もいいが、バックのケニーバレルが実にいい感じだ。

ジャズを聴き始めた頃は、ボーカルのバックというとピアノトリオが普通と思っていた。たまにギターが加わっても、これはおまけのような感じがして、ピアノが無いと何となく寂しく感じたものだ。
ところが、ピアノが無いと当たり前だがギターが突然目立つようになる。
考えてみれば、他のジャンルでは、ロックでも、ブルースでも、フォークでもギターをバックにしたボーカルが当たり前なので、ジャズだってギターで歌うのはおかしくないはずだが。

すると、ジャズのギターのバッキングなるものが、スイング感を与えるだけでなく、変幻自在に歌に絡むのが、実に魅力的なのか分かるようになった。この時、上手いギターというのは、リズムであれ、ハーモニーであり、さらにはメロディーでも歌手にとって実に良きパートナーになる。ボーカルのバックはピアノもいいが、ギターもいいな思うようになった。

このアルバムは、そのギタートリオがバックとなっているのが一つの特徴。
ギターは名手ケニーバレルだが、他のメンバーも地味だが名手揃い。この頃は、ケニーバレルはウェスモンゴメリーの陰に隠れた存在となっていたが、このような編成&演奏になると本領発揮である。ウェスのような派手さはないが、色々な技を披露してくれる。単にギターのトリオより、このようなボーカルやソロのバックの時の方が、存在感が増すように思う。

そして、このアルバムのもう一つの特徴は当時流行り出したボサノバのリズムの曲が何曲かある。ここには、ギターのバッキーピザレリとパーカッションが加わる。ボサノバというと、強烈なサンバのリズムに乗った演奏もいいが、ここではゲッツの影響かパーカッションも控えめに、しっとりとした軽快なリズムが刻まれる。

派手でウキウキするのもジャズの楽しさだが、地味でしっとりというのもジャズの良い所。このアルバムも、変に気負ったところが無く、素直で、軽妙な所がいい。

ライナーノーツには、とってつけたような解説ではなく、映画監督のウッディ―アレン、ピアノのエロルガーナー、プロデューサーのロスハンター、そして歌手のジャックジョーンズやトニーベネットなどからのシムスに向けた賛辞が述べられている。
誰もがいいなと感じるボーカルなのだろう。



1. As Long As I Live
2. More Than You Know
3. I’m Afraid The Masquerade Is Over
4. How Insensitive*
5. Smile
6. If You Could See Me Now
7. Meditation*
8. Cuande Te Twiste De
9. God Bless The Child
10. Wild Is The Wind
11. You Are Always In My Heart*
12. Brazil*

Sylvia Syms (vol)
Kenny Burrell (g)
Milt Hinton (b)
Osie Johnson (ds)

Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, August 11, 1965

*Add
Bucky Pizzarelli (g)
Willie Rodriguez (per)
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, August 13, 1965
コメント
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