A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

大編成になるとアルバムの出来・不出来はアレンジャーの腕比べになりがちだが・・・

2015-04-07 | PEPPER ADAMS
Heads Up! / Blue Mitchell

有名ミュージシャンのグループに加わってアルバムに参加すると、リーダーでなくとも自然とその名前は知られるようになる。そしてある時、自分のリーダーアルバムを出す段になっても、その実績があるが故に初リーダーアルバムとは思えないような堂々とした演奏のアルバムが誕生する。

ブルーノートに残したホレスシルバークインテットのアルバムの数々にグループの一員として参加していたのがトランペットのブルーミッチェルだ。あまり目立つ存在ではなかったが、ホレスシルバーのバンドを辞めてからも、ブルーノートの録音の多くに参加した。
サイドメンとしての参加も多かったが、リーダーアルバムとして新人チックコリア、アルフォスターを従え”Things To Do”も誕生した。しかし、さあこれからといったタイミングでブルーノートのアルバム制作方針に路線変更が起こってしまった。

この頃、ブルーノートではジャズロック風のアルバムや大編成のアンサンブルをバックにしたアルバムが増えてきた。このミッチェルも例外ではなく次の”Boss Horn”ではオクテット編成でのアルバムとなった
ミッチェル自身のトランペットはハードバッパーだと思うが、大きな編成になってアンサンブルワークの中に加わり、8ビートやコリアの多少モーダルな感じの曲もやるようになると、トランペット自体は反対に優等生的な演奏に収まってきてしまった。なかなか強烈な個性が無いと大編成を従えたアルバムでは荷が重くなる。

そして、翌年、このアルバム”Head Up!”を作ることになる。引き続き同じ路線で、編成はさらに大掛かりになり、もう一本トランペットも加わり総勢で9人編成となった。しかし、ソロをとるのは、あくまでもミッチェルとシルバークインテット時代からの相方であるジュニアクックが中心となる。

アレンジが益々大事になるが、このアルバムでは4人のアレンジャーの腕比べとなった。前のアルバムでもアレンジを担当していたデュークピアソン。他にはジミーヒース、メルバリストン。さらに自分は知らなかったがドンピケットというアレンジャーが勢揃いした。それぞれ、メインストリームからブーガルーまで多彩なアレンジが提供されたのだが。

このブルーミッチェルはこの頃ブルーノートでは他のアルバムにもサイドメンとしての参加することが多かった。このようなオクテット、ノネット編成というのはソリストに余程個性がないとリーダーアルバムとはいってもソロがアンサンブルに埋没してしまう。そして、アレンジャーにとってはソロを引き立たせるアレンジができるかどうかがカギとなるのだが。残念ながらこのアルバムは、ミッチェルをフィーチャーしているというよりは、どうもアレンジの違いを聴き較べるアルバムになってしまったようだ。中では、デュークピアソンのアレンジによるジェリーダジオンのフルートのリードで始まるカリプソ風のThe People in Nassauに新しい風を感じる。ちょうど日本ではナベサダのボサノバが流行っていた頃だ。

というアルバムなので、余程のミッチェルファンか、あるいはアレンジ物が好きな人でないと手にすることはないアルバムだろう。

そしてこのアルバムには、自分の目当てのペッパーアダムスも参加している。ちょうどサドメルができて一年半近く経った時。サドメルに加えてデュークピアソンのビッグバンドでも定期的なライブが始まった頃で忙しくなった真っ只中、積極的にスタジオワークもこなしていた時期の録音だ。
1967年10月、ちょうどドナルドバードとの再会レコーディングを終えた後のセッション参加であったが、ここではアンサンブルワークだけで、特にソロの出番は無かった。アダムスに限らず他のメンバーではピアノのマッコイタイナーと、ジェリーダジオンのフルートだけがソロでも登場する。

その後のミッチェルは西海岸でスタジオワークが多くなる。初期のコンコルドのアルバムにも良く参加していた。ビッグバンドにも良く加わっていたし、ハロルドランドとコンビを組んだこともあった。が、ソリストとして名を馳せるにはプレーが上手だけでは駄目で、何か聴き手の感性に訴えるサムシングが必要なのかもしれない。

1. Heads Up! Feet Down!                 Jimmy Heath
2. Togetherness                      Jimmy Heath
3. The Folks Who Live on the Hill     Oscar Hammerstein II / Jerome Kern
4. Good Humour Man                    Blue Mitchell
5. Len Sirrah                       Melba Liston
6. The People in Nassau                  Blue Mitchell

Blue Mitchell (tp)
Burt Collins (tp)
Julian Priester (tb)
Jerry Dodgion (as fl)
Junior Cook (ts)
Pepper Adams (bs)
McCoy Tyner (p)
Gene Taylor (b)
Al Foster (ds)

Jimmy Heath (arr)
Duke Pearson (arr)
Don Pickett (arr)
Melba Liston (arr)
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliff, New Jersey on November 17, 1967


ヘッズ・アップ+2
ブルー・ミッチェル
ユニバーサルミュージック
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