A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ペッパーアダムスには珍しいジャズフェスティバルのステージでの演奏は・・・

2015-04-26 | PEPPER ADAMS
California Cooking / Pepper Adams

ローリンドアルメイダのアルバムで相方を務めたベースのボブ・マグナソン。コンコルドのアルバムには良く登場するが、図太いサウンドで自分の好きなタイプだ。
このマグナソンの経歴を辿ると、バディーリッチのオーケストラへの参加が本格的なデビューのようだ。1969年のアルバムBody & Soulにその名前があるサラボーンとミシェルルグランとのアルバムに参加したのがきっかけか、サラボーンのバックをしばらくの間務める。
その後はスタジオワークが多いが、その合間にgigもこなし、コンコルドのアルバムにも参加したことになる。ローリンドアルメイダのアルバム作りに参加したのが1983年4月であったが、その直前にニューヨークからの遠来の客の相手を務めることになった。

ペッパーアダムスのアルバムはとりあえずアダムスの研究家Gary Carnerが定めたリーダーアルバムは未発表を除く18枚はすべて紹介したが、他にもアダムスのリーダーアルバムといえるアルバムは何枚かある。このアルバムもその一枚だと思うのだが・・・。
このアルバムは、ロス在住のプロデューサー、妙中俊哉が設立したレーベルInterplayからリリースされたアルバム。地元コスタ・メサで開かれたオレンジカントリージャズフェスティバルでのライブ録音だ。

実は、このオレンジカントリージャズフェスティバルは、イギリス出身のプロデューサーフレッドノースワージーが手掛けたジャズティバル。ノースワージーといえば、幻のレーベルだったJazzline、Jazztimeの設立に関わった人物。その中にペッパーアダムスが参加したトロンボーンのウイリーウィルソンのアルバムがあった。このノースワージーはアダムスに惚れ込んだのか、後にフリーのプロデューサーとしてアダムスのリーダーアルバムEncounterの制作にも携わる。そのノースワージーがジャズフェスティバルをやるとなると、ペッパーアダムスにも協力依頼をするのは不思議ではないが・・・。

ニューヨークを拠点としていたアダムスにとっては遠いカリフォルニアでのイベントであったが、ノースワージーには恩義があるのか全面的な協力をすることになった。
その頃アダムスは、普段のクラブでの演奏以外に学生バンドへのゲスト出演や、それに合わせてクリニックをやることも多くなっていた。
この時もプレー以外にフェスティバルの一環として行われたハイスクールバンドのコンテストの審査委員を務めるなど、フェスティバルの開催中が大忙しであった。

メインイベントの日には、自分のグル―プの演奏に先立ち、地元のカレッジバンドにゲスト出演し、終わってからはビルベイリーのビッグバンドにもゲスト出演し、アダムスはステージ上でも出ずっぱりであった。

メインのアダムスのグループの演奏は、レギュラーグループを持っていなかったので、このフェスティバルに合わせて臨時編成グループで臨んだ。フェスティバルのステージ上での単なるジャムセッションというのをアダムスはあまり好まなかった。忙しい中ではあったが、選ばれたメンバーで一応リハーサルをして本番に臨んだ。

選ばれたメンバーは、まずトランペットにはテッドカーソン。アダムスとカーソンはニューヨークでも良く演奏する中であり、直前の一月にも一緒にプレーをしたばかりであった。たまたまこのカーソンもこのフェスティバルに参加していたのでアダムスのグループへも参加となった。

リズムセクションはノースワージーが手配をした。まず、同じイギリス出身ということもあったのか、ピアノには地元で活動していたビクターフェルドマンを選んだ。フェルドマンといえば50年代にはピアノとヴァイブで活躍し、一時はマイルスのバンドへの誘いもあったという。しかし、この誘いを断りロスに留まりスタジオワークが多くなると、ピアノよりパーカッションとして活動することが多くなっていた。フェルドマンにとっても久々のピアノプレー、それもストレートアヘッドなジャズのステージであった。アダムスとは初めてではないと思うが、少なくとも直近は一緒にプレーをする機会はなかったはずだ。

そしてベースにはボブ・マグナソンが加わった。
遠来の客の相手というのはこのペッパーアダムスであった。
ドラムのカールバーネットとのコンビとは、アダムスは、以前一緒にレコーディングをしたこともあるので、これも初顔合わせではなかった。

演奏した曲は、フェルドマンのピアノをフィーチャーしたLast Resort,テッドカーソンをフィーチャーしたサーマータイム、そしてアダムスのオリジナルを3曲、そしてジャムセッションの曲としてはカーソンと相談してオレオが選ばれ、ここではメンバー達の大ブローという構成になった。メンバー全員でちょうど一時間のステージの持ち時間に上手く収まるようなプログラム構成とはなった。

しかし、リハーサルを重ねる時間が無かったのか、フェスティバルという会場に合わせた選曲・構成に敢えてしたのかは定かでではないが、結局ペッパーアダムスクインテットいうには少しルーズなグループであった。全体のコンビネーションも今一つしっくり感が少ない。
いつものリーダーアルバムのレコーディングとは異なり、アダムスの自己主張は弱く、皆が勝手に演奏している雰囲気だ。
しかし、仕掛け人のノースワージーとしては、この演奏はぜひ残して置きたかったのだろう。ノースワージーが自ら録音を行い、妙中氏との連係プレーで晴れてアルバムとしてリリースされた。

時間がない中で、アダムスのカリフォルニアでの即席料理は素材が良かったのだが、残念ながら味わいのあるものに仕上がってはいない。それがアダムスのリーダーアルバムの一枚に加えられない理由かもしれない。

もう一つ注文を付ければ、ノースワージー自ら手掛けたライブの録音のレベルが今一つ。マグナソンのベースも大音量で響き渡るだけで良さもが出ていない。いつものコンコルドのフィルエドワーズが録音を手掛けていたら、もっと良い印象を受けるかもしれない。アルメイダのアルバムでの録音に好印象を持った直後だけに余計に落差を感じる。

1. Valse Celtique                 Pepper Adams 13:31
2. Summertime  George Gershwin / Ira Gershwin / DuBose Heyward 9:57
3. Last Resor                   Victor Feldman 7:01
4. Now in Our Lives                Pepper Adams 10:27
5. Oleo                      Sonny Rollins 9:33
6. Doctor Deep                 Pepper Adamms 11:29

Pepper Adams (bs)
Ted Curson (tp)
Victor Feldman (p)
Bob Magnusson (b)
Carl Burnette (ds)

Produced by Toshiya Taenaka
Engineer : Fred Norsworthy

Recorded live at Orange Country Jazz Festival. Costa Mesa, California on March 26, 1983




カリフォルニア・クッキン
クリエーター情報なし
アブソードミュージックジャパン
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