最近の日本の経済的優位性は至る所で揺らいでいます。世界第二位の
経済規模を誇った日本は中国に追いつかれ三位となりました。昨年の
自動車販売量は復活したGMに次いでフォルクスワーゲンが第二位と
なり嘗て首位だったトヨタは第三位に転落しました。太陽電池生産では
2007年にシャープを抜いてドイツのQセルズが世界首位となりその後、
中国のサンテックパワーが世界一となりました。1991年当時世界シェア
No.1 だった半導体DRAMメーカーのエルピーダメモリは会社更生法を
申請しています。
圧倒的な競争力を持っていた日本の液晶TVメーカーは韓国メーカーに
対抗出来ずほぼ全ての日本液晶TVメーカーが撤退か縮小を検討中です。
2010年度の携帯電話器出荷数は1位ノキア(フインランド)、2位サムスン
(韓国)、3位LG(韓国)、4位ZTE(中国)でしたが、国別生産量では現在
中国が世界一で、日本メーカーの出る幕はありません。
革新的な技術開発力が落ちています。円高などの企業努力を超えた要因も
あり日本企業の著しい地位低下が見られます。「貧すれば鈍す」の言葉通り
様々な分野で企業の質の低下が見られます。その究極の姿があの福島第
一原発事故に他なりません。
12年程使用したエアコンが壊れ先日近所の電器店に修理を依頼しました。
原因はサーキットの故障で、このサーキットを取り替えることにしましたが、
メーカーからの回答は、この部品は生産中止となり販売されていない、
とのことで修理は出来ずこのエアコンは只のゴミとなりました。
5日前にデジタル一眼レフカメラの電池が充電出来ず、名門メーカーである
カメラ会社へ問合せをしました。担当者から故障の原因を調べるので電池と
充電器を送って欲しいと云われました。調べて直らない場合はどうするのか
尋ねたら、電池は消耗品なので補償は出来ず新品を買って欲しいと云われ
ました。この電池を買ったのは昨年の6月なのでまだ1年も使っておらず、
名門メーカーがこんな不良品を販売してこの対応では会社の名が廃る、と
言って電話を切りました。
3年前に、7年間使用していたパソコンが壊れメーカーに問合せたところ、
担当者からパソコンの寿命は5年です、修理をしても修理代が相当高額に
なるので新品を買った方が宜しいと思います、と云われました。19万円で
買ったデスクトップのパソコンの寿命が5年とはなかなか納得が出来ません
でしたが、結局新しく買い換えました。
昨年5月に、車のカーナビのソフトが古いので、最新の地図情報が入った
DVDを買おうとして大手自動車部品販売店に行きました。担当者はカーナビを
見て、随分古いですね、この機種に使用出来るDVDは現在ありません、
12年間使用していると話したら、そんなに長く使っているのですか、奇跡
ですね、と云われました。
高額の製品が数年から10年程度で壊れ又は部品の製造が中止になるのは、
日本が誇ったこだわりのモノ作り精神が失われている事の証明です。メーカーは
製品が長期間使われたら販売が伸びず業績に影響します。しかし技術開発力で
新製品を次々と生み出し新たな需要を起こして業容を拡大することが本来の企業の
姿です。マイナーモデルチェンジで新製品を出し、在来品の生産を中止したり、
部品の生産を止めて販売増を狙うことなど姑息な手段を使ってはなりません。
最近の企業は技術力、技術開発力、販売力、顧客対応力など相当劣化していると
思わざるをえません。技術力の低下は経済力の低下となり、更には国力の低下と
なります。このスパイラルの下では、これからも福島原発事故の様な過酷な災害が
発生する事態が続くものと懸念されます。