本日、3回目の市民大学講座を聴講しました。今回の講座は
「商品開発に当たっての機能性付与について・新商品の開発
過程・・・動物・ヒトの実験から見えてくるもの」で、担当は茨城
キリスト教大学准教授の梶田泰孝さん。ヒトの細胞の構造、
食品の機能性、食品摂取によるヒトへの機能性の付与、健康
食品摂取の考え方、廃棄物の利用、等の内容の講義です。
以下の事項が大変興味ある内容でした。
・ 健康食品として納豆が注目されている。納豆に含まれる
ナットウキナーゼが血液をさらさらにすることは証明されて
いる。しかし、ナットウキナーゼは蛋白質で、胃や腸で分解
されナットウキナーゼとして血液に入っては行かないので
納豆を食べたからと言って血液がサラサラになるかどうかは
疑問。これはコラーゲンも同じで、コラーゲンサプリメントを
摂っても、必要なところにコラーゲンが形成されることはない。
・ ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、ムラサキイモなどに
含まれているアントシアニンは俗に視力の回復、動脈硬化や
老化の予防効果があると言われている。しかし、ヒトでの有効性・
安全性については、信頼出来るデータが十分ではない。飲食に
よって健康が増進することを保証するものではない。
・ コーヒーに含まれるクロロゲン酸は体脂肪量の減少に効果が
あると報告されている。この実験は高濃度コーヒーを使って
行った結果で、クロロゲン酸が効果を発揮するに必要な高濃度の
コーヒーを飲めば別な影響が出ることもある。
・ 廃棄物の再利用である卵の殻を利用した卵殻カルシュウムは
栄養素の強化・サプリメントの材料として使用されている。実験では、
卵殻カルシュウムは牡蠣の貝などを利用した貝殻カルシュウム、
牛骨粉より骨密度の改善に効果があった。
・ 子供が親から与えられたビタミンの過剰摂取で脳圧が上昇した例が
ある。ビタミンA、D、E(油溶性)は過剰摂取は避けなければならないが、
ビタミンC(水溶性)は過剰摂取しても一定量以上は体外に排出される
ので問題ない。
・ 植物繊維が小腸に入ると、小腸は異物として認識する。これに対処する
ため小腸は免疫機能を高める。この結果便秘等の改善に役立つ。
・ 食事と共にデキストリンを摂取すれば、小腸吸収が(邪魔されて)穏やかと
なり、長時間かけて吸収が行われる。よって血糖上昇は穏やかとなる。
他にも食品摂取について参考になる事項が沢山ありました。サプリメントの
摂取による効果は一過性で一時的には効くが、直ぐ体外に排出されるので、
基本は普段の食事から栄養素を摂ることが望ましいと梶田さんは指摘しています。
多くの食品、サプリメントは、まだ確かな機能性・効果が確証されているとは
言えず、これらの内容を良く確かめた上で摂取することが重要であるとの
結論でした。