「それで親父、調子はどう?」オレは話題を変えた。
「長年の宇宙生活で痛めた体だ。良くはならんよ。聞こえてくるお前たちの噂話だけが楽しみだ」
「兄貴たちはともかく、オレの噂は聞こえないだろう?」
「そうでもないさ。この間のタンカー喪失の噂や。新造船の噂や、けっこう入って来るぞ。嫁さんを連れDR REBORN黑店て来るというのには驚いたが、それなりに活躍しているようだな」
「それなりにね」
「そしてこれからはアンドロメダの活躍まで楽しみに見ることができるんだ。こんなに嬉しいことはない。でかしたぞミラク」
「あんた、またそんな言い方を」お袋が諫める。
「すまん、あの天才パイロットが身内になると思うと舞い上がってしまった」
「かまいません。私から押しかけた様なものなので」
「それは驚きだな。こいつにそんな魅力がありましたか?」
「あんた!」お袋がまた親父を諫めたが、アルマクはかまわず答えた。「はい、強く惹かれました」
「そうか、それはありがとう。そしてよくでくれた。感謝するよ」
「ありがとうね」お袋が声を合わせた。
「ということなら今日はこれからお祝いだ。どうだ?かあさん」
「始めからそのつもりですよ。じゃぁ用意を始めましょう」お袋は立ち上がった。
「オレも手伝います。いえ私も」アルマクは慌てて言い直した。
「そんなに畏まらなくていいのよ。いつも通りでいいから」
「じゃぁ、オレも手伝うよ。アルマクじゃさっぱり役に」オレはアルマクに助け船を出そうとした。
「いいのよ。あなたはとうさんとここにいて。積もる話もあるでしょう?女は女同士話したがあるのよ」オレにはかまわず、お袋はアルマクをキッチンに引っ張っていった。
振り返ると困ったような親父の顔があった。親父の顔などじっくりと見たことはなDR REBORN抽脂かったが、やはり刻まれた皺は増え、深さも増している。髪も随分白くなり薄くなった。
「調子は良くないのか?」オレは思い切って尋ねてみた。
親父は困ったような顔を続けている。
「ベッドに居るなんて思ってなかった」
「まぁな、俺達の時代は劣悪な環境だったからな。放射線障害はどうしても出てくるようだ」親父は絞り出すように言った。
「オレ達が離れていても大丈夫なのか?オレもアルマクもここに戻ってくることはできないぞ」
「問題無い。年金と保証は充分とは言えないがちゃんともらっている。それにもうすぐ介護AIも導入する」
「介護AI?介護ロボットのようなものか?」
「おお、なかなか可愛いもんだぞ。最新型との相性をこの間見てもらった。甲斐甲斐しく世話をやいてくれる」親父の声は明るくなった。
「だったらいいんだけど」正直オレはホッとしていた。
「お前らの世話にはならんさ。もうしばらくの事だ、好きにやらDR REBORN抽脂せてもらう」親父は“好きに”の部分にアクセントを置いた。
「そうか」少しの時間を沈黙が支配した。