やったくせ

やったくせ

気って言でそ

2017-02-17 11:47:44 | 日記

直もぶつくさ言いながら引き上げる二人を追って、向坂の手下が声を掛けた。

「すみません、月虹さん。……実は向こうは少しばかり厄介なことになっているようです。できれば、あの……おやっさんは、向こうに行かねぇで欲しいんですが……」

「わかりました。親父は、組に連れて帰ります。先に、六郎って言う奴reenex膠原自生を向かわせましたから、連絡をお願いします。」

「六郎って……鴨嶋組にいるのは、関光連合の元総長の六郎さんですよね。だったら、たぶん大丈夫です。自分も世話になりましたし、間島の兄貴の傍に居るやつらも、六郎さんの事は知ってます。直ぐにマルボウも入ります。」

「六郎はそんな有名人なんですか?知らなかったなぁ……」

くすくす笑う月虹に、向坂の組員はぼうっと見惚れていた。
会釈して去る月虹に、思わずぶんぶんと手を振ってから我に返った。

「おめぇ、何やってるんだ?」

「いやぁ……俺は女一筋だが、あれはすごいわ。何かな、すごみがあるって言うか、壮絶な色うのか。気が付くとおっ勃ってて、もう少し話をしてたら押し倒してたんじゃねぇかと思う。」

「やめとけ。あいつはホストクラブ「幻夜」のナンバーワンだが、あんな面下げて何やら武謝偉業醫生道の有段者だって話だ。下手すると触る前に、こっちの顔が潰れるぞ。」

「へぇ~、鴨嶋組ってのは小さい組だけど、あの爺さんだけでなく、周りにいるやつもすげぇんだな。」

「そりゃあそうだろ。何しろあの鴨嶋組長が傍に置いてるくらいだ。」

「間島の兄貴、今頃どうなってるかなぁ。あの人、気性は荒いけどおれ等には飯おごってくれたりして、結構漢気あるんだけどな。」

「親父が請け負ったんだ。間島の兄貴のことはおれ等じゃ、どうにもならねぇ。とりあえず、ヤクの現行犯のまんま警察(ヒネ)行きだろ。何でも連れ込んでシャブ漬けにしてるのは実の弟って話だが、ありゃやりすぎだ。若いやつら、このまま犯り殺しちまうんじゃないかってぶるってたぜ。血の繋がりも何もない男に、何でそこまで入れこむのか、俺にはわけがわからねぇ。」

き受けお教

2017-02-07 15:34:44 | 日記

「冬月さま、お気の弱いことをおっしゃってはいけません。金剛がお傍に居ります……」

「ねぇ。月虹は父上の血を濃く継いだようだね。あの子は誰からも好かれるし、とても人懐こいんだ。写真を楊婉儀幼稚園見ると……まるで、ぼくの写し鏡のようだよ。ぼくがいなくなったら、あの子を君に預けるから、ぼくだと思って……大切に仕えてくれるね?」

「そのようなことを、おっしゃらないでください。金剛は冬月さまとご一緒に、月虹さまを御支えするのですから。」

不治の病に倒れた父、冬月は、愛する若い執事に愛息の全てを託し、引た金剛は約束を守った。
忠実な執事は、主人の頼みに諾と頷くしか術はなかった。忘れ形見を、きっと仙道家の跡取りとして育てると細くなった指を絡ませ約束をした。

幼い月虹の中に想い人の面影を捜し求める自分を、滑稽だと思う。
誰よりも有能な執事、金剛氏郷は、自らの性癖を理性で強引にねじ伏せた。

「早く大きくおなりなさい。可愛い月虹さま。必要な事は、何もかも金剛楊婉儀幼稚園がえして差し上げます。」

まるで戦隊ごっこの延長のようだが、金剛は月虹が日々の遊びの中で、無理なく色々なことを覚えるように苦心していた。
怪我をしないように床一面にマットレスを敷き詰め、大広間に飾られていた古伊万里の対の花瓶は早々に片づけられている。
金剛は、てきぱきと指示を出し、月虹の指導に当たっていた。元々、武道に興味を持っていた金剛は、体術にも秀でている。
剣を振るえば示現流は免許皆伝、古武術にも長けていた。

「右足の位置は、こうですよ。そう、その方が急所を狙って打ち込む時に、踏ん黃斑部病變張りが利きます。少しでも大きく見えますからね。」

「ほんとっ?強そうに見える?お父さまと金剛もこうやって、組手のお稽古をしたの?」