TaizanのWhite Mountain

北部白山管理人&中宮温泉くろゆり館主がお届けする白山情報満載!

百四丈滝の歌

2024-11-27 | 日記

昨年は、白山がユネスコ世界ジオパークに認定されたのを記念してメモリアルソング「我が心の白山」を制作しました。今年はそれからちょうど1年、迫り来る気候変動に白山の自然も少なからず影響を受けています。昨シーズンは1月に雨が多く、百四丈の氷の造形も過去より小さくなったように感じました。この事に危機感を募らせ、自然現象による奇跡の造形である世界の宝を歌にして伝え、気候変動について考えるきっかけに成ればと思い「神秘の滝百四丈」を作成しました。作詞:白 泰山 作曲:リピート山中 

この巨大な氷の造形はどのようにして出来るのかは2019年11月から毎月観察を続けて解明しました。詳しくは2019年12月30日の記事をご参照下さい。

簡単に滝壺の巨大ドームが出来る課程を解説すると、最初11月下旬頃から放射状に飛び散ったしぶきが蓮の葉のように広がり台座を作ります。この写真でも分かるのですが滝の水は落下中に過冷却水となって落下の衝撃で瞬時に氷の粒となり、水がほとんど中心から流れ出ていません。

12月下旬になるとある程度大きく成長しています。ちょうど砂時計が積み上がっていくような感じです。もちろん暖かい日には水となってドームの中心を融かして行きます。そうやって寒暖を繰り返し20㍍ぐらいの雪の吹きだまりと結合しながら複雑に成長を続けていきます。その様子を蓮の花に見立てて作詞しました。

先日閉幕したCOP29は主要国首脳の欠席も在り、何か経済支援ばかりに議論を費やした印象でした。産業革命以降僅か200年足らずで人類は温室効果ガスを排出し続け、地球という天体の気候メカニズムを変えてしまったかも知れません。気候変動を否定する意見の中には地球は寒冷化に向かっているから温暖化しないのだという声も聞こえます。そもそも地球は温暖化を打ち消す程の寒冷期を迎え、ましてや寒冷化の効果が都合良く来年から顕著に表れることなど期待してはいけません。明らかに人類は、この200年足らずで化石燃料を飛躍的に燃焼させ温室効果ガスを排出し続けて来たのは事実です。例は適当では無いかも知れませんが、地球は寒冷化に向かっているから温室効果ガスを排出し続けても構わないのだと言う論理は、ゴミを玄関先に投げ捨てておいて、やがて洪水が来て家の前のゴミは綺麗に流れるから放置しておいても良いのだという論理と変わらないような気がします。私がここで言いたいのは、地球は天体の自然現象として温暖化に向かっているなら受け入れるしか無い。(反対に寒冷化に向かっているのなら)しかし、今ここで温室効果ガスを排出し続けた社会システムを見直し、大気中に漂う人工的な温室効果ガスをこれ以上増やさないように努力しなければ、この先の子孫に大きな負担を背負わせる事になるのだ。という認識を先ず持つべきだと考えるのです。今回の楽曲の制作の意図は冒頭に書いた通りです。身近な白山の自然を知る事で、雄大な白山とそこから繋がる世界の気候について考える一助になれば幸いです。

神秘の滝百四丈 作詞:白 泰山 作曲:リピート山中

 


今年初の中宮温泉

2024-03-28 | 日記

今年は3月に入ってから何度も寒波に覆われ、暖冬少雪と言われた割には残雪量は例年と同じくらいの現在です。ホワイトロードは1.0~1.5mぐらいの残雪に覆われていました。しかしながら、例年大量の雪崩で埋まる谷には全く雪崩の痕跡も有りませんでした。至って穏やかな冬だったようです。

さて、中宮温泉の方はどうでしょうか?くろゆり手前の斜面では最近雪崩が発生したようでアプローチ入口が少々雪崩で埋まっていました。建物は屋根雪が落ちて1階窓枠上まですっぽりと雪に埋まっていました。

最も重要な温泉は大丈夫でしょうか?引湯管は冬季の雪崩被害に遭わないよう谷を渡る部分で取り外しているし、引湯管の温泉成分による詰まりを防ぐため、にしやま旅館さん脇で取り外しています。源泉からここまでも冬季間の詰まりは防げないので、やや湯量は細くなっていますが熱々の源泉が流れ出していて一安心です。ここまで除雪が完了するのは4月中旬の予定ですが、源泉からくろゆりまでの引湯管内部の清掃を行いながらGW直前の再開まで鋭意準備を進めたいと思います。

ご注意:ブナオ観察舎ゲートから先では、土砂災害及び斜面崩落復旧工事が行われています。また、三ッ又発電所から先は気温が上がると雪が緩み、益々雪崩や落石の危険性が高まります。安全に通行出来るGWまでは徒歩などによる通行はお控え下さい。

 


大雪山系 黒岳&十勝岳 山スキー日記

2023-12-09 | 日記

初冬の北海道でシーズンイン。まだ雪不足だったが十勝岳は天候にも恵まれ、とても素晴らしい景色と雪を体験できた。

       

初日は層雲峡から黒岳を目指したが、朝から上空はかなりの風があるようで、雲の流れが速い。ロープウェイは8:00始発、その上のスキー場は9:00運行開始なので、テンションが上がらないまま準備を進め、スキーにシールを貼って登り始めたのは10:00過ぎ。時折雪が舞い上がり地吹雪の合間に薄日が差す。9合目を目安に氷結斜面手前で登攀終了。固くパッキングされた斜面を安全に降りる。吹雪の合間に特徴的な岩山の稜線が見えたので満足する。

   

旭川へ向かう途中、この日パン1つとウイダーしか口にしていなかったので、上川の街中へ立ち寄る。あさひ食堂というお店に入ると、この地域では名店らしい雰囲気。しかしその向かいにある「沢野オート」の方が味がある店構えで、ラーメンをすすりながら昭和の自転車屋といった風情の有る佇まいを眺める。この時期の北海道の日の入りは早く16時には日没。旭川は北海道第2位の都市だそうで綺麗で活気があった。

           

翌日は美瑛の望岳台から十勝岳を目指す。途中美瑛富士からのご来光(-9℃)登山口の望岳台から大雪山系の山々の見晴らしは素晴らしい。旭川方面は濃霧に包まれたままだった。斜面の雪質は避難小屋前後が素晴らしかった。この日は別に3人のグループ、単独3名のスキー、スノーシュー(吹上温泉から)が居た。グラウンド火口に登り上げる斜面は氷結。上に出たら強風で雪も飛ばされ岩だらけでスキー歩行は不可能だった。

 

小松経へ戻る飛行機の窓からは立山連峰の向こうに富士山。いよいよ着陸態勢に入ると翼の上に白山が現れた。小松は異常に暖かいと感じたし、この時期には滅多に無い黄砂も降ったらしく、フロントガラスが汚れていた。北海道も雪不足なので、安心して年末年始を過ごせるよう、クリスマスまでに寒波が来て欲しいと願う。


登山道のマーキングについて

2023-07-08 | 日記

登山においてマーキングは、迷わずに帰るため、もしくは自分の辿ったルートを後続者に伝えるための目的が有る。誰か分からない第三者に伝える目的は存在しない。もちろん殆どの場合、地主の許可無く設置しているものだろうから、目的が達成されたら速やかに撤去しなければ成らないという前提をここで共有しておきたい。少なくとも北部白山エリアでは鉄則として欲しい。従って、回収不能なペイントや写真のような無意味な粘着テープでの立木への貼付けなどは論外で有る。北部白山管理人として、今回の粘着テープ設置者に於いては速やかに撤去を願う。

一方登山道上では、地主及び借受人が事業執行のための目印として、ペイントやマーキングを行っている例もよく見受ける。この場合、一般登山者には理解されにくいので、簡素な方法で、簡潔に事業目的が分かるよう配慮して欲しい。


羊蹄山滑降

2023-04-20 | 日記

長年の念願だった羊蹄山滑降。3月の高温で本州の山々はどんどん雪が消えてしまい、4月は北海道に残雪を求めるしか無かった。そんな折、千載一遇のチャンスで羊蹄山滑降の企画が舞い込み便乗した。しかし、前の週は異常な量の黄砂に覆われ、北海道の山々とはいえ、すっかり茶色くなってしまった。ところが、その直後に季節外れの寒波が訪れ、日本海フェーリーが定刻より2時間遅れという大シケの中小樽に上陸した。久しぶりに雪道を走り、晴天予報の翌日に備えた。

茶色かった山は厳冬期の姿に逆戻り。長年の念願であった羊蹄山滑降を果たすことが出来た。足元に広がる北の大地に飛び込むような高度感は独立峰ならではの醍醐味だった。

  


今年の春山の傾向

2023-04-01 | 日記

4/1の室堂と別山

今年の冬を振り返ると、クリスマス寒波に見舞われたものの、その後1月は暖かく雨も多かった。標高の低い地域では融雪が進んだ。1月下旬から2月は再び積雪も増え始めたが3月は一転して高温が続き、山麓地域のスキー場は少雪に悩まされた。4/1時点で市ノ瀬では軒下以外駐車場の雪は殆ど消えていた。

別当出合へは猿壁上付近までは所々アスファルトが見え始めていた。

別当出合では積雪1.5mくらいで今年は雪崩も発生していなかった。

甚之助避難小屋から上は、南竜、室堂ともGW辺りの積雪量だろう。総じて残雪量が少ないので、GW期間には更に残雪範囲は狭まっているだろう。


スキー用具の進化と雪山事故

2023-02-03 | 日記

写真は30年近く前から雪山で使っていたジルブレッタ404です。この頃は今では見かけなくなった細板にその幅にも満たない長細いシールを貼って歩いていました。それ以前はと言うと、このような道具も手に入らず、ゲレンデスキーとブーツをザックで担ぎ、長靴で加越国境の山々を滑っていたことを思い出します。その頃バックカントリーという言葉は無く、春スキーと言って麓のスキー場が閉鎖してからが山スキーシーズンでした。当然1月や2月の厳冬期に取立山に入る登山者さえ居ませんでした。近年では、晴れた日の取立山登山口には平日でも国道まで登山者の車が溢れかえっています。道具が進化しても、ビーコンやココヘリや山アプリがどんなに進化しようと、降雪→雪崩という自然現象が制御された訳ではありません。十分注意して雪山を楽しんで欲しいと思います。


2023の北部白山

2023-01-03 | 日記

2023年に登りたい!西暦と同じ標高の山3選 YAMAYA - ヤマケイオンライン / 山と渓谷社 (yamakei-online.com)

昨年12月に地元及び国立公園管理関係者が集まり、北部白山地域連絡会が行われた。その中で岩間道が長い間通行止めになっているが、せめて小桜分岐から薬師山までの区間を開放すべきであると主張した。理由は薬師山は北部側から山頂部方面の眺め、反対側には笈ヶ岳・大笠山などが間近に望める非常に展望の良い場所であるからだ。その後年末にヤマケイ編集部から「来年も岩間道は通行止めだろうか??」との問合せを受けた。カクカクシカヂカの内容はWEB記事に書かれている通りだ。今年は小桜平を絡めた白山登山をお勧めしたい。

 


槍ヶ岳背後からのご来光撮影

2022-04-06 | 日記

三方岩岳からは過去夏に一回チャレンジしたが、ご来光30秒前に雲が湧き撮影チャンスを逃した。同じ場所からの撮影チャンスは年間2回しか無い。今回は積雪期のチャレンジとなったが、またしても槍ヶ岳背後の雲にご来光を遮られた。白山と北アとその背後が完全にクリアで無いと拝めない。北部白山2箇所で成功したのは奇跡でしか無かった。

詳細は下記へ

三方岩岳-2022-04-06槍ヶ岳からのご来光撮影 / やっさん(泰山)さんの三方岩岳・妙法山の活動データ | YAMAP / ヤマップ


アイスランドにも有った百四丈滝

2021-12-29 | 日記

アイスランドにも百四丈と同じようなメカニズムで形成される氷瀑が有ることがインスタで分かった。(2019/12/31の記事参照)インスタ動画からは百四丈同様に、滝壺に落ちた過冷却水が一瞬で凍り付いているように見える。カナダBC州に有るヘルマッケン滝よりも百四丈に近いと思われる。海外渡航が自由になったらぜひこの2つを観察したいものだ。


ありがちなシーズン始めのトラブル

2021-12-06 | 日記

とうとう12月に入り、山では積雪が増してきた。本格的な雪のシーズンを前に重い冬の装備に体を慣らすため時間の許す限りハイクに出かけた。

昨夜の新雪は予想より多く一歩一歩重いラッセルが続く。所々雪の重みで木が倒れくぐり抜けるので余計体力を使う。

スタートから3時間半でようやく加賀禅定道の天池付近までの眺望の良いブナの森にやってきた。写真を撮るためにしゃがみ込みつま先立ちになった時、スノーシューを装着した両足のつま先側に全体重が掛かった。次の瞬間立ち上がると両足からスノーシューが外れていた。何が起こったか一瞬分からなかったが、左右全部の足の甲部分のベルトが見事に破断していた。

昨日準備段階でチェックした時には異常は確認出来なかったが、やはり重荷を背負って、雪の中で使って見なければ分からない。もしもの時の紐は持って居るので焦る事は無かったが、来週企画していたロング縦走はパーツが手に入らなければ先送りに成るかも知れない。速攻日帰り程度ならスキーという手も有るが25㌔以上もの荷物を背負って、何泊もとなるとしっかりした足元が必要。シーズン始めの体作りと道具のチェックは怠ってはならない。


蜃気楼出現

2021-10-28 | 日記

片野海岸沖に三国の雄島や東尋坊が浮かんで見える蜃気楼が出現した。先週の寒気がもたらした降雪や冷たい雨が九頭竜川に流れ込み、海水温を冷やして三国沖の大気と触れあい、空気の層が分離しているのが原因だろうと思われる。こんな所にも白山の初雪の影響を見ることが出来たのは幸運だった。


ゴマ平避難小屋

2021-08-07 | 日記

ゴマ平避難小屋で迎える朝は通算100回を超えた。日帰りで行き来した事も加えればもう200日以上はこのゴマ平に居たことになる。夏場は下界に下りた時の蒸し暑さで寝苦しく、自宅ではなかなか疲れが取れない。森の中でそよ風に吹かれて、一瞬寝落ちした時のそう快感、疲労回復感はそれに勝る物が無い。

こんなに小さな避難小屋が命を守ってくれる。あれは忘れもしない2008/7/28前日作業中に頭の上で雷鳴が鳴り響き明け方まで激しい雷雨が鳴り響き続けた。28日は外へ出る事も出来ず一日中この避難小屋の中で過ごした。携帯も通じないこの頃、下界の状況はどんなだろうかとアマチュア無線で得た情報が浅野川の氾濫だった。白山国立公園内は避難小屋が充実しているので、これを目当てに縦走計画を組む事が基本となる。特に今年はコロナ禍で北部を歩く人が増えている。北部の原生自然を存分に楽しんで貰えていて、今まで16年整備を続けて来た甲斐が有ったと嬉しく思う。しかし避難小屋には収容人数に限界がある。ネットの情報ではゴマ平避難小屋の収容人数は25人と表記されているものがあるが、実際は12名が限界である。人間だけが折り重なって寝ても25人は無理だ。まして縦走の大きな荷物も有る。かねてから北部に野営場を設けるべしと管理者にも訴えているが実現は遠い。また、避難小屋に到着する時刻が皆さん非常に遅い事に驚かされる。昔から言われているのは「山は午後4時までに行動を終えよ」だ。最近は激しい雷雨も頻発しているので正しい教えだと思う。偶然何もなく日没直前に避難小屋に辿り着けたとしたら、それは偶然の幸運と考えた方が良い。北部を歩く場合は距離が長いのでどんな状況でも先ず自分の命を守れるツェルトなどの装備を携行して貰いたい。市販地図に書かれているコースタイムは、あくまでも参考であり、縦走の重荷や行動時間の長さによる疲労度でタイムは大きく変わる事を理解して山行計画を立てて欲しい。基本は、「山は午後4時までに行動を終えよ」である。

北縦走路、念仏尾根南端から見下ろす白山の最深部。手取川源流シンノ谷

ゴマの頭から剣ヶ峰に向かって延びる中宮道。ゴマから上部は花の楽園、下部は巨木の森。夏にはお花松原や北弥陀ヶ原を目指し、秋には下部の紅葉の森を楽しんで欲しい。