ドキュメンタリー映画「ハマのドン」を観てきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/e7/f1d76e7c48341b404e1f53c4280a8206.jpg)
時の総理大臣だった菅義偉氏の肝入りで、横浜市は
山下ふ頭にIR(カジノを含む総合リゾート)を建設すべく
動いてきた。
それに真っ向から反旗を翻したのが、港湾を仕切ってきた
藤木企業のトップ、藤木幸夫氏だ。
その大きな影響力から、藤木氏は「ハマのドン」と呼ばれている。
菅氏と藤木氏は、自民党党員として、もともと
盟友だったそうだ。
しかし横浜市民の中から、ギャンブル依存症などを
生み出すカジノに反対する声が多く上がった。
藤木氏は、その市民たちと共闘するかたちで、
菅氏や時の横浜市長と対立し、市長選を挟んで
果敢な闘いを展開した。
映画はその過程を追い、藤木幸夫という「人間」と
「生き方」を描き出す。
見終えて思った。
人の人生は、一人にひとつずつ。
一回こっきり。
それをどう使うか。
これまでに得たものをなくさないよう、
摩擦を避け、平穏に生きるか。
わざわざ摩擦を起こしてでも、信念を貫き通すか。
人は生まれた環境で、人生の大半を決定づけられる。
自分で選ぶことのできない状況でスタートする。
まさしく不条理であり不公平だ。
だけど、たとえほんの少しでも選べるとすれば、
どっちを取るか。
カジノという巨大な利権、それを横浜に
持ってこようとする人々を相手に、一世一代の
賭けに出た藤木さんの脳裏を駆け巡ったものは、
いったいなんだったのか。
規模は比べ物にならないほど小さいが、私だって
残り人生がまだ少しあるとすれば、何に賭けるか、
どう生きるか。
それを考えずにはいられない映画だった。