冬桃ブログ

バンクーバーへの旅 ミノリーパーク

 3月の末にバンクーバーへ5泊7日の旅をした。
 ホテルは5泊とも、リッチモンドにあるクォリティーホテル。
 滞在中、これが初対面の在住日本人Kさんが、ずっと
面倒をみてくださったが、このホテルも彼女が推薦してくれた。
 近くにはマリオットとかシェラトンなどの大きなホテルも
あったが、ここは外観も目立たなくて、こぢんまりしている。
 華やかさはないが、部屋も広くて、必要なものはすべて
揃っていた。スタッフも親切だった。

 ただし、窓からの景色は良くない。
 外は車の行き交う大通り。窓のカーテンを開けると
向かいのビルから丸見え。難点はそれだけ。
 お手頃価格だったから、そこまで望むのは我が儘だろう。

 ホテルの前。


 だけど嬉しかったのは、ホテルの裏に
ミノリーパークという大きな公園があったこと。
 豊かな木々や花、池、川、起伏に富んだ遊歩道……。
 バンクーバーの公園はどこも大きいから、
ここもごく普通なのかも知れないが、つい、横浜の
我が住まいの裏にある、ささやか過ぎる公園と較べてしまう。


 つがいの雁


 きれいな色の真鴨。


 木から下りてきて池の水を飲むリス。


 公園内を悠然と歩く雁。



 毎朝、起きるとまずホテルの小さな食堂へ行く。
 ビュッフェ形式なのだが、あるのは食パン、茹で卵、
カットフルーツ、バナナ、シリアル、コーヒー、紅茶くらい。
 でもこの食パンをトーストして、メープルシロップと
バターをつけて食べると、おいしいのなんのって!
 私はお米が大好きで、普段は朝から御飯だ。
 パンは食べない。
 でも、バンクーバーのパンは、なんてことのない
喫茶店で食べるサンドイッチにいたるまで、ほんとにおいしかった。
 そういえば、イタリアでもフランスでも、パンがおいしい。
 中国へ行くと、花巻(具の入ってない饅頭)が
なんにもおかずがいらないほどおいしい。
 日本のお米がおいしいのと同じで、それぞれ
餅は餅屋なのだろう。

 朝食を済ませてから、ゆっくり、裏の公園を散歩。
 至福の時間。
 散歩の人、太極拳をする人など、みな、見知らぬ私にも、
にっこりと朝の挨拶をしてくれる。
 これはバンクーバーの他の場所でも同じ。
 人がみな、フレンドリーなのだ。
 そりゃ、カナダにだって犯罪は多いが(滞在中、
新聞で連続殺人の記事を見た)、防犯カメラだらけに
するより、この挨拶こそ犯罪防止に役立つのでは、
と思わずにはいられなかった。

 こまつぐみ


 鷲。
(そういえば数年前、初めてバンクーバーに来た時、
白頭鷲を見て感激した)


 野生の黒兎にも毎朝、会った。


 近くに寄っても、悠然と草を食んでいる。
 じつは増えすぎて困っているそうだ。


 バンクーバーはこれで三度目だが、
来るたびに羨ましく思うのが、このベンチ。(左はゴミ箱)


 公園だけではなく、いたるところに
こういうベンチがある。


 ベンチにはプレートがついている。
 「○○は何年から何年までこの街に生き、とてもここを愛し
また、友人や家族に愛された」
 というようなことが記されている。
 誰かが亡くなると、その人がこの街で生きて、愛し愛された
証として、遺族がこうしたベンチを寄贈するのだ。

 これは幼くして亡くなったお子さんらしい。


 写真入りのものもある。


 2005年、初めてバンクーバーに来て、このベンチを見た時、
横浜にもこういうのがあればいいのにと思った。
 自分が暮らした街に、ささやかながら役にたつものを
残すことができる。
 この街で生きたいろんな人の人生に思いを馳せることもできる。

 2009年にY150というイベントが開催された時、
私は市民イベントのひとつとして、このベンチを提案した。
 山梨県道志村は横浜の水源林。良質な森を保つために
たくさんの間伐材が出る。
 その間伐材を使って、市民の手でこのベンチ造りをやれないか。
 そのベンチを、街のいろんな場所に置き、人々の
憩いを作り出すことが出来たら素敵ではないか。

 嬉しいことに企画は採用された。
 横浜家具を継承する元町蓮華草という工房の協力を得て
市民参加で、波のうねりを思わせる素敵なベンチ造りが
行われた。
 が、そのベンチが街の公共物になることはなかった。
 万が一、ベンチが壊れ、怪我人でも出たら、誰が
責任をとるんだ、という行政の懸念で、ベンチは
造った人が持ち帰るということになった。

 非常に残念だった。
 昨今、喫茶店も減っているし、巨大観光地のわりに
横浜は、ちょっと足腰を休める場所が少ない。
 弱者の一人である私は、切実にベンチを欲している。

 市民の手造りでなくてもいい。
 バンクーバーにあるようなこういう制度を、横浜市も
やってくれないだろうか。
 私はまったくお金持ちではないが、もし横浜で生を終え、
少しくらいはお金が残っていたら、それでベンチをひとつ
寄贈したい。
 墓碑銘はどんなふうにしようか。
 「子供の頃から横浜に憧れ、長じて横浜に住み、
横浜を楽しんだ人」
 でもいいかな。
 
 歴史に名前を残す人なんて、ほんの一握りだ。
 でも、「街のやすらぎに貢献した人」の一人に
なれるのなら、それはそれで幸せなことではないだろうか

 

コメント一覧

冬桃
そうなんです!
http://members2.jcom.home.ne.jp/noa411/
酔華さん

 もう、行くたびに移住したくなります。
 だけどそう思うシニアが多くなりすぎて、
いまはカナダが制限しているらしく
移住権をとるのはなかなか難しいようです。
 だけど横浜も、ベンチくらい市民協力でなんとか
したいですね。
 街中、公園、バス停……私には、どこも
足りないように思えてなりません。
酔華
ベンチ
ホテル前の舗道に置かれたベンチがいい感じだなぁと思って読み進むと、
後半にもっと素敵なベンチが登場!
横浜でもやってほしかったですね。

公園も素晴らしい!
まるで公園の中に町があるみたいじゃないですか。
いつか行ってみたいです。
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