山椒の木で、二頭の青虫を見つけた。
まだ終齢になって間もない大きさ。
とくに一頭のほうは、おそらく黒白の殻を
脱ぎ捨てたばかり。青虫として育つのはこれからだ。
しかし我が家にはもう山椒の青い葉がほとんどない。
変色しかかった葉をなんとか集め、瓶にさして
そこへ二頭を移した。
二日後に一頭が瓶を離れ、昆虫ケースの中で
蛹になるための旅を始めた。
しかし、問題がある。
旅を始める時、青虫は必ず黒っぽい体液を出す。
殻の中で蝶へと大変身を遂げるため、余分なものを
体から排出しておくのだ。
なのに、それがない。
一応、蛹にはなったが、ちゃんと蝶になれるのか、
かなり心配ではある。
より小さいもう一頭に関しては、ほんとに餌が尽きた。
なけなしの葉を周囲に置いたまま、私は三泊四日の狛犬ツアーに。
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帰宅した時はベランダを覗くのが怖かったのだが、
奇跡のように蛹になっていた。瓶に刺した山椒は
葉のかけらも残らず、枝まで齧った痕跡があった。
秋の蛹は概して小さいものだが、この子たちは
これまで見た中でとりわけ小さい。
長さは二センチに満たず、もっとも太い胴回りもは5ミリもない。
この中で、蝶としての翅や胴、足、触覚などが形成可能なのだろうか。
このまま冬を越すのかもしれないが、今日など日差しが
異常なほど強い。
けどどちらかがうっかり羽化しても、他のアゲハ蝶に巡り合い、
子孫を残すことなど奇跡に近いだろう。
飛べるかどうかもわからないが、飛べたとしても
急激に冷えたりする中、寒さと孤独に震えながら
どれだけ命が持つのか。
心配してもしょうがないのに、心配性の私は
日に何度も、ぴくりとも動かない蛹を眺めずにはいられない。
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