陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

二次創作者、ボツにした分だけ上手くなれるわけではない

2021-04-14 | 二次創作論・オタクの位相

何度もなんどもPCを乗り換えながら、二次創作を続けて、もう十数年になります。
いや、それは拙ブログで発表の経歴なので、子供のころのお絵かきなんかをいれますと、とっくに四半世紀を超えてしまいます。

まれにSNSなどで絵師さんが、ご自身の絵の履歴をお披露目してくれることがあります。
商業作家さんならば刊行作品が残っているので、どれくらい絵が進化したかまるわかりですが。素人には素人しかわからない歴史しかありません。

絵は描くほどに、練習を重ねるほどにうまくなるといいます。
これはほんとうでしょう。高校時代、美術部には東京芸大や多摩美大を受験した先輩のデッサンが残されていました。50枚ぐらいも描けば、さすがに見れるようになります。私は純粋な美大受験者ではなかったので、一向に上達しませんでしたが。

ところで、修練を重ねたらうまくなるのは字書きでも同じなのでしょうか。
拙ブログの過去作を読んでみたりすると、昔のほうが楽しく書いていたし、面白かったのではないかと思うことがしばしばあります。

私はブログで発表したのは、下書きした作品のほぼ半分ぐらいです。
レビュー記事もそうですが、企画したけれどやり投げでボツにしたのも、かなりの数にのぼります。ときおり暇を見て書き足しては独り楽しんでいますが、出すのが怖いなと思うものもあるんですね。照れくさかったりして。

いまの更新分のほうが、よく見られたいという気負いがないせいか、手早くさっさと書き上げてしまいますし、推敲もいい加減なので誤字脱字も多いです。完成度からしたら、昔に及ばないのです。昔の方が上手いかといえばそうでもないのですが、情熱が違う。

以前は特定作品のことばかり日がな一日妄想して楽しめましたが。
いまは、ほんとうにあちこちのニュースサイトをみて考えすぎたり、世事いろんなことにとらわれてしまって、うまく書き進められないことも多いです。

また過去になんどもPCトラブルに見舞われたり、自分の不注意でデータ紛失したり。書きかけても放置して探せなくなったりもして、下手すると10年以上、続きを書いていないのもあったりしました。

さすがにそろそろいい年ですし、いつまで二次創作できる余裕があるかもわからないので。
ぼちぼち加筆修正して出来上がった分だけは発表できたらいいなと考えています。たぶん、多くの年季の入った二次創作者の皆さんはそうではないでしょうか。

ところで、タイトルと矛盾するようなのですが。
そもそも創作の技術を磨くのならば、二次創作をやらないほうがいいというのが私の持論です。二次創作に慣れると、物語のキャラクターをいつも恋愛脳でカップル化させてしまいますし、若くて可愛くてカッコいいルッキズム重視の造形ばかり描きやすくなるので、類型化しやすいからです。大衆ウケはいいけれど個性がない作品って飽きやすいですからね。醜いものにこそ魅惑があるという美学を追求した作品こそが誰も寄せ付けない価値をもつことだってあります。


【二次創作者、この厄介なディレッタント(まとめ)】
趣味で二次創作をしている人間が書いた、よしなしごとの目次頁です。
二次創作には旨みもあれば、毒もあるのですね…。








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