拙ブログの仕事カテゴリーは、一般的な労働に関するニュースもあれば、管理人のしがない転職エピソードを扱っていたりもします。
お仕事でお疲れのかたがお読みになると、不愉快になるお話もあろうかと思います。くれぐれもご承知おきください。
さて、今回の記事も自分の愚痴になっています。
とある一社で体験した、私の転職失敗談です。
一般に事務職は求人倍率が高く、女性が憧れる仕事とされています。しかし、ほんとうにそうでしょうか。
とくに田舎の中小企業での事務職は、とかく何でも屋にされがちです。
鉛筆一本足りないぐらいで、休憩時間に買ってこいと言われたり。銀行で両替の手数料がかかるのいやさに、小銭を用意してこいと言われ、毎日お札を崩すために自腹で不要なものを買わざるを得なかったり。男性社員ならばしなくていい雑用、荷物の受けとりや電話番、お茶くみ、コピー取りなどをさせられたりする。経理事務や法務事務の専門事務職でも、企業規模によっては下働き的な雑用をおしつけられます。徒弟制度みたいな業界もありますからね。
しかも、会社の売上に貢献していない職種として扱われるので、給料は低く、昇給は見込めない。中途採用でPCスキルが上で資格ホルダーであるのに、新卒男性社員のほうが給与が上なんてこともあります。就職氷河期にはよくある哀しさです。
私が事務職としてとある企業に入社したときに、いちばんに感じた不満は。
複数階の男女のトイレ掃除、灰皿掃除を朝にさせられたことでした。先輩女性社員は定時より遅くにくるので、やってくれません。古株女性社員がそれまでやっていたので、中途入社の新人がやって当たり前。早出した私ひとりだけがやります。そう、始業前にやらされるんです。昔ののんびり手書きで帳簿つけとは違って、現在は定型業務はもちろん山のようにある。だから、就業時間外にやらざるをえない。
過去の勤め先では、管理職含む男性ベテラン社員もふくめての当番制だったので、びっくりしました。大手企業ならば清掃業者が入るのでノータッチなのですが。
私は掃除自体はきらいではありません。
家で散らかす癖があるので、勤め先ではなるべく整理整頓しようと心がけていますし。使ったあとの水回りはきれいに拭いておく、それがエチケットだと躾けられたから。しかし、手袋もできないまま、不衛生なものを扱うことには恐怖が募ります。煙草は自分が吸わないので見るだけでも吐き気がします。このコロナ禍ならば特に怖いですよね。
その企業で理不尽だったのは、ほかにも給湯室に飲み干した瓶や洗わないままの湯飲みをわざと置いてくる、下手するとこちらの机近くに。開封後の包装紙までも、そのまま放置されたことでした。いかにも片付けろといわんばかりにです。ご年輩の男性社員さんがよくやります。お給料を出す社長さんや、業務上のサポートをしてくれる直属の上司ならまだわかるけど、油を売りに来た別部署で別階の無関係なひとです。明らかに私物の購入なのに、会社の経費で落とせとゴリ押ししてくるような。
これを嫌がらせとみるか、裏方作業の事務職の役目ととるかは、人それぞれでしょう。
しかし、この企業は管理職が50代以上、社員がかなり高齢化している古い体質の会社で、「女子がする仕事」はこうだと決めつけているふしがありました。営業の男性社員は外に出る機会も多いイコール偉い人、タバコ休憩を何度もしたり、サボって雑談しても何も言われない。パワハラのような若手いじめがある。そういう現場を目にして、その社員たちの残したものを気持ちよく片付けることできますか? 私にはできなかったのです。俺たちが稼いできてやってるんだぞ、お前らはつまらない仕事だけしてるんだから、後始末しやがれ──というひとの片づけをさせられる気持ちを、当時の私はうまく処理していくことができませんでした。ほんとうは可愛らしく笑ってやり過ごせばよかったのですが。
セクハラ発言をしたりはしなかったですが、ジェンダーバリティーとしてどうなの? と疑問に思います。思っただけで、口にしてはいませんけども。
家でも奥さんが自分が脱いだものを何でも片付けてくれるから、会社の女性事務員もそうしてくれると思っているのでしょうか。息子さんに家事の仕方を教えなかった主婦の母親がいたのでしょうか。優しい言葉をかけて癒してくれるはずだと? 私の両親はどちらも共働きで、父も下宿で一人暮らし経験があり、家事を母だけに押し付けるタイプではなかったので、当時こういう男性がいるということがカルチャーショックでした。大学の教授でも、女学生にお茶入れろなんて言わなかったし。私は贅沢に育てられすぎたのでしょうか。
正直、こんな会社があったら、若い女性は絶対に敬遠します。しかも不当な残業が多くて、給与が低い会社でならばなおさら。
いまの大卒の女の子たち、ジェンダーとかフェミニズムとかを教養として身に着けてしまっているから。そういう大卒女性を望んだのは、国であるし、企業でもありますよね。女性を活躍させようといいながら、相対的に仕事量が増えているだけ。
暴論なのですが、私はこう言いたい。
社内のごみ箱や灰皿をなくすことです。会社の書類はともかく、飲み食いしたものは自分が自宅へ持ち帰る、携帯灰皿を持ち歩く。そうすれば、掃除する手間も省けますし、汚さないように気を遣ってくれるでしょう。そもそも不衛生な会社ほど、ゴミ袋や掃除用品をコストカットしてるので、経営状態に問題があるとも言えますし。
その会社は取引先の大企業に媚びを売って、清涼飲料水を大量買いして、社員が飲めるように冷蔵庫に入れておくのですが、これも正直かなり無駄でした。その保管スペースが無駄だし、どうせ自分が飲みたいものは各自がもってくるし、飲んだ後の瓶や缶の始末が面倒です。そんなものを福利厚生として与えるよりも、休憩時間を増やし給料をあげろ、と申し上げたい。
この会社、雇用条件通知書に書かれた休憩時間がまったくとらせてもらえず、上長や人事部に訴えても埒があかず、けっきょく、数箇月で退社した会社です。
わりと地元では知られた老舗企業でしたが、職種の将来性と賞与・昇給の見込みがないまま残業だけが増えるので、ストレスで体調を崩しました。ちなみに、男性どころか女性の産休・育休もなく、介護休暇もない会社で、定番のハローワーク案件ですね。
入社前はほとんど残業無し、定時で帰れば7時間労働との触れ込みでしたが。
実際は昼も5分で食べて、朝8時前から夜20時以降も残らねばならないこともあり、それで時間給にすると最低賃金以下になるという。土日祝休みなのに、入社後に出勤してもらうと後出しじゃんけんで言われたり、ほんとうにさんざんな会社でした。
就職氷河期は、こういうブラック企業に安く買いたたかれことが多いです。
安定の事務職を狙って再就職したさに、自分をなんでもやりますと売り込んでしまった私にも非がありました。
私は家族を過労死で失っていますので、会社に定年まで人生を捧げようとかまったく思っていません。この仕事では殺される、許せない、ふざけるな、と思った時点で逃げます。しかし、次の職場でも困らないようにスキルアップは怠りませんが…年齢も高くなると選択肢は少なくなりますよね。業務能力に伸びしろがないことを自覚しはじめてしまいますから。
私の場合、まだ本業があるうえ、つまらないプライドと虚弱体質が邪魔をしてしまい、その会社を辞してしまったのですけど。
上記の古い体質の企業でもしっかり働かれて、会社を支えている方は多い。そこは素直に尊敬します。単に私が事務職のなんたるかを理解できていないだけの話でもあり、会社や業界が変われば体質も違うということを踏まえていなかったのです。企業がわにしても人材のミスマッチ。いまも思い出すに苦々しい失敗談のひとつです。
(2020/10/05)