声優・篠原恵美さん、逝く

今年に入ってアニメ業界関連者の訃報が相次いでいます。
8月20日には声優の田中敦子さん（神無月の巫女のアメノムラクモ役など）が鬼籍に入られたと報じられたばかり。余りのことにショックで追悼記事も出せないままでしたが…。

その田中敦子さんとほぼ同年代の声優・篠原恵美さんもこの9月8日、病気療養中のすえ永眠されたとのこと。敦子さん訃報時にはXにてコメントを出されたばかりでした。享年61歳、あまりに若すぎます。

篠原さんといえば、私のファーストコンタクトは、「美少女戦士セーラームーン」のジュピターこと木野まこと。すでに30周年を迎えた世界的人気アニメの主演クラス。
怪力少女の転校生で不良っぽい、だけど家事は何でもござれの内面誰よりも乙女らしい。天涯孤独なのでしっかり者、だけども少々惚れっぽい。アニメでは他のキャラほどコミカルにされなかったせいか、五人の中では地味め。けれども原作との乖離が少ない稀少キャラで、私は大好きでした。うさぎと同じ学校なのに、ひとりだけ違う制服（ひらひらしたリボンがない）で通してたところも。「マリア様がみてる」の支倉令や「神無月の巫女」の早乙女真琴のキャラクター性の一部は、木野まことからきているのではないかと思ったりもします。

今年、リメイクが発表されたCLAMP原作の伝説的な美少女異世界ロボットアニメ「魔法騎士レイアース」のプレセアさんも、作中ではイチ推しキャラ。亡くなってしまった時は悲しくて。

セラムンで共演の深見梨加さんと生年月日が同じことも、ウィキ経由で初めて知りました。1990年代、あの当時のセラムン人気は今に尾を引くぐらいものすごくて、三石琴乃さんを筆頭に五人組でアイドルユニットを組んでいた覚えがあります。「プロジェクトA子」とかでもキャラソンを出していらしたんですね。

篠原さんはボーイッシュな木野まこととは逆に、声に気品があって落ち着いた印象。国立音大出身で歌もピアノもミュージカルもと才能豊か。セラムンのそんなキャラソンでも、火野レイ役の富沢美知恵さんともどもすばらしい歌唱力。本人らしさが活かされた適役はなんといいましても、「マリみて」の先代紅薔薇さまこと水野容子さまでしょう！　プレイボーイ（？）な佐藤聖との掛け合いや、わがままお嬢さまの祥子をたしなめる姉、そして祐巳たちにとっては頼れる大先輩、まさに貫禄十分のキャラでした。

三石さんや久川綾さんはその後、私の知るアニメでお見掛けしたことはありましたが。アニメではあまり主演級の役を担当されてはいなかったものの、深見さんともども洋画の吹き替えが多かったとのこと。
意外にも特撮での声あてもあって、しかも、配偶者がなんと「宇宙刑事シャリバン」の主演をつとめた渡洋史さんだったことに驚き。

訃報が伝えられてのち、セーラームーン公式サイトには原作者の武内直子先生の追悼イラストが飾られ、さらには夫の富樫義博先生からもマコちゃんの描きおろしイラストが。ファンには嬉しいサプライズでありました。

この年代の方は現在の様に声優がアイドル人気を誇らず、アニメへの理解も少なかっただけにまさに黎明期の女性声優で、道を切り開かれた方が多い。四半世紀以上もその名が残る名キャラを演じられたことで私たちの胸に生涯刻まれる演者となられたのですね。

最近はテレビで声優さんの特集番組や顔出しトークなども多かったので、今後ともお元気なセラムン声優として五人そろったお姿を拝見してみたかったと思うと残念無念でなりません。

ご冥福をお祈りいたします。


（2024.09.14）