陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

資格取得やスキルアップ「だけ」では、会社で仕事ができる人になれない

2024-10-25 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

拙ブログのカテゴリー欄は「仕事・雇用・会社・労働衛生」をトップに置いています。
私、ちゃんと働いていますのよ、というアピールではありません。自分が仕事を通じての失敗をふりかえり、次に活かすための素材にするための、想念の置き場所にしたいからです。

世の中には働かなくとも生きていける方もいるでしょうし。
そもそも、日々更新されるブロガーさんのほとんどは、年金生活者はじめお時間に余裕のある方が多いです。でも、自分はまだまだ現役世代。しかも、学生時代が長かったせいで、キャリア形成が遅れている身の上。定年退職のない個人事業はともかく、兼業会社員として稼げる期間は限られています。

コロナ禍中のある時期、私はせっかくいただいた好条件の兼業会社員の職を失うことになりました。仔細は語れませんが、同僚に根回しされて、不当に評価を落とされ、私だけが雇い止めに遭ったのです。ただし、企業の法務部からは私の異議申し立てが認められて、休業補償を戴くことができましたが。それでも、フルタイムで稼げる月給からは大幅なダウン。

私がショックだったのは、その同僚をその仕事に誘ったのは自分だったこと。
でも、紹介しても感謝の言葉もなく。働きだしてからも、不愉快なことばかりが続きました。気がつけば、私はその職場内で浮いていました。真面目にコツコツ働いて、雑談もせず、勤務成績も良好。無断欠勤をしたこともなく、むしろ、当日欠勤になった同僚のそれを防ぐために連絡してあげたぐらいでした。私だけが貶められた、利用された。絶対に私の方がスキルも資格も上なのに。憤慨はひとしおで、一箇月ぐらいは荒れていました。

そんなとき、以前お世話になったキャリアコンサルタント氏に相談をしました。
人材紹介サービスの営業マンで、正社員求人の転職エージェントもしています。就業先から能力不足を理由に休職状態に陥った。御社でのスキルチェックを受けたうえで、私に合う仕事を紹介していただけないか、と。

しかし、彼から返ってきたのは思いがけない言葉でした。
「万葉さんは、すでにある程度のスキルはある。だから、それ以上資格やらスキルアップやらを求めるだけでは仕事は見つからないよ」「なぜ、いまの職場で失敗したのか。反省しないと、また同じことを繰り返すだろうね」というのです。

たしかに、私は仕事が決まる、もしくはその前に、志望先企業、職種に応じた資格を取ろうとしたり、その業界関連の本を読んだりする癖があります。
入社してからも、パソコンスキルのブラッシュアップは欠かさず、その日に教わったことはノートにまとめて読み直すようにしていました。その職場では、同僚たちにもわかりやすいように、共有フォルダに業務上のノウハウをまとめた作業工程ファイルも作成していました。そうした会社への貢献度は、まったく顧みられませんでした。小さなミスばかり責められて、ストレスが溜まっていくばかりでした。

キャリアコンサルタント氏いわく、「そういう意識高い態度は職場によっては暑苦しい」。
のんびり気楽に働きたい人間にとって、私のような効率化を考えた働き方は脅威でしかない。だから、追い出されたのだろうと。会社で働きたいのならば、その組織になじむ努力をしないといけない。

これは目から鱗が落ちた瞬間でした。
私は個人事業主としての経歴があるあまり、仕事をなんでもかんでも一人で完結させてしまうのです。作業に対し見積もった時間を超えるとイライラしますし、余計な仕事を割り込まされたり、雑談を振られて妨害されるのも嫌いです。私自身、ITリテラシーのレベルは知っていますので、スキルが高いとは毛頭思っていませんが、「この組織で働いて市場価値を高めよう」という上昇志向が強すぎたのでしょう。それは、長年のんびりその組織で働いてきた社員や、昭和ふうの宴会や雑談のコミュニケーションで仕事をすすめてきたミドル層の女性には通じなかったわけです。

そして、キャリアコンサルタント氏はこう言い放ちます。
「そもそも、なんでそんな職場に応募したの? その仕事、たいして好きじゃないでしょ? だから、職場の人とも仲良くしたくないんだよね? 自分の為だけに仕事をしているから、そうなっちゃうんだよ」

まさにそのとおり。この仕事は一般事務。期間限定の好待遇だから選んだだけで、その仕事をしながら、個人事業と両立できる次の転職先を探すまでの足かけだと思っていました。
けれども、よくよく考えたら、そんな簡単な事務だとキャリアダウンになります。そして、私の資格や前職が活かせるほどでもない。ほんとうは、あの業界やあの専門職種がよかったのに。ただ、その場しのぎのお金が楽に入るだけの仕事。もし、その仕事が履歴書に書いても実績になるようなキャリアになるのならば、短期間で辞めとしても身についたものはあるので、後悔しなかったのでしょう。

キャリアコンサルタント氏からのありがたい教示を受け、私はすぐ求職するのをやめました。
なまじ士業資格があるだけに、見栄えのいい過去の職歴もあるだけに、再就職活動にあまり苦労しなかったことが今になって祟ってきたのでしょう。

就職氷河期世代は、ブラック職場にあたるので、転職歴が多くキャリア形成できていない。
私自身もそう考えますし、そう嘆いている方も多いでしょう。しかし、労働環境の悪化は特定の世代だけの問題ではないですし。今後は高齢者の再雇用者も増えますから、不本意な職場へ就業せざるを得ないケースもあります。いつまで、私は資格や学歴にふさわしいホワイトカラーの仕事がいいなどと甘く望み続けられるでしょうか。

実は、私はこれまでの人生で大きな失敗をしたことがありませんでした。
高校時代に不登校を経験したものの、復学できましたし。大学・大学院受験も資格試験もすんなり合格できました。だから、自分でコントロールできない組織の仕事で、自分が何もできなくなることを想像できていなかったのです。

たとえば、ITリテラシーの習得度が甘いのもその一つ。
会社員就業しないと、企業がどんな業務フローを構築しているか、導入したツールは、どんな部署にどんな人材配置でどんな作業が発生しているか、そのコストは、などなど事業運営に大切なことをわかりっこないのです。それは学校ではなく、教科書ではなく、自分の眼で、足で学ぶものだから。いつも同じ人とばかり対応していると時代に取り残されてしまう。そして、会社からも締め出されてしまうでしょう。

それ以来、私はまず、自分は本当は何がしたいのか、自分の本音の棚卸しをすることにしました。
焦ってまた同じ過ちを犯したくはない。失敗するにしても、もう年齢が高すぎているのではないか。そういう危機感を持たなくてはいけないのです。

(2022/03/07)



★就職氷河期世代が自分の職業適性を考えてみた(まとめ)★
短期間で離職転職をくりかえし、会社員就業に絶望した私が自己分析をして、自分の職業適性を把握できたというお話でした。





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