金曜日の夜11時半に横浜港大桟橋から東海汽船の「かめりあ丸」に乗って、伊豆大島へダイビングに来た。天気予報では土曜日の朝から風が強まり、昼前には4m~5mの高波と報じていたが、朝6時に大島岡田港に到着する頃にはすでに2~3mの波と強い風が吹き始めていた。
今回のダイビングでは、新しいドライスーツを持ってきた。とは言っても、ネットオークションで入手した中古品。しかし、見た目もきれいで各シールやファスナーの傷みも無く、約7年前に新品を購入したと思われる前オーナーは、おそらく10本以下しか潜っていなかったのではないかと感じる。事前に自宅でエアーを入れて、水没につながるような破れや裂け目がないことは確かめてきたので、あとは実際に海中で使ってみて、フィット感やバルブの状態を確認するだけ。これまでもドライスーツは使っていたが、それも以前にネットオークションで入手したもの。蛍光グリーンが多く使われて水中でも一目で「私」と判って貰える配色で気に入っていたのだが、肩周りが少々窮屈で、背中の防水ファスナーを閉めてタンクとBCを背負った状態だと、右手で左肩の排気バルブを操作するのがやっとというサイズの課題があった。今回たまたまネットオークションで再び良さそうな出品を見つけたので、値段も手ごろな範囲で落札できたので、交換することになった。今度の色は、黒地に脇に白いアクセントが入っている、いわゆるシャチ模様。BCを付けてしまうと水中ではほとんど真っ黒になって、少々物足りないものの、今度のサイズはピッタリ。また、今度の排気バルブは、SCITECH製には及ばないものの、AUTOに任せきりでもかなりすばやく余分なエアが抜けてくれ、「ブ~」というおナラのような音が水中でも良く聞こえる。これまでのスーツの排気バルブでは「ポコポコ~」という程度だったのと比べると、ずいぶん使いやすい。そして当然だけれども大切なことは、この日2本潜って、一滴の浸水も無くインナーウェアは完全にドライのままだった。格安で入手できたことも手伝って、総じて大満足のドライスーツだ。
さて、前口上が長くなってしまったが、肝心の海は大荒れ。しかし北西からの強風のため、秋の浜は若干島陰に入り、十分安全に潜れる状況だった。2日前にスタッフの石田さんが正面際で一匹のハナダイを撮影し、それがカシワハナダイかアカオビハナダイかで、少々話題になっている。それをこの目で確かめるため、有馬さんのガイドで正面際へ向かった。ところがこの日の秋の浜は流れが強く、目的の正面際の岩壁では掴まっていないと深場へ引き込まれてしまいそう。しかも目当てのアカオビらしきハナダイ君は結構シャイで、前でカメラを構えているとなかなか岩の亀裂の奥から出てきてくれない。近くではナガハナダイ、キツネダイ、コガネスズメダイを見て、流れの中で深場の長居は危険なので、所々岩に掴まりながら岩礁地帯を段落ちまで戻ってきた。途中、ニセボロは目に入ってこなかったものの、有馬さんが掴まってひっくり返した岩の陰からベニカエルアンコウが飛び出してきたり。段落ちの上では、ヒメギンポの♂♀が産卵していた。
2本目も同じアカオビらしきハナダイを見に行った。お昼過ぎになると干潮で海面はすっかり静かになっており、海中も流れは止まって穏やかな秋の浜になっていた。今度は岩の亀裂の奥に引っ込まれないよう、砂地側の遠くから眺めていると、岩穴の入り口にチョロチョロと出てきてくれた。私のカメラの3倍程度のズームレンズでは手に負えそうも無いので撮影は諦めて、有馬さんがコンデジで慎重に近寄って撮影していた。その後は左の砂地に繰り出して、メイタガレイ、イボイソバナガニ、後で調べてメキシクロミス・マリーイと判った白い小さなウミウシ、スジベラなどを見ながら戻ってきた。段落ちの壁では、しばらく前から赤白の美しいハナタツが居るらしいので、事前にリクエストしておいたところ、一本目の時も今回も有馬さんが随分粘って探してくれたものの、残念ながら行方不明だった。
この日の夜は、久しぶりに元町の民宿菊一さんに宿泊した。ここはいつも、地元産の季節の食材にこだわった夕食をいただけるのが嬉しい。この日はツバキの花、フキノトウ、アザミ、アシタバ、ヨモギの天ぷらが特に嬉しかった。