一日目は晴れて、穏やかな早春の週末となりましたが、海の中はまだ冬。しかも秋の浜には北東の風で時折1mを超える波が打ち寄せてきます。お正月に新調したばかりのドライスーツを着て気分はウキウキなのですが、排気バルブの排気スピードが今まで使っていた古いドライスーツよりも遅く、しかもカメラの浮力が増した分ウェイトが1kg不足で、飛び込んでから潜降するまでに少々もたついてしまいました。それでも落ち着いてしっかり排気して潜降してしまえば、あとは暖かくて快適です。
右のゴロタ斜面を下りて行って、水深18m付近の岩の間の砂地に全長50cmくらいのヤッコエイが横たわっていました。今回は24-75mm相当の標準ズームレンズを付けているので、ちょうど良いサイズの被写体です。でも、目元に大きな寄生虫が喰らい付いていて、ちょっとグロテスク。その先の砂地にはカンナツノザヤウミウシ、通称”ピカチュウ”。これもちょっと小さめですが、後でトリミングを前提に何とか標準レンズで狙えるサイズです。スタッフのみゆきさんがウミトサカを掻き分けていると、その根元にオキゴンベが隠れていました。シャイで真正面を向いてしまい、なかなか横姿を撮らせてはくれません。一方おとなしくしていてくれるのは、ハダカハオコゼです。段落ちに戻ってくると、大きな岩の上に15cmくらいの大きなニシキウミウシが座っているのですが、周りのダイバーが撮っているのはそこに付いている1cmほどのウミウシカクレエビです。(各写真をクリックすると、拡大写真が開きます)
お昼を食べた後、2本目は同じ秋の浜で正面際へ潜りました。砂地に転がっていたのはオキナワヒオドシウミウシ、かつて”インターネットウミウシ”と呼ばれていた種類です。漁礁へちょっと寄り道してみると、シマウミスズメがいました。壁沿いにイソバナが美しく開いているので、ワイド写真も撮ってみました。このほかクダゴンベ、マツカサウオ、イトヒキコハクハナダイ、スミレナガハナダイ、フタイロハナゴイ、アマミスズメダイなどを観察できました。
中層には丸々と太ったイサキがたくさん群れています。
段落ちまで戻ってきたところでは、
二日目は早朝から雨、しかも気温7℃で北風も強くとても寒いです。それでも秋の浜は昨日1本目と同じ程度の波だったので、正面際へ潜ってきました。水深30mほどの岩の隙間には30cmくらいありそうなソウシカエルアンコウがいました。
そして昨日観察した個体も含めて、いま秋の浜にはイロカエルアンコウ、クマドリカエルアンコウ、ベニカエルアンコウがあちこちに見られました。どれも1cmから3cmほどで、じっと動かないので写真は撮りやすいのですが、段落ちではうねりで体が揺られるので大変です。
午後には一段と北風が強まってきたので、最後は王の浜に潜りました。水温が16℃あるので、海に入ってしまうととても暖かく感じます。しかも透明度も20mくらい見えているので、日差しが無くて暗いのですが、それでもとても穏やかな水中の景色が広がっています。大きな岩の割れ目には、10cmくらいのハタンポの群れが詰まっていますが、他所と違って体側に白線が入っているのが特徴の”ミエハタンポ”だそうです。大島周辺ではここ王の浜でのみ見られるという、不思議な種類です。
根の陰では、2匹のカメがお昼寝中のところを邪魔してしまったようです。