その中で「演出とは、ゲームのルールを決めること」というのが一番、自分で考えたと思っていたけど「あ、この人から聞いたんだな」って気づいた点です。ルールがかくれんぼから麻雀にまで最終的には複雑なものになる、という話を鈴木さんもされていました。
僕の考えでは、かくれんぼに高鬼と色鬼を混ぜたぐらいのルールの提示を、前回の公演ではした感覚です。このシーンでは隠れる場所を「高いところにします」(絵画A)から「さらに赤色に触ってください」(絵画B)に移るという指示で、その間の俳優の自由創作を僕自身は観たいと思っています。赤くて高いところって確かに限定されますけど、消防車、ポスト、りんごの木、赤い屋根の家など多分100個ぐらいは思いつけます。
ただ、俳優に次のように言われてしまいました.
「隠れる場所を指定されたかくれんぼは、創造性に欠けます。この場所は見つかりにくいかと考え、まさかこの場所だとは思わないだろうとたくらむ。そして鬼をビックリさせた時の快感。そんな過程と結果が、ワクワク感を高めるのだと思います。」
多分上記はルールが厳しいものになり過ぎて俳優としては隠れ場所がほとんど見つからないという状況です。私にとっては全く「ここに隠れて」と言ったのではなくて「高いところをセーフゾーンにしまーす」「赤いところをセーフゾーンにしまーす」って言った感じだったんですが、そこの溝、感じられ方を、意識して直していきたい、と思っています。
シニア劇団でも、どうしても劇団員さんが僕より年上にも関わらず、指導者として尊敬していただいていて、僕が言ったことが絶対になりがちです。いろんな成立のさせ方があり、俳優が思っている幅の中で成立させた方がもちろんリアルになるはずなので、「隠れる場所を指定された」のではなく、制限が厳しくなった中で、それでも自由な部分を発見してやっていってもらいたい!というのと同時に、私自身、そう思わせてしまうようなルールや言い方を変えていきたい!と思います。
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